朝の子どもの身支度がなかなか進まないことにイライラして困っていませんか。何度指示を出しても動かないと、つい「早くして!」とせかしてしまいますよね。この記事では、子どもが自分から行動するようになる、朝の行動習慣が定着する対応をご紹介します。
1.朝から子どもにイライラ、「早く準備しなさーい!」とせかしてしまうお母さんへ
朝、子どもがやっと起きてきたと思ったら、
・椅子に座ってぼーっとしている
・テレビの前から動かない
・顔洗った?荷物の準備はできているの?など声をかけても生返事
というように、声をかけても動かない子どもにイライラしてしまうことってありませんか。
私は、子どもが保育園に遅れないようにと指示を出しては、動かない子どもに
「なんですぐに動かないんだろう、やる気がないのかな」
「早くやれば出発まで好きなことできる時間も増えるのになぜ」
と毎朝思いながら、指示を出しては無視されたり反抗されてイライラする、ということを繰り返していました。
けれど、子どもの脳の特性を知り、やる気がないとか反抗しているわけではないんだ、と思えるようになってから、私は朝の声かけをガラッと変えました。
細かな指示だしを封印し、子どものやる気を引き出す声掛けや対応をすると、子どもは少しずつ自分から動けるようになっていったのです。

2.起きたらまずテレビ、朝の身支度が進まないわが子にイライラ
わが家の年長の息子は、まず起きたらテレビの前に座って動かなくなることがほとんどでした。
なので、いつも私は、起きてきた子どもに「まず着替えようか」「トイレは行った?」と先手で声をかけていました。
ところが、子どもは、
・トイレに行ったらそのままテレビの前へ
・「先に準備してからテレビにしない?」「ご飯食べて準備完了してからの方がゆっくり見れるよ」と声をかけてもムッとする
・朝ごはんもダラダラ
このように、朝の準備が進まないという日々でした。
保育園児なので、持ち物の準備はそこまで大変ではないものの、着替えや身支度はもう言われなくても自分でしてほしいし、朝ごはんもすぐに食べてほしい。
忙しい朝は、
✔️家事
✔️自分の身支度
✔️子どもの登園準備
出発の時間までにやることがたくさんあるのに、子どもはすぐに動かず、ゆっくりのんびりすぎて、
最終的には「早く準備して!」「もう時間だから行くよ!」と怒ってしまい、私も子どもも嫌な気分で出かけることがしょっちゅうでした。

3.自分から行動しないのは、私の細かな指示出しが原因だった
年長のわが子は、着替えたり、ご飯を食べたりと行動自体はもうできるのに、なぜ朝の忙しい時間に動くことができなくなるのか。
理由は、私の“細かすぎる指示出し”と“せかす雰囲気”にありました。
私は、朝起きてきた子どもに、「おはよう、まずは○○しようか」と声をかけていました。
あいさつもそこそこに指示を出していたのです。
また、私は先に起きて家事や身支度を始めており、時間内に完了するぞ、と焦っていたり、せかせかした雰囲気を出したまま子どもに接していました。
繊細な息子にとってこれは、
「プレッシャーを感じる」→「不快な刺激」→「脳はストレスを感じてしまう」
という状態でした。
脳はストレスを感じると、実行機能が働きにくくなってしまい、その結果わが子はスムーズに行動することができなくなってしまっていたのです。
そしてもう一つ。
子どもの脳は「今」に集中しており、先やることは何か、次にすることは何か、順序立てて行動することが難しい場合があります。
そのため、朝やることはわかっていても何から手を付けていいかわからなかったり、がみがみ言われる嫌なことから逃れるために、「脳のストレスが少ない楽しいこと=テレビ」へ避難していたのです。
息子は怠けていたのではなく、“脳が動けない状態だった”からなかなか朝の身支度に取り掛かることができなかったのです。

4.朝こそ明るく、笑顔で、指示出し封印!したら自分から行動するようになった
脳のストレスを減らし、自分から朝の身支度ができる行動習慣をつけてもらうために、私が実践した対応をご紹介します。
①まずは笑顔とやわらかい態度であいさつ
朝の脳ストレスを高めないために、まず朝起きれたことがすごい、という気持ちを込めて「おはよう!」と笑顔で挨拶し、ハイタッチやハグするようにしました。
最初は、指示がないことに不思議そうな顔をした子どもでしたが、すぐに笑顔であいさつするようになり、朝から不機嫌そうにすることがなくなりました。
②指示出しせず、子どもの行動を待ち、行動したらすぐ声をかける
穏やかな気持ちであいさつしたあとは、指示は出さずに自分の準備に戻り、子どもがまず何をするか待ってみるようにしました。
最初は、「あーこのまま何もしなかったらどうしよう」「まず○○したらいいのに」と心の中でもんもんし、焦る気持ちもありました。
ただ、しばらく待っていると何かしらの行動をし始めました。
すかさず「トイレ行ってすっきりしたね」「お、着替え出してるんだね」と見たままを声をかけるようにしました。
見たままの声かけを行うことで、肯定的な注目でコミュニケーションがスタートし、子どもも私の話を素直に受け取れるようになりました。
そして、肯定された行動(ほめられたり、注目された)はその日だけでなく、翌日も行うことが増え、自分から行動を起こすようになったのです。
③一番やりたいことをはじめにやってもらう
朝のぼんやりした脳を活性化させ、行動できるようにするために、やりたくないことよりも、やりたいことを先にやってもらうことにしました。
わが子の場合、朝一テレビタイム(30分)をオッケーにしました。
これまでは、「先に準備しないと後から困るよ」や「準備してからだったらゆっくり見れるから先ご飯食べて」と何度もやめさせようとしたり、後回しにしてもらおうと、我慢させる声かけや指示を出していました。
けれど、我慢することって子どもでなくてもストレスがかかりますよね。
さらに、準備していないうちからテレビを見ている子どもに対し、小言を言ったり、注意することがありました。
それらの言葉によって、よくないことなんだな、悪いことしているのかも、と繊細なわが子はだんだん自信もなくしていってしまっていたようでした。
そこで、朝一テレビタイムを設けてからは、小言や否定的な意見は我慢し、「今日は○○見るんだね」「これ面白いね」など声をかけ、見終わるころに「テレビタイム楽しかったね、じゃあ今度は何するんだった?」と促すようにしてみました。
見終わった満足感と、怒られなかった安心感から、私の次の言葉を素直に受け止め、その他の行動にもスムーズに移行することができるようになりました。

5.子どもが素直に行動し、朝の支度がスムーズに
息子は今、
・朝は自分から「おはよう」と笑顔で起きてくる
・トイレ→着替え→テレビのルーティンで動く
・テレビを見終えたら自分で荷物の準備
というように、自分のペースで朝の身支度を進めることが増えてきました。
指示出ししなくとも動けるようになり、朝からイライラすることなく、親子で気持ちよく一日をスタートできる日が確実に増えています。
朝の子どもの身支度が進まずに困っていたら、原因は“やる気のなさ”ではなく、 脳のストレスが邪魔しているだけかもしれません。
なぜ行動できないのか観察し、朝の対応を変えてみませんか。

執筆者:濱田 歩美
発達科学コミュニケーション アンバサダー





