雨や雷が怖い自閉スペクトラム症(ASD)の子ども。なぜ雨や雷が怖いのでしょうか?それは感覚過敏や過去の記憶が原因かもしれません。今回は就学後もどんな天気でも楽しい気持ちで過ごせるコツをご紹介します!
1.雨や雷の日が苦手なASDの子どもたち。就学に向けての対応策とは
雨や雷の日は、多くの子どもにとって不快や恐怖を感じさせる要素ですが、特に自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つ子どもにとっては、感覚過敏やネガティブな記憶の影響から日常生活に大きなハードルとなることがあります。
そんな雨や雷の日が苦手な子どもが、安心してその日を過ごすためには、さらに今後の就学に向けて、どのように対応していけば良いのかを解説していきます。

2.「雷が怖い」ASDの特性がある息子の就学への不安
我が家のASD傾向の年長の息子は、雨の日がとても嫌いです。
家の中にいても雨が降ると、カーテンを全て閉めるほど雨に対してとても敏感。
特に雨よりも雷がとても苦手で、遠くで鳴るような小さな音でも泣いてしまいました。
雨の日に息子が言うことは
「雨が降ってるから幼稚園に行きたくない」
「雨降ってるから怖い」
「うちに雷は落ちない?」
息子は雨の日に対してかなりの恐怖心を持っていました。
しかし、小学生になったら雨の日も歩いて登下校しなければいけません。
雨の日を怖がる息子に、就学までにどのような対応をしたらよいのかがわからず困っていました。

3.雨や雷が怖い理由を紐解く!ASD特性「感覚過敏」と「記憶」の原因とは
◼️感覚過敏
ASDの子どもが雨や雷が怖い理由のひとつに、感覚過敏があります。
感覚過敏とは聴覚、触覚などの五感への刺激に対し、何らかの要因から脳がうまく機能せず、刺激が過剰に反応したり、反応しなくなったりすることです。
そして感覚過敏によって起こることは、次のようなことが考えられます。
・気圧の変化により体調が悪くなる
・靴や服が濡れる感覚が嫌だ
・突然鳴る雷の大きな音が怖い
感覚過敏をもつ発達障害の子どもには、この不快なことは自分ではどうすることもできません。
無理に我慢させようとせずに、なるべく不快に思うことを減らす工夫をしてあげることが重要です。
◼️ネガティブなことを記憶しやすい
ASDの子どもは、特定の出来事を細かく記憶することに優れていることがあります。
特に感情が伴う経験(嫌な思い、不安、驚き)ほど鮮明に記憶に刻まれやすいです。
それが感覚過敏により、通常よりも強烈に刺激を感じることが多く、ネガティブな経験が記憶に残りやすくなります。
・雨の日に傘を忘れてびしょ濡れになったのが嫌だった
・雨が降ると空が暗くなり、雷が鳴って驚いた
・雷が原因で停電になり怖かった
そんなことを経験すると、それが強固な記憶となり、雨の日=怖いと感じてしまうのかもしれません。
では雨や雷を怖がる子どもにはどのような対応をしてあげたらよいのでしょうか?

4.『雨や雷の日は特別な日!』安心感を育むASDの子どもへの就学準備
【気持ちに寄り添い、安心感を与える】
怖がっている子どもの気持ちに共感して落ち着かせましょう。
◼️共感の声かけ
「雷の音が大きいとびっくりするよね」
「雨の音が怖いんだね」
まずはお母さんが子どもの不安な気持ちを受け止めた上で、「お母さんがそばにいるから大丈夫」と安心感を与えてあげると良いでしょう。
子どもが不安になっている時に「このくらい大したことないよ」「我慢しなさい」などは言わないようにしてあげましょう。
【雨や雷の日の不安を軽減する具体策】
◼️感覚過敏への対応
感覚過敏がある子どもには嫌なことを無理にさせるのではなく、楽しみながらやってみることがよいでしょう。
・服を着て水鉄砲で遊んで、濡れる感覚をさせてみる
・イヤーマフや耳栓をし、雷の音を和らげる
・ヘッドホンをつけて音楽を聞いて雷の音を聞こえなくする
不快に感じることからなるべく意識をそらせることがポイントです。
◼️雨や雷の日を楽しくする工夫
子どもが「雨や雷の日が楽しい」と感じるような特別な体験を用意してみましょう。
・雨の日限定の特別なお菓子やご飯を用意する
・雷の日はいつもより長くテレビゲームをしていい
・雨の日にしかみられないカタツムリ探しをする
こうすると子どもは「雨や雷の日は嫌だけど、楽しいこともある」と思うことができます。
◼️小学校の登下校に向けた準備
雨の日の外出が必要になる小学生生活に備え、少しずつ練習していきましょう。
・軽い雨の日に一緒に歩いてみる
・小学校までの道のりを確認して、安心感を育む
・雨の日の服装や持ち物を準備する
さらに雷や雨がどうして起こるのかを学んでおくことで、未知への恐怖が和らぐことができます。
絵本やアニメ、YouTubeなどを活用して理解をしておくことも重要です。

5.雨や雷の日をポジティブに!恐怖を減らして楽しく過ごそう
我が家では雨でできた水溜りで思いっきり遊んだり、お気に入りの雨具を用意し、雨の日を楽しくできる工夫をしました。
雷はまだ怖いということがありますが、そんな日はテレビを大きくして、聞こえないようにしたり、親子で一緒にゲームに集中して、気をそらすなどしています。
小学生になるまでには、道のりを一緒に確認して、「ここは大きな水溜りができそう」とか「木があるから雨の日は近くに寄らないように」など伝えています。
そして息子のお気に入りの雨具を揃えて、少しでも雨の日が楽しく感じられるように、これからもサポートしていきたいと思います。

執筆者: 豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー