子どもが癇癪を起こして宿題が進まないと、ママも心配でつい口出ししがち。でも言えば言うほど子どもは怒ってしまい、そんな様子にママもイライラ…。この記事ではそんな宿題バトルを終わらせる声かけ術を紹介します。
1.子どもの宿題中の癇癪に悩んでいるママはいませんか?
「また宿題中に泣き出してしまった…」
「ちょっと注意しただけなのに、癇癪を起こして手がつけられない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
発達障害グレーゾーンの子どもたちにとっては、夏休みの宿題もとても大きなハードルなのです。
でも、そんな子どもの癇癪に付き合っているママも、毎日本当に大変ですよね。
最初は穏やかに教えていたはずなのに、何度も同じことでつまずかれると、ついイライラして声を荒げてしまう…。
そして、喧嘩になって自己嫌悪に陥ってしまう。
そんな悪循環に悩んでいるママも多いのではないでしょうか?

2.宿題中にすぐ癇癪を起こす娘にイライラしていた過去
実は、私も同じようなことで困っていたママの一人です。
我が家には発達障害グレーゾーンの娘がいますが、宿題をやっていてわからないところがあると、たいていすぐに「お母さん、わかんない!」と言い出します。
そのため、宿題を見に行って教えようとするのですが、よく理解できないことがあると、すぐにやる気を無くしたり、集中力を無くしてイライラし始める。
ひどい時には癇癪を起こして余計に宿題が進まなくなる、ということがよくあり困っていました。
また、自分自身もそのような態度をとる子どもに対してイライラして怒ってしまい、喧嘩になるということがよくありました。
娘は学習面で色々と苦手なことがあります。
例えば、
漢字の宿題をする時もお手本の上をしっかりなぞることができなかったり、
字のバランスが悪かったり、
書き順もこちらがびっくりするような順番で書いたりしていました。
また、算数も苦手で一の位、十の位が今ひとつ理解できない様子で、いつも計算にかなり時間がかかっていました。
そのほかにも、机でなく床にノートやドリルを広げて宿題をしたがったり…。
娘が宿題をしていると、そういったところがすごく気になってしまい、「何とかして直してあげなければ」と思い、その都度注意をしたり、わかるまで説明をしようとしたりしていました。
しかし、当の本人は、そのように注意すればするほど、やる気を無くし、「もう宿題しない!」と怒ってしまい、私も怒る、という悪循環になっていました。

3.発達障害グレーゾーンの子どもが宿題中に癇癪を起こしてしまう理由
それでは、なぜ子どもたちが宿題中に癇癪を起こしてしまうのでしょうか。
その理由としては、発達の特性が関係していると言えます。
発達障害グレーゾーンの子どもは基本的に、自分の興味のあることにはものすごい集中力を見せますが、反対に興味のないことに集中することや、我慢をして取り組むことが難しいという特性があることが多いです。
そのため、興味のない宿題などは「やりたくない」気持ちが強く出てしまい、集中することが難しくイライラしやすいかもしれません。
また、感情の切り替えやコントロールが苦手という特性も、よく見られる特性の一つです。
その場合、「わからない」という感情をコントロールできずに癇癪という形で出してしまうということが起こったりします。
発達障害の中でも学習障害のグレーゾーンの子どもであれば、読み・書き・計算などの特定の領域に苦手をかかえる子も少なくなく、本人の努力だけでは克服が難しい場合もあります。
さらに、こうした本人の特性に加え、宿題中に指摘されることが多いということも、発達障害グレーゾーンの子どもが癇癪を起こしてしまう理由の一つになります。
「書き順が違うよ」
「字が曲がってるよ」
「あれ、計算間違ってるよ?」
「ちゃんと机の上で宿題やりなさい!」
など、つい口を出してしまうこと、ありませんか?
発達の特性にかかわらず、誰しもできていないことをあれこれ言われると嫌な気分になると思いますが、発達障害グレーゾーンのお子さんは苦手が多い分、他の子どもたちよりも指摘される回数が増えがちです。
その結果、勉強に対して自信をなくしてしまい、苦手意識が強化されてしまい、「できていない部分」ばかりを指摘されると、癇癪という形で苦しさを表現するようになってしまいます。

4.できているポイントにだけ注目して声かけをしよう
どうすれば子どもが癇癪を起こさずに宿題に取り組めるようになるのでしょうか?
それは、 できているところ、良いところだけに注目して声かけをすることです。
そして、どんな小さなことでもいいから「ほめる」のです。
できていないところを直すのではなく、できていることに気づかせてあげましょう。
・きれいに書けている文字を1文字だけ見つけてほめる
「この”し”、すごくきれいに書けてるね!」
・文字の一部分だけでもうまく書けているところをほめる
「ここのハネ、すごくかっこよく書けてる!」
・宿題に取り組んでいること自体をほめる
「こんなにたくさん進んだんだね、すごい!」
逆に、どんなに気になっても、できていないところは指摘しません。
書き順が違う、字のバランスが悪い、計算が遅いなど、ママが「これも直した方がいいのでは?」と思っても、そこはぐっと我慢です。
まずは子どもが宿題に前向きに取り組めることを最優先にしましょう。
我が家では、こうした対応をするようになってから、宿題中に子どもが癇癪を起こすことはほとんどなくなりました。
今では逆に、「お母さん、この字綺麗に書けたよ!見て見て!」とアピールしに来るくらいです。
今日からでも、すぐに始められる対応なので、ぜひ試して見てくださいね!
子どもの笑顔も、ママの心のゆとりも、きっと少しずつ増えていきますよ。

執筆者:中川 まさみ
発達科学コミュニケーション トレーナー