子育てで完璧を求めすぎて苦しんでいるママはいませんか?その完璧主義は大人の発達障害(ASD)傾向の特性かもしれません。この記事では、ASD傾向を持つ母親が完璧主義を手放し、子育ての悩みを解消する方法を、筆者の体験談を交えて解説します。
1.「なぜ、子育てがこんなにも辛いんだろう…」と感じていませんか?
もしあなたが、
・「完璧な母親でいるべき」という考えに縛られ、子育てに疲れ果てている
・子どもの困りごとを見て、「自分も同じことで悩んでいたな…」と過去の記憶がよみがえる
・調べてみたら「大人の発達障害(ASD傾向)」の特性に当てはまり、自分もそうなのでは?と不安を感じている
そう感じているなら、それは決してあなたのせいではありません。
長年、子どもの発達支援に携わってきた私自身、娘が自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があると診断されて初めて、自分が同じ特性を持つ母親だと気づきました。
この記事では、ASD傾向のある母親が陥りがちな完璧主義の正体と、そこから抜け出すための具体的な方法を、私自身の体験談を交えながらお伝えします。

2.【体験談】「完璧主義」の娘と私。親子に共通するASDの特性
私には、ASD傾向を持つ娘がいます。
娘は、新しいことには「失敗したらどうしよう…」と強い不安を感じ、なかなか行動に移せません。
一度やると決めたら、遊びでも何でも完璧を求めるため、すぐに疲れてしまいます。
学校では「良い子」を演じているため、家に帰るとその反動で癇癪を起こしたり、暴言を吐いたりすることも。
そんな娘の姿は、まるで昔の私を見ているようでした。
私も子どもの頃から完璧主義で、勉強も部活も、人から褒められるために必死で頑張ってきました。
大人になってもその特性は変わらず、仕事で完璧を求めすぎてオーバーヒート状態になり、帰宅後は気力が残っておらず、家族にイライラをぶつけてしまう…。
娘が外で頑張りすぎて家で爆発するように、私もまた、社会で完璧を演じすぎて、家では力を使い果たしてしまうのです。
この体験から、私は娘の苦しさが痛いほど分かるのは、大人の発達障害(ASD)の傾向を私自身も持っているからだと確信しました。
遺伝的な要因から、親子で似た特性を持つことは珍しくありません。
あなたが子どもの特性を深く理解できるのは、あなたもまた、同じ特性を持つ母親だからなのです。

3.なぜASD傾向のある母親は「完璧主義」になったり「不安」が強くなったりするのか?
あなたの頑張り屋な性格だけでなく、ASD傾向が、完璧主義や強い不安を引き起こす根本的な理由です。
◆理由①:見通しが立たないことへの強い不安
ASD傾向のある人は、「見通しが立たないこと」や「変化」に強い不安を感じやすい特性があります。
子育ては、子どもの成長や体調など、予測できないことの連続です。
この不確実性からくる不安を和らげるために、あなたは無意識のうちに「〜べき」という厳しいルールを自分に課し、完璧にこなすことで心の安定を保とうとしてしまうのです。
◆理由②:「良い母親」という模範を真似する特性
ASD傾向のある女性の中には、幼い頃から人との関わりに難しさを感じてきた人が多くいます。
そのため、社会でうまくやっていくために「模範的な行動」を徹底的に真似て生きてきた経験を持つ人が少なくありません。
母親になった時も、育児本やSNSで「良い母親」の理想像を探し、それに従おうとします。
しかし、これは現実とのギャップを生み、あなたの心を息苦しくさせてしまうのです。
あなたの完璧主義は、ASD傾向によって生まれた「心の安全装置」だったのかもしれません。
しかし、子育てにおいては、その安全装置が逆にあなたを苦しめてしまうことがあるのです。

4.完璧主義を手放す3つのステップ|ASD傾向の母親の心のケア
「このままではいけない」と思っても、何をすればいいか分からないですよね。
まずは、今日からできる小さな一歩から始めてみましょう。
◆STEP 1: 「〜すべき」を「〜でもいい」に置き換える
あなたの完璧主義の根源にある「〜べき」という思考パターンを少しずつゆるめていきます。
・「毎日手作りのご飯を作るべき」 → 「週に何回かはお惣菜でもいい」
・「部屋は常に片付いているべき」 → 「子どものおもちゃは、寝る前に片付ければいい」
・「ママ友との付き合いは頑張るべき」 → 「無理せず、気の合う人とだけ話せばいい」
このように、思考を書き出して「〜でもいい」を探すことで、心が少しずつ軽くなります。
◆STEP 2: 「不安」の感情に名前をつける
漠然とした不安は、私たちを深く疲れさせます。
そこで、「なぜ私は不安なんだろう?」と問いかけ、その感情に名前をつけてみましょう。
・「子どもが学校で困っていたらどうしよう…」
・「このまま仕事を続けていてもいいのかしら…」
・「私が子育てを失敗したらどうしよう…」
不安の正体を具体化することで、対処法が見えてきます。
そして、この不安があなたの責任ではなく、脳の特性であることも思い出してください。
◆STEP 3: 意識的に「一人時間」で心をリセットする
人との関わりが苦手で、悩みを話せない母親にとって、自分の時間を確保することは特に重要です。
たった10分でも構いません。
・お風呂にゆっくり浸かる
・好きな音楽を聴きながらコーヒーを飲む
・ただぼーっと外を眺める
子どもが寝た後や、保育園・学校などに任せられる時間に、自分を大切にする時間を作りましょう。
「私の心を休ませてあげる時間」と意識することで、子どもへの不安な気持ちの伝染を防ぐことにもつながります。

5.親子で幸せになるための「特別な才能」
完璧主義を手放し、自分の心をケアするようになってから、あなたの中で新たな気づきが生まれるはずです。
子どもの特性に「痛いほど共感できる」のは、あなた自身が似た特性を持っているから。
それは、他の誰にも真似できない「特別な才能」です。
子育ての悩みが「弱み」から「強み」へと変わります。
ありのままの自分と子どもを受け入れ、親子で幸せになる道を選んでいきましょう。
