母子分離不安で「ママがいい!」が止まらない子どもに疲れていませんか?自分時間ゼロでは、ついイライラしてしまいますよね。子どもの特性を理解しながら、ママの心を整える簡単セルフケア5選をお届けします。
1.母子分離不安がつらい…疲れやすいママへ
「今日もまた『ママがいい』って言って泣かれちゃった…」
「小学生なのに『ママべったり』でひとりの時間がない…」
どこに行くにも付きまとわれ、1日中いつでもどこでも「ママ!ママ!」では疲れ果ててしまうのは当然です。
ついイライラしたり、自己嫌悪に陥ったりしてしまうこともありますよね。
そんなときには「母子分離不安」が関係しているかもしれません。
母子分離不安とは子どもが愛着をもっている人(母親や父親や祖父母など)から離れる際に、強く不安を感じることをいいます。
分離不安そのものは、本来、お子さんの発達の中でとても大切なステップです。
しかし、ある程度の年齢になっても、「ママと離れられない」「離れることが怖い」という気持ちが強く残っている場合は注意が必要です。
これは単なる「甘え」ではなく、子どもの生まれ持った気質や、その子なりのストレスの感じやすさが関係していることもあるのです。
母子分離不安の症状がみられると、ママは「私の育て方が悪かったのかも…甘やかしたから?」と自分を責めがちですが、決してママのせいではありません。
だからこそ、まずは「ママ自身の心を整えること」から始めましょう。
親が少しでも元気でいることで、子どもも安心して一日をスタートできます。

2.「ママがいい!」の息子に疲れ果てた私の体験
我が家の息子は、小学校1年生の時に登校しぶりが始まり、母子分離不安になりました。
「学校に行きたくない」「嫌だ!嫌だ!」と泣いて私にしがみつき、学校の玄関先で離れられない息子…。
私から引き離そうとしても無理そうな様子を見かねて、先生は「お母さんも一緒に中へどうぞ」―。
その日から私と一緒でないと学校へ行けなくなりました。
家に帰ってからも、着替えもお風呂も寝るのも「ママがいい!」。
そんな生活ですから、当然私の一人時間はゼロになり、疲労はピークに…。
息子に対してイライラして「それくらい自分でやって!」「トイレくらい行かせて!」などと厳しく突き放すような言い方をしたこともありました。
「大切な息子だけど、正直かわいいとは思えないなんて、ひどい母親だ…」 と自己嫌悪に苦しみ、私自身も心身ともに疲れ果てていました。

3.母子分離不安の子を育てる親が疲れる理由
◆敏感な子どもに多い心理と特徴
母子分離不安は、子どもの生まれ持った気質や、発達にかかわる特徴(特性)が影響することがあります。
特にHSC(ひといちばい敏感な子)や自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向がある子は、もともと不安を感じやすく、敏感な気質を持っていることが多いのです。
そのため、見通しの立たない行動や新しい場面に不安を感じやすく、日常の小さな変化でも心が揺れやすい傾向があります。
たとえば…
・先生の声のトーンがいつもと少し違うだけで「怒られた」と感じて泣く
・教室の席替えや授業の予定変更で不安になり「ママ!」と甘える
・注意されると「もうダメなんだ」と思い込み、癇癪につながる
親から見れば「そんなことで?」と思うことでも、子どもにとっては大きな不安。
その結果「ママと離れる」場面ではさらに強いストレスを感じやすいのです。
また、「変化」や「人との関わり」を苦手とする特徴があるため、親と離れる場面では強いストレスや大きな不安を覚えることも少なくありません。
◆親が疲れやすい背景
・朝の行き渋りで緊張が続く
子どもの行き渋りがあると、毎朝「今日は行けるかな?やっぱり無理かな?」と子どもの様子に一喜一憂してしまい、親の心も揺れやすくなります。
さらに、母子登校で学校まで送迎をしたり、一緒に付き添ったりする場合は、ママ自身の出勤や予定も立てられないのでなおさらストレスになります。
・自分の時間が取れず、自己犠牲感が強くなる
不安定な子どもを目の前にして、「私が我慢すれば…」「私が付き添って子どもが安心できるなら…」と何においても子どもを優先してしまい、自分の気持ちややりたいことを後回しにしてしまいがちです。
こうして気づけば心も体もすり減ってしまうのです。

4.母子分離不安の子を育てる親におすすめのセルフケア
繊細な子どもは、ママのちょっとした表情や雰囲気を敏感に感じ取ります。
だからこそ、子どもを安心させるためには まずママの心が満たされること がとても大切。
「そんな時間ない!」と思うかもしれません。
でも、たった5分でもいいんです。
日々の中で少しだけ自分を労わる時間を取り入れてみましょう。
ここでは、私が実際にやって効果があった今すぐ取り入れられるセルフケア習慣をご紹介します。
① 入浴・スキンケアで自分をねぎらう
忙しい毎日ですが、しっかり入浴やスキンケアの時間を確保しましょう。
自分のほほに両手を当てて、鏡の前で自分に「今日もお疲れ!」と笑顔を向けてあげてください。
一人でそういった時間が取れない場合は、お子さんと一緒にやればスキンシップにもなるので、それも良し!と捉えましょう。
② 家事タイムでリフレッシュ
洗濯物干しや食器洗いなどの家事をしながらドラマを観たり、好きな音楽を聴いたりします。
「ながら時間」で気分転換できるので、一人時間の少ないママでも無理なく取り入れられます。
「家事=義務」ではなく「自分の癒し時間」として意識するのがコツです。
③ ジャーナリングで気持ちを整理
自分の気持ちを頭に浮かぶままにノートに書いて整理しましょう。
誰かに見せるためのものではないので、どんな気持ちを書いてもOK!
書くことで気持ちが整理され、イライラやモヤモヤが軽くなりますよ。
④ 好きなことリストで自分をご機嫌に
「おいしいコーヒー」「好きな香りのハンドクリーム」など、ちょっとした幸せを書き出してみましょう。
自分をご機嫌にする方法が見えてきます。
何をしても疲れちゃう日もあるけど、「今日はこれをやってみよう」と具体的に意識するだけでも気持ちが前向きになれます。
⑤ 朝のラジオ体操で体も心もリフレッシュ
一口にラジオ体操と言っても、最近はYouTubeにいろいろなバージョンがあるので、お気に入りを探してみましょう。
子どもと一緒にやれば、親も子どもも朝から気持ちよくスタートできます。

5.小さなセルフケアの積み重ねで親も子どももラクに
私自身、1日5分のセルフケアを続けるうちに少しずつ心にゆとりが出てきました。
子どものこだわりやぐずりにも「ま、いっか」と受け止められるようになっていったのです。
すると、子どもも少しずつ緩んできました。
母子分離不安の子との毎日は、ママにとって本当に大きな負担です。
特に9月は、新学期の緊張や疲れが親子ともに出やすい時期。
どうか、無理をせず、あなた自身を大切にしてあげてください。
少しずつ続けることで、あなたとお子さんの毎日が少しでも「ラクになった」と感じられますように。

執筆者: よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー