不登校のお子さんが「遠足に行きたいけど、行けない…」と不安そうにしていませんか?「行きたい」と「怖い」の間で揺れる気持ちに寄り添い、遠足の前後で実際に我が家が行った不安な気持ちを「良い思い出」に変えるための具体的なステップをご紹介します。
1.【不登校の子の遠足】「行きたいかも…」その気持ち、大事にしてあげよう
春や秋は、遠足や校外学習、運動会などの学校行事がありますよね。
不登校のお子さんがいる場合、遠足や校外学習などの学校行事への参加は
✓慣れないことへの不安
✓知らない場所への怖さ
✓大勢の友達に囲まれることへの苦手さ(人ごみ)
✓長期の休みに対してのお友達の目が気になる
✓バス酔いの心配
など、様々な理由からお子さんだけでなく、お母さんも「行きたいけど、ちょっと怖い…どうしよう…」と悩んでしまうと思います。
普段、おうちで過ごしている不登校の子どもにとって、いつもと違う場所へ行く遠足や校外活動は大きなチャレンジです。
不安に感じるのは当然のことでしょう。
しかし、不登校の子が「遠足にはちょっと行きたい!」と言って来たら、それはとても大切な回復のサインかもしれません!
そんなときこそ、親は「行けるかどうか」ではなく、「行きたい気持ちにどう寄り添うか」を大事にしてあげたいものです。
私自身、そんな場面を経験しましたので、次にご紹介します。

2.不登校の息子が「遠足に行きたい!」揺れる気持ちと親の葛藤
私の息子は、好奇心旺盛な一方でとても繊細で不安が強く慎重派な面もあります。
また、発達障害グレーゾーンで、その発達特性から学校生活への苦手さがあり、1年以上の不登校の状態です。
最近では、自分のペースで短時間だけ登校したり、行きたい、行けそうと思った授業だけ参加したりと、自分なりに一歩ずつ前に進んでいるところです。
でも、まだまだ集団に入るのは不安が大きく、登校するには私の付き添いが欠かせません。
そんな息子が、「遠足にも行きたい!おもしろそう!」と話してくれたんです。
うれしかった半面、正直「大丈夫かな…本当に行けるかな?」と心配もありました。
息子も、
「ずっと休んでたから、何か言われないかな…」
「仲良しの子も同じクラスにいないし、バスが長すぎる…」
「行きたいけど…やっぱり怖い…無理…」
と不安を口にし、参加を躊躇していました。
それでも私は、様々な不安があったとしても「楽しそう」「クラスメイトと一緒に行ってみたい」と感じて、自分から手を伸ばそうとしているのは、大きな前進!だと感じました。
「行けるかどうか」、「楽しめるかどうか」は別として、出来るだけのことをしてみようと思い、どのようにサポートをすればよいのか迷っていました。

3.不登校の子が学校行事に不安を感じる理由とは?
そもそも、なぜ不登校のお子さんは、遠足などの学校行事に不安や緊張を感じやすいのでしょうか?
ここでは、息子のように発達特性を持つ子の場合に関係する主な理由を2つお話しします。
◆①感覚過敏や強い不安を感じやすい
発達障害グレーゾーンの子どもは、不安や恐怖をを感じやすい特性があります。
「いつもと同じ、自分が知っていること」は安心できますが、「いつもと違う状況、知らない場所、見通しが立たないこと」は『分からない』ので不安を感じ、緊張してしまうのです。
また、感覚が過敏で刺激を多く感じ取ってしまったり、苦手な感覚があったりします。
だから「バスの匂いが苦手…」や「人混みがイヤ…」などと感じて、脳により負荷がかかってしまうのです。
◆②ネガティブな記憶が残りやすい
発達特性のあるの子どもたちは、ネガティブな記憶を溜め込みやすいという特徴があります。
そしてそのネガティブな記憶から余計に心配になったり、チャレンジしにくくなったりしてしまいます。
つまり、子どもの不安やネガティブな感情を減らし、前向きに動けるエネルギーを蓄えるサポートができれば、より楽しい成功体験に近づけてあげることができます。
私は息子の『行ってみたい気持ち』を大事にしたいと思い、サポートを工夫してみた結果、息子は遠足に参加して、笑顔で帰ってくることができました!

4.不登校の子の「遠足に行きたいけど怖い…」をサポートした我が家の対応と工夫
では、遠足前の準備・当日・遠足後に、我が家ではどのような対応や工夫をしたのか、ご紹介しますね。
【行事の前】不安の種を明確にして、丁寧な準備を!
① 遠足前にまず「何が不安なのか?」を息子にじっくり聞いてみました。
・バスが長い
・嫌なことを言う子がいる
・逃げ場がない
などの具体的な不安を聞き出し、一つひとつ「どうすれば大丈夫そうか」を一緒に考えました。
② 次は学校との連携です。
学校の先生に息子の不安を伝え、細かなスケジュールやサポートについて相談しました。
その結果、
・自家用車での送迎や現地集合・解散もOK
・遅れての合流や途中帰宅も可能
・集団行動が難しい時は、少し離れての参加もOK
という柔軟な参加方法を確認し、息子自身がどうするかを選べるようにしました。
③ 親自身のメンタルも大切です。
ついつい学校行事があると、子どもを「行事に参加させること」ばかりに意識が向きがち。
サポートする側の親も無意識に頑張りすぎてしまい、気づかないうちに疲れやストレスがたまるものです。
自分のためのリラックスタイムを作り、穏やかな気持ちで息子と向き合えるように努めました。
【当日】「行っても行かなくてもOK」という安心感を
①当日は、「せっかく準備したんだから!」と無理強いするのではなく、「行っても行かなくても大丈夫だよ」というスタンスで見守りました。
②朝の準備が遅れたり、挨拶ができなかったりしても、焦らず、否定的な言葉はかけないようにしました。
子どもの心の中で揺れる「行きたいけど怖い」という気持ちに寄り添うことが大切だと考えたからです。
③小さな「できた!」を見つけて、すぐに褒めることも意識しました。
起きられた、着替えられた、荷物を持てた…どんな小さな一歩も認め、伝えてあげましょう。
小さな成功体験が、自信につながります。
④繊細な息子は、私の焦りや不安、必死に行かせようとしている親の魂胆を敏感に感じ取ってしまうもの。
できるだけゆったりと構え、言葉だけではなく態度でも安心感を与えられるように心がけました。
【行事の後】どんな結果も「良い思い出」に変えるための親の関わり
息子は最終的に、元気にパパと遠足に参加し、笑顔で帰ってきました。
その経験を「良い思い出」として残せるように、意識して接しました。
①帰宅後は、まずゆっくりと休ませました。
久しぶりの集団行動と緊張で、心身ともに疲れているはずだからです。
遠足の詳しい話をいろいろと聞きたいところですが、自然な流れで聞く程度にとどめ、あれこれ聞かないようにしました。
気になる詳細な様子は、パパからこっそり聞けばOK。
そして、「行ってみようと頑張ったこと」をたくさん褒めました。
② もし、当日行けなかった場合でも、「失敗」として終わらせず、「良い思い出」にする工夫を考えていました。
家族で楽しい計画を立てたり、『チャレンジしたこと』を認めるつもりでした。
③行けても行けなくても、楽しめても楽しめなくても「家族でお疲れ様会」がおススメです。
「勇気を出して行ってみたね。」
「元気で帰ってきてくれて嬉しい」
と褒めて、晩ご飯は子どもの好きなメニューにしました。
そして子どもはもちろん、一緒に準備をした親自身も労ってあげましょう。
④遠足後、「明日の学校も行けるかな?」と期待しすぎないことも大切です。
子どもの気持ちは日々変わるもの。
今回のチャレンジは今回のこととして認め、余計な一言を言わないように気を付けました。
次のステップは本人のペースに任せるようにしましょう。

5.「行きたい」は回復のサイン。焦らず、気持ちに寄り添う大切さ
子どもが「行きたい」と口にすることは、たとえ小さな一言でも、心の回復のサインです。
結果がどうであれ、子どもが「やってみようとした気持ち」を成功体験として積み重ねて、ネガティブな記憶をアップデートしていきましょう。
焦らず、子どもの気持ちに寄り添ったサポートができるといいですね。
この記事が少しでも、同じように悩む親御さんの参考になると嬉しいです。

執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー