聴覚が敏感な子どもは、日常生活の様々な場面で周囲から発せられる音にストレスを感じやすく、そのせいで疲れやすかったり怒りっぽくなってしまったり、ということがあります。本記事では、そんな聴覚過敏さんのストレスを和らげるママの声かけ方法をご紹介します。
1.子どもが音に敏感すぎることで困っていませんか?
音に対して非常に敏感な子どもの対応に悩んでいるママはいませんか?
大きな音が苦手、ざわざわした場所が苦手など聴覚が敏感なことで子どもが癇癪を起こしてしまったり、不安を感じて精神的に不安定になってしまう、というようなことはありませんか?
周りの人にとっては、それほど気にならないような音でも、耳を塞いでしまったり、もの音にビクビクしているような様子を見ると心配になってしまいますね。
そのようなお子さんは、聴覚が過敏になっているのかもしれません。
突然の音や身の回りの雑音は、意図せずとも入ってくるものですから、音を避けることは難しく、聴覚過敏さんの日常生活で受けるストレスはそうでない人に比べて大きくなります。

2.大きな音やザワザワが気になる!娘の困りごとに気づけなかった過去
我が家にも発達障害グレーゾーンで聴覚過敏のある娘がいます。
娘は、赤ちゃんの頃から大きな音が苦手で、物音や車やバイクの音ですぐに起きてしまったり、花火の音が怖くて花火大会には行けないというようなことがありました。
そのため、大きな音が怖いんだな、ということには気づいていましたが、「聴覚過敏」という発達の特性があると私が知ったのは、娘が小学生になってからです。
娘の聴覚過敏に気づいたのは、娘が小学3年生で小学校に行けなくなった時に受けた発達検査でのことでした。
その頃の娘は、学校に適応できず、精神的に非常に不安定になっていました。
あまり笑わず、いつも不安そうな顔をしていて、少しでも自分の思い通りに行かないことがあったり、何かを指摘されたりするとすぐに癇癪を起こしていました。
また、雷や強い雨風の音に強い反応を示すようになり、ひどい時は過呼吸を起こしてパニック状態になることもありました。
学校にも登校できず、家でも精神的に不安定になっている娘を見ていると、この子はこの先どうなってしまうんだろうと心配で心配でたまりませんでした。
その一方で、娘がなぜこの程度の音を嫌がるのかを理解できず、大きな音に慣れさせようと「大丈夫だから!」、「気にしない!集中!集中!」といったような声かけをして娘を励まそうとしていました。

3.周りからわかりづらい、聴覚過敏の特徴とは
聴覚過敏とは、音に対して敏感になり、大抵の人が気にかけないような音に気づいたり、多くの人が苦にならない音を苦痛に感じたりする特性のことをいいます。
苦手な音は人によって異なりますが、例えば以下のようなものがあります。
・運動会のピストルの音
・太鼓の音
・バイクや車の音
・大人数でのガヤガヤした声
・雷や風雨による音
など
さらに、聴覚過敏があると、無駄な音を排除することが苦手な場合が多く、周りの人の会話や機械音などが気になり目の前の重要な話に集中できず、イライラしてしまうこともあります。
また、聴覚過敏はストレスや不安で増幅されるという性質もあります。
体調が悪い時や不安を感じてドキドキしているときなどはいつも以上に苦手な音をキツく感じたり、周囲の音が気になってより一層不安が高まってしまったり、しんどくなったりしてしまいます。
そのため、登校しぶりをしているような学校が苦手な子どもだと、学校という環境にいるだけでストレスを感じ、余計に聴覚の過敏さが出てしまい、それが更なるストレスになるということが起こる可能性もあります。
そして、聴覚過敏の難しいところは、他者には理解が難しいというところにあると思います。
本人がその音をどのように感じているのかは、周囲はわからないので、その人に聴覚過敏があると知らない限り、配慮が難しい側面があります。

4.聴覚が敏感な子どもにオススメなママの対応
子どもに聴覚過敏があると、過去の私のように、大きな音や雑音に慣れさせればいいのではないか、と考える人もいるかもしれませんが、残念ながらこのやり方は逆効果になってしまいます。
聴覚過敏の子どもに対して大切なのは、心地の良い音を周りに増やしてあげることなのです。
そのため、聴覚過敏の子どもに接する時には、ぜひ以下のような点に注意してみてください。
・声色:優しく、穏やかな声で話す
・声量:大きな声で呼んだり指示をするのではなく、近づいて話す
・物音:家の中を歩く音、物を置く音、扉を閉める音などは穏やかに
特にママ自身がイライラしていると物音が大きくなってしまうことがあるので注意しましょう。
こうしたことを意識して声かけをしていくことで、少なくとも家の中では落ち着いて過ごすことができるようになります。
私がこれらのことに気をつけて子どもと接するようになってから、娘は表情が明るくなり、癇癪も減り、学校にも行ける日が増えていきました。
まずは、お家の中から、子どもが安心できる環境を作ってあげましょう!
難しいことはないので、ぜひやってみてくださいね。

執筆者:中川 まさみ
発達科学コミュニケーション トレーナー





