1.ついつい「言ってはいけない」と思いながら、言ってしまっていませんか?
「分かってるけど、つい言っちゃう…」
「言わずにいられない…」
「そんなつもりじゃなかったのに、子どもを傷つけてしまったかも…」
子どもが心配でよかれと思って言った一言が、実は「余計な一言」になっていた…なんてことありませんか?
分かっていてもやめられない…
それは、あなただけではありません。私も、そうでした。
母親が、余計な一言をつい言ってしまう心理的背景には、子どもを大切に思う気持ちや過去の経験、心の余裕のなさなどが関係しています。

2.余計な一言を言っては自己嫌悪の日々でした…
ある日、小学6年生の娘からこう言われました。
「ママ、学校で水泳の授業がある時は学校を休むから。」
以前の私であれば、
「は?何言ってるの?そんなのダメでしょ?!」
と娘の気持ちを聞くことなく、頭ごなしに決めつけ、無理矢理行かせていたと思います。
親の「正論」を子どもにぶつけ、子どもの気持ちに寄り添ったりすることがなかったのです。
しかしそうなれば、娘は反抗し、親子の仲も険悪となります。
以前の私は普段も
「何回言えばいいの?」「早くして!」
などいちいち怒った口調でダメ出ししていました。
気をつけていたつもりでも、こんな言葉がつい口から出てしまっていました。
その後で「しまった…」と自己嫌悪。
なぜ、私はもっと冷静に優しく子どもに寄り添ったりできないんだろう…と悩む日々でした。

3.余計な一言は逆効果?!
つい出てしまう「余計な一言」。
実はこれ、子どもの脳の発達や行動意欲にブレーキをかける可能性があるのです。
脳には「扁桃体」という危険や不快を察知して反応する警報装置のような部分があります。
親のきつい言葉や否定的な言葉は、子どもの「扁桃体」を刺激し、脳が「攻撃された」と認識してしまうことがあります。
すると、子どもは
✔怒る
✔無視
✔黙る
といった反応を引き起こし、自分を守ろうとする態勢に入ってしまいます。
そして、子どもの脳はストレスを感じ、思考・判断・感情を司る前頭前野の機能が低下します。
「だからさっきから言ってるでしょ!」と怒れば怒るほど、子どもはますます考えられなくなるのです。
そこで、私が子どもにどのように関わるようになったのかを、次でお伝えしますね。

4.私が余計な一言を言わなくなった『捉え方のヒント』
ポイントは「順番」と「心の扱い方」
私が変わったきっかけは、次の3つのステップを意識するようになったからです。
♦余計な一言を防ぐ3ステップ
①まず、子どもの言葉・状況を受け止める
例:「そっかー、そう思ったんだね」など肯定的に返す
②自分の感情を保留し、落ち着く
→ すぐに反応せず、心を整える
③後で作戦を立て、子どもに伝える
→ 提案や選択肢を出し、最終的には子どもに決めさせる
今回の場合であれば、私は、娘の「水泳休みたい」発言にどう対応したか?
その時、私は「そっかー」とだけ返しました。
心の中では「えっ?! それはダメでしょ!!」と大騒ぎでしたが、まずは受け止めることを徹底。
その後、一人になって冷静になってから、こう考えました。
・娘の立場で考える
→ みんなの前で記録を取られるのは泳げないとそれは嫌だよね…
・どうすれば本人の不安が減り、前向きになれるか?
→確かにこの先、泳げなくても困らない
→しかし、中学校でも水泳はあるし、ずっと避けるのは大変
→娘は運動はできる方
→きっと専門の水泳教室の先生に教われば泳げるようになるはず!
そして、娘にこう提案しました。
「泳げないと記録を取ったりするのは嫌だよね。中学校でも水泳があるし、ずっと避けていくのは大変だと思うんだよね。水泳の専門の先生に習ってみるのはどう?合う教室を一緒に探してみない?」
娘の機嫌が良いときを見計らい、軽いトーンで話すと「うん!やってみる!」と前向きに答えてくれました。
結果的に、3カ所の水泳教室を回って、娘に合う教室が見つかりました。

5.子どもは安心できる関係性で育つ
「余計な一言を言ってしまう」のは、子どもを想うお母さんなら誰にでもあること。
それを減らすには、「受け止めてから作戦を立てる」順番がとても大事です。
子どもの脳は、安心できる言葉や関係性の中でこそ育ちます。
お母さんの落ち着いた関わりが、子どもの自ら考え行動する力につながっていきますよ。

執筆者:たるみ あや
発達科学コミュニケーション アンバサダー