学校で困りごとを伝えられないASDの子どもが「言える」ようになる!ママの接し方のコツ

ASD,子ども
子どもが気持ちをうまく言葉にできず、「うちの子だけ?」と心配なら、言葉の力の発達がゆっくりなのかもしれません。この記事では、その理由と、親としてぜひ試してほしい関わり方をお伝えします。
 
 

1.子どもが自分の気持ちをうまく言葉にできない…「うちの子だけ?」と悩んでいませんか?

 
 
困っていても自分から言えず、先生に気づいてもらうまで待っている
みんなの前での発表が苦手で、強く嫌がることがある
学校であったことを聞いても、話が前後してよく分からないことがある
 
 
こうした様子がある場合、「言葉で伝える力」がゆっくり育っている段階かもしれません。
 
 
決して「話せない」「やる気がない」わけではなく、脳の発達のペースによるものです。
 
 
子ども一人ひとりのペースに合わせたサポートが大切になります。
 
 
 
 
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2.困っていても言葉にできなかった、ASDグレーゾーンの息子

 
 
現在小学2年生の息子は、自閉スペクトラム症(ASD)のグレーゾーンといわれています。
 
 
幼稚園のころから、何か困ったことがあっても自分から先生に伝えることができず、先生が気づいてくれるのをじっと待っているような様子が見られました。
 
 
先生が声をかけてくれても、小さな声でうまく話せなかったり、自分の気持ちを伝えることがなかなかできなかったり…。
 
 
クラスで発表の時間があっても、息子だけが発表できずに終わることもありました。
 
 
面談では、毎回同じようなことを先生から聞かされ、そのたびに心の中で思っていました。
 
 
「こんなに気持ちを出せないままで、息子はつらくないのかな」
「本当はもっと助けてほしいと思っているのでは…?」
 
 
家に帰ってから、「学校どうだった?」と聞いても、「つまらなかった」「嫌だった」とだけ。
 
 
それ以上はあまり話してくれず、息子の本当の気持ちに寄り添えていないように感じて、私自身もつらくなることがありました
 
 
どうして息子は、自分の気持ちをうまく言葉で伝えることが難しいのでしょう?
 
 
その理由について、これからお話していきます。
 
 
ポイント
 
 

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3.ASDの子どもが言葉で気持ちを伝えるのが苦手な理由

 
 

♦話す・伝えるための脳の仕組みがゆっくり発達している

 
私たちの脳の中には、「言葉を使って伝える」ための働きをする場所があります。
 
 
この場所は、左脳にあって、自分の中で思ったことや感じたこと(=内なる声)を言葉にして、話したり書いたりするのに使われます。
 
 
たとえば、人と話すこと、作文を書くこと、手紙を書くことなどもこの部分の働きです。
 
 
ASDの子どもたちは、この左脳の言葉を伝える部分の成長が、ゆっくり進むことがあります。
 
 
そのため、ASDの子どもにはこんな傾向が見られることがあります
 
・人前で話すのが苦手
・自分の思っていることをうまく言えない
・話しても、聞いている人に伝わりにくい
 
 
つまり、「言葉で気持ちや考えを伝えること」がちょっと難しいと感じることが多いのです。
 
 

♦ ASDの特性からくる「不安」と「話せない」状態

 
ASDの子どもには、「場面緘黙(ばめんかんもく)」と呼ばれる状態が見られることがあります。
 
 
場面緘黙とは、家ではふつうに話せるのに、幼稚園・保育園・学校など、特定の場所では話せなくなってしまうことです。
 
 
これは、話している自分の姿を他人に見られること、聞かれることに強い不安や恐怖を感じてしまうために起こります。
 
 
ASDの子どもは脳の「ストレスへの耐性」が弱いことがあり、不安や危険に反応する扁桃体(へんとうたい)という部分が、ふつうよりも強く反応してしまいます。
 
 
そのため、ちょっとしたきっかけでも強い不安を感じ、「声が出せない」「動けない」といった状態になってしまうのです。
 
 
こんな特徴が見られます
 
・困っていても「助けて」と言えない
・家では話せても、外では声が小さくなる
・話しかけられると、固まって何も言えなくなる
・発表やスピーチがとても苦手
・緊張して、頭が真っ白になってしまう
 
 
うちの息子にも、まさにこのような様子がありました。
 
 
「話したくない」のではなく、「話したいのに話せない」「話すのがとても苦しい」そんな状態だったのだと思います。
 
 
では、次に、話すことに自信を持たせるために息子に行った関わり方を紹介しますね!
 
 
ポイント
 
 

4.ASDの子どもが学校で困ったことを話せるようにするためのママの接し方のコツ

 
 
お子さんとの会話を増やし、話すって楽しい!と思う成功体験の記憶を作ってあげます。
 
 
そのために私が意識したポイントを2つご紹介します。
 
 

①話を聞く時のコツ:子どもが言葉に詰まって話せなかったりしても、びっくりするくらい待つこと!

 
イライラを見せず、ママがニコニコ笑顔で待つことが大切です。
 
 
特にASDの傾向があり、緊張感が強い子は急かしてしまうと、頭が真っ白になってしまいます。
 
 
「あー分からない」となってしまい、さらに話すのが嫌になってしまう可能性があります。
 
 

②会話を増やすコツ:子どもの好きなことを聞くこと!

 

大人でも好きなことを話す時はテンション高くなり、話したいと思うことはありませんか?

 

 

例えば、ポケモンが好きなら、「好きなポケモン、1~3位教えて~!」と聞いて、嬉しそうに考え始め、答えてくれたら「いいねー!ママも好きだよ!」などと肯定してあげましょう

 

 

「じゃあ、〇〇が一位なのはなんでー?」と会話を広げるのもお勧めです。

 

 

「色がかっこいいところ、強いところが好きだから」などと答えてくれたら、 「いいねー」「〇〇強いよねー!」と肯定や共感をしてあげましょう。

 

 

会話の量を増やし、親子で楽しい会話をたくさんすることで、少しずつ話すことに自信がついてきます。

 

 

また、たくさんの情報の中から3つを選びだして、それを順番に1、2、3と並べて伝えることは、左脳の言葉で表現する力を働かせることにつながります。

 

 

お子さんが「話すのって楽しい!」と思えるように、ママがゆっくり話を聞いてあげる時間を大切にしましょう。それが自信につながっていきます。

 

 

とはいえ、話すのを嫌がるときは、無理に話させようとしなくても大丈夫です。

 

 

言葉で伝える力は、ゆっくり育ち、大人になってからも伸びていきます

 

 

それよりも、親子で同じ話題で笑ったり、気持ちを共感し合うことのほうが、今は大切な経験です。

 

 

子どものペースに合わせて、会話を楽しむ時間を少しずつ増やしていけるといいですね。

 
 
 
 

5.伝える力が少しずつ育ってきた、ASDの息子の成長の記録

 
 
最近の息子は、困ると先生のそばに寄っていき、「どうしたらいいの?」と聞けるようになってきました。
 
 
また、息子の好きなことを先生と話したり、短い言葉であれば、みんなの前でも発表できるようにもなってきました。
 
 
自分から友達のお母さんに話しかけ、「〇〇くんが話かけてくれてびっくりしたよー!嬉しかった」と言ってもらえることもありました。
 
 
他にも、以前は、ゲームの話を長々と説明をされても内容がよく分からず、 つい「どういうこと?」と聞き返してしまうことがありました。
 
 
そのたびに「なんで分からないの!」と怒って話してくれないこともありましたが、私が笑顔で待ったり聞き方を工夫することで、最後まで伝えてくれるようになりました。
 
 
学校であったことをたくさん話してくれるようにもなり、「そうだったんだね。嫌だったね」と共感できることが増えてきました。
 
 
伝える力は大人になってからも伸びていくと知ると、少し安心できますよね。
 
 
焦らずに、親子でおしゃべりを楽しみながら、少しずつ「話す力」をつけていけたらいいですね。
 
 
OK
 
 
 
 
 
執筆者:木村 まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー
 
 
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