子どもが黙って泣く・動けない「フリーズ」は、HSC(ひといちばい敏感な子)や発達障害グレーゾーンの子に起こりやすい反応です。起こる理由と、家庭でできる具体的な関わり方を紹介します。
1.フリーズしてしまう子どもの対応に悩んでいませんか?
突然、子どもが静かなパニック状態になることがあります。
例えば、声をかけても…
●黙り込む
●泣き続ける
●しゃがみ込む
●うなだれる
●動かない
そんな姿を見ると、「どう接していいのだろう…」「このまま待っていて大丈夫?」と不安になりますよね。
でも、これは甘えやわがままではありません。
子どものフリーズは、脳の特性が生み出す防御反応で、本人も「動きたくても動けない」状態です。
脳のストレスが限界に達し、「助けて」というSOSを出しているサイン。
大切なのは無理に反応を引き出すことではなく、安心できる環境で心と脳を落ち着かせてあげることです。
落ち着けば、子どもは自然に行動を再開できます。
この記事では、その理由と家庭でできる具体的な対処法をお伝えします。

2.うなだれて何時間でも座り込んでいた息子
私の息子は自閉スペクトラム症(ASD)グレーゾーンで、HSC(ひといちばい敏感な子)です。
人の気持ちに敏感で、感受性が豊か。
幼いころから感覚過敏や母子分離不安があり、もともと不安を抱えやすいタイプでした。
●教室で他の子が叱られると、自分も叱られているように感じてしまう
●大声で叱られたり、強いストレスがかかると黙って動けなくなる
涙を浮かべ、体育座りのまま何時間も動けないこともありました。
「どうしてここまで繊細に反応してしまうのか」 当時の私は、この理由が分かりませんでした。

3.フリーズするのは子どもの脳からのSOS
強いストレスを受けると人の脳は、「闘うか、逃げるか」で対処しようとします。
●闘う→言い返す、反抗する
●逃げる→その場から離れる
でも、どちらも選べないとき、脳は第三の選択をします。
それが、フリーズ(凍り付き・シャットダウン)です。
HSCの子は特にフリーズしやすい傾向があるといわれています。
①刺激に敏感で、ストレスを受けやすい
●大きな声
●急な叱責
●緊張した空気
これらを危険と感じやすく、脳のストレス反応が一気に高まります。
②脳の情報処理に時間がかかる
HSCは、深く考える傾向があります。
「どうしよう…」
「何を言うのが正しい?」
情報が多いほど混乱し、行動が止まりやすくなります。
③人の感情に引っ張られやすい
●誰かが怒られている
●場の空気がピリッとしている
●相手の悲しみや怒りを、自分のことのように強く受け取ってしまう
こうした状況にいると、子どもの脳は「自分も危険にさらされている」と過剰に反応し、フリーズが起きやすくなります。
④「間違えちゃいけない」という不安が強い
慎重さがあるため、どう返せばいいかを考えすぎて動けなくなることがあります。
⑤言葉にするハードルが高い
●うまく言語化できない
●伝える前に不安が勝ってしまう
その結果、黙る→固まる→動けないというフリーズにつながります。
これらが重なると、子どもの脳は処理しきれず、フリーズという形でブレーキをかけます。
HSCのフリーズは、刺激に敏感な脳と深い情報処理が重なって起こる自然な反応です。
つまり、これは「もう無理…」という脳からのSOSなのです。

4.安心感がフリーズ解消のカギ
息子がフリーズしたとき、私が行った対応は大きく2つあります。
①そっとする・時間を置く
「今は話すのは難しいよね。またあとで話そうね」と穏やかに伝え、そっと距離を置きます。
急かしたり強い口調で声をかけるのはNG。
さらに脳の緊張が高まり、フリーズが長引く原因になります。
まず必要なのは、安心・安全な雰囲気と空間作りです。
②ホームカウンセリング
時間が経ち、表情が和らいできたら、ゆっくり話を聞きます。
●「どうしたの?」
●「何かあった?」
フリーズ中に話せなくても大丈夫。
言葉が出るようになるまで、急かさず待ちます。
状況を整理して話すことは、子どもにとってとても難しいことです。
あとで一緒に整理していくことで、少しずつ「どう対処すればいいか」学んでいきます。
言葉が出始めたら、
●「そうだったんだね」
●「それは悲しかったね」
と否定せず受け止めます。
たとえ大人には理解しづらいことでも、子どもにとっては本気でつらいこと。
その気持ちを尊重してあげることで、安心して気持ちを話せる土台が育ちます。
こうした関わりを積み重ねることで、息子はフリーズの回数が減り、状況を言葉で説明できる場面が増えました。

5.フリーズは限界まで頑張ってきた証
フリーズは問題行動ではなく、子どもが限界まで頑張ってきた証です。
何も言えなくなるのは、弱いからではありません。
それほどつらい気持ちと向き合っているということ。
ママの一言や表情、寄り添いが、子どもの心に安心感を与えます。
「わかるよ。ママはいつでもあなたの味方だよ。ひとりで抱えなくていいからね」
そんなメッセージが伝わる関わりを、これからも少しずつ一緒に作っていきましょう。

執筆者:たかなし りら
発達科学コミュニケーション アンバサダー





