発達障害・グレーゾーンの子どもは暑さに弱く、自律神経の乱れや感覚の特性から夏に不調を感じやすい傾向があります。この記事では、その理由と家庭でできる対策、親のサポート方法をわかりやすく紹介します。
1.夏が来るとグッタリ…。発達の特性が関係しているかもしれません!
夏になると、なぜか子どもの様子がいつもと違う…。そんな違和感を抱いていませんか?
・日中は「暑い」と何度も訴える
・外出を嫌がり、少し歩くだけで疲れてしまう
・夜もなかなか眠れず、イライラしている
・エアコンをつけているのに「まだ暑い」と言う
実はこのような様子は、発達障害グレーゾーンの子どもによく見られる傾向です。
特に、暑さに弱いという特性を持つ子どもたちは、気温や湿度が上昇する季節に強いストレスを感じやすくなります。
「他の子は平気そうなのに、なぜうちの子はこんなに夏がつらそうなの?」
「忍耐力がないのは、甘やかして育てた私のせい?」
そんな疑問や不安を抱えている親御さんに向けて、この記事では暑さに弱い理由と、親としてできるサポート方法について、わかりやすくご説明していきます。

2.「ただの夏バテじゃない?」と悩んでいた私の体験談
私の息子は、幼い頃から暑さにめっぽう弱いタイプでした。
小学生になると、湿度の高い日は決まって「だるい」「頭が痛い」と言うようになり、登校を渋ったり、突然泣き出したりする日もありました。
夏休みもクーラーの効いた部屋でしか過ごさず、少しでも外に出るとぐったり疲れ切ってしまう…。
当時の私は暑さに弱い息子に対して
・忍耐力がない
・わがまま
・だらしがない
と思っていたので、無理にでも外に出したり、行動を促していました。

3.なぜ発達障害グレーゾーンの子どもは暑さに弱いの?
まず知っておいてほしいのは、発達障害グレーゾーンの子どもたちは、体の感覚や自律神経の働きに特性があるということです。
①感覚過敏・鈍麻の影響
発達障害グレーゾーンの子どもたちは、「暑さ」に対して過敏に反応しすぎる場合と、逆に「暑さを感じにくい」場合の両方が存在します。
感覚過敏の場合、ちょっとした気温上昇でも不快感を強く覚え、「汗をかくのが嫌」「服が肌に貼りついて気持ち悪い」といったストレスにつながります。
一方で、暑さに鈍感なタイプは、自分の体調の変化に気づけず、熱中症のリスクが高まることもあります。
②自律神経のバランスが崩れやすい
自律神経とは、体温調整や発汗、睡眠、消化などをコントロールする神経のこと。
この自律神経が乱れやすいのも、グレーゾーンの子どもたちの特徴のひとつです。
暑い日が続くと、体がうまく順応できず、「だるさ」「眠気」「頭痛」「やる気のなさ」といった不調が現れることがあります。
③脳の働きと暑さの関係
暑さにより体が疲れてくると、脳も働きにくくなります。
発達の特性を持つ子どもは、もともと感覚の入力や処理にエネルギーを多く使っているため、暑さでさらにその能力が落ちやすいのです。
その結果、思考力や集中力が低下し「ぼーっとして動かない」「言葉が出にくい」といった変化が起こることもあります。

4.暑さに負けない!子どもが笑顔で過ごすためにできること
子どもに合った対策を知っておけば、夏を元気に乗り越えることができます!
今年の猛暑を笑顔で乗り切るために…
家庭でできる暑さ対策と、発達障害グレーゾーンの子どもにあった自律神経のサポートをご紹介します。
①自律神経を整える生活習慣
・朝日を浴びる(体内時計を整える)
・朝食をしっかり食べる
・昼寝やクールダウンの時間を作る
・湯船につかって体温調節機能を維持する
どれも簡単なことですが、毎日の積み重ねが自律神経のバランスを整え、暑さに強い体を育てる土台になります。
②室温・湿度管理を『子ども基準』に
一般的には室温26〜28℃が推奨されていますが、感覚過敏の子には25℃以下が快適なこともあります。
不快を訴えたときは、温度計や湿度計で数値を確認しながら、お子さんにとってどのくらいの温度や湿度が快適なのか、設定温度を微調整していきましょう。
冷房だけでなく、サーキュレーターを併用するのも効果的です。
③衣類・寝具も感覚に配慮
肌ざわりの悪い素材は、子どもの「暑い」「不快」の原因になりがち。
吸湿性のあるコットンやガーゼ素材の服・シーツを選び、締めつけの少ない衣類を意識しましょう。
冷感加工のされたタオルケットを寝具に使うのもオススメです。
④冷たいものとの付き合い方
氷や冷たいジュースばかり欲しがる子どももいますが、冷えすぎは逆効果になることも。
常温の水や、冷やしすぎない飲み物を常に用意しておくと安心です。
④外出は「時間帯」と「場所」の工夫で乗り切る
・早朝や夜の涼しい時間帯に外出する
・日陰ルートを使って移動する
・「涼しい場所マップ」を子どもと一緒に作る(図書館、ショッピングモールなど)
このように「暑くなりすぎる前に移動する」「暑さから逃げるスケジュールを組む」ことで、子ども自身も「安心して外に出られる」という感覚を持つことができます。

5.まずは『知る』ことから始めよう。夏の苦手を減らす一歩を!
私も、発達の特性によって暑さに弱いことを知ってからは、子どもに寄り添った暑さ対応を考えることができるようになりました。
去年の夏休みで、一番効果があったのは、「涼しい場所マップ」の作成です。
夏休み期間中、ずっと冷房の効いた部屋でゲーム三昧だった息子が、この「涼しい場所マップ」を作ったことで、地域にある涼しい場所に進んで遊びに行くようになりました。
月曜日は児童館。
火曜日は図書館。
水曜日はショッピングモールでママとウォーキング(笑)
おかげで私も楽しい夏休みを過ごすことができました。
暑さに弱い発達障害グレーゾーンの子どもにとって、夏は『我慢の季節』ではなく『調整が必要な季節』です。
何より大切なのは、「この子には暑さがつらいんだ」と親が気づくこと。
その気づきがあれば、学校や放課後デイサービスにも「暑さに配慮してください」と具体的に伝えることができます。
この夏は、子どもの『弱さ』を責めるのではなく、『暑さにどう対応していくか?』『どうすれば快適に過ごせるか?』を親子で一緒に考えてみませんか?
きっと、去年よりももっと過ごしやすい夏になるはずです。
