「うちの子、心が弱いのかな…」と悩むママへ。不安や落ち込みやすさの背景には、脳や気質の特性が関係していることも。子どもの個性を理解し、心を“強くしなやか”に育てるためのサポートや声かけの工夫をわかりやすく解説します。
1.メンタルが弱い子どもを放置するリスクとは?ママが知っておきたいこと
ちょっとしたことでも「失敗しちゃった!」と大騒ぎしたり、嫌なことがあるといつまでも引きずってしまう子どもの姿を見ていると、「こんなにメンタルが弱くて大丈夫かな?」と心配になってしまいますよね。
実際、このまま放置しておくと、その予想通り幼稚園や学校に通えなくなったり、癇癪がひどくなったりと、問題が大きくなってしまう恐れがあります。
「この子、ちょっと打たれ弱すぎる…」とママが感じたら、できるだけ早く適切な対応をしてあげることが大切です。
とはいえ、『適切な対応』と言われてもどうしたらいいのかわからない…というママも多いのではないでしょうか。
私もかつては同じように悩んでいました。
そんな私が試行錯誤しながら気づいた「繊細な子の気持ちの背景」と「親ができる具体的なサポート方法」を、この記事ではお伝えしていきます。

2.繊細で打たれ弱い息子を心配する日々
4歳になる息子は、小さい頃からとても繊細で神経質な子でした。
何事にも不安が強く、とにかく打たれ弱いタイプです。
✔幼稚園で自分ではなくお友達が先生に怒られているだけで恐怖を感じてしまう
✔なんでも「ママが言って」が口癖で、人に何かを伝えるのが苦手
✔イベントや行事などの写真を見返そうとすると「見たくない!夢に見ちゃう!」と嫌がるほど「いつもと違う状況」が苦手
「こんな状態で本当に小学校に通えるのかな…」と心配でしたが、息子への有効な対応の仕方がわからず、悩み続けていました。

3.どうしてこんなに不安が強いの?『メンタルが弱い』子どもの脳の特性を解説
そもそも、どうして「不安」や「心配」の度合いは人によって変わるのでしょうか。
その答えの一つは、脳の特性に違いがあるからなのです。
ここでは繊細な子どもならではの特性から、打たれ弱さの理由を紐解いていきましょう!
●ネガティブなことに反応しやすい
人がネガティブなことを忘れられないのは、危機管理能力が働くからです。
つまり、「もう同じ危険は犯さないぞ!」と脳が覚えておこうとするのです。
繊細な子どもは、この能力が人一倍敏感に働く傾向があります。
そのため、大人からすると「そんなことで?」と思うようなことにも強く反応し、落ち込んだりショックを受けやすいのです。
さらに、危機管理能力が高ければ高いほど、ネガティブな記憶がなかなか消えず、いつまでも引きずってしまいます。
「次はもう失敗したくない!」という気持ちが強迫観念のようになってしまうケースも少なくありません。
●自分を責めてしまう
繊細な子どもには、完璧主義で思い込みが激しいという特性もあります。
常に完璧を追い求めてしまうため、自分にも相手にも厳しいジャッジをしてしまいがちです。
特に「自分ができない」ということがどうしても許せないため、些細な失敗でも
「こんなこともできないなんて!」
「僕は全然ダメだ…」
と思ってしまうのです。
さらにネガティブなことが起きると軽いパニック状態になり、
・どうしてそんなことが起きてしまったのか
・次に起きないようにするにはどうしたらいいのか
などを冷静に考えることができず、「全て自分が悪かったんだ」と結論付けてしまいます。

4.【実践】繊細でメンタルが弱い子どもを“強い子”に育てるサポート術
繊細な子どもが落ち込んでいたり、不安そうにしている時は、こちらが何を言っても聞く耳を持ってくれないということがありますよね。
それは、子どもが不安やネガティブな記憶に集中してしまっているからです。
集中すればするほど不安やつらい気持ちは大きくなってしまいます。
だからこそ、できるだけ早く切り替えられるようなサポートをしてあげましょう。
ここでは、そのためのすぐにできる具体的な対策をお伝えしていきますね。
・好きなものに触れる時間へ誘導する
Youtubeでもゲームでも絵本でもなんでも構いません。
とにかく子どもが好きなもの・安心できるものに触れる時間を提案してみましょう。
言葉で誘導するのが難しい場合は、実際に耳元で好きな音楽を流すなど、目や耳に直接アプローチしてあげるのも効果的です。
ネガティブな感情への集中がほどけやすくなり、次のステップに進みやすくなりますよ。
・「あなたは悪くないよ」とはっきり伝えてあげる
先ほどお伝えしたとおり、ネガティブなことの全体像を冷静にみる余裕がないのが、繊細な子どもの特性です。
だからこそ、ママが代わりに全体像(問題の原因や解決策など)を整理して伝えてあげることが大切です。
そして、一番伝えてほしいのは「あなたは悪くないよ」という一言です。
ママからすると「またこんなことで落ち込んでるの?」とイラッとすることもあるかもしれませんが、ため息をついたり、怖い顔をするなどの態度は絶対にNG!
子どもの不安やショックをさらに大きくしてしまいます。
優しい表情と声色で、 「〇〇君が悪かったわけじゃないよ。〜だったからこうなってしまったんだね」 と伝えてあげると、子どもは自分を責めるのをやめて落ち着くことができます。
私も息子にこのような対応を続けた結果、ちょっとしたことでは落ち込まなくなりました。
さらに驚くことに、何かネガティブなことが起きても、なんでもかんでも自分を責めるのではなく、「ちょっと考えてみる」と言って自分なりに整理しようとしている様子が見られるようになったのです。
「自分が悪い」以外の選択肢があるということを知るだけでも、子どもが感じている不安やネガティブ思考は和らぎます。
「不安が強いのは性格だから仕方がない」と決めつけず、はやめに適切な対応をしてあげてくださいね。

執筆者: 中谷 そら
発達科学コミュニケーション トレーナー