あの子はできているのに、うちの子は…と感じてしまう瞬間はありませんか。他の子と比べてしまう自分に、モヤモヤするママも多いかもしれません。その奥にある「このままで大丈夫?」という不安の正体と、今のわが子を見つめるためのヒントをお伝えします。
1.他の子と比べてしまうママのざわつき
誰かと会った帰り道や、園の行事のあと。
理由ははっきりしないけれど、心の中にざわつきが残ることがあります。
周囲のペースと、わが子のペース。
その違いを突きつけられたような気がして、胸の奥が落ち着かなくなる。
気づけば、わが子を周りの子と見比べてしまう。
あの子はもう一人で支度ができる
あの子は友だちがたくさんいる
あの子は先生の話をよく聞いている
それに比べて、うちの子は…。
このままで大丈夫だろうか。
今のうちに何とかしないと、取り残されてしまうのではないか。
焦りが強くなるほど、目の前の子どもにイライラしてしまう。
そしてそんな自分に、また落ち込む。
子育ての最中は、ママの心は常に揺れやすいのかもしれません。

2.「あの子はできているのに」が止まらないママでした
私の息子が、周りの子と同じように集団生活を送れていなかったときのことです。
時折、園の様子が目に入ると、どうしても他の子と比べてしまっていました。
楽しそうに遊んでいる子どもたち。
先生の話を聞いて動いている子どもたち。
あの子たちは社会生活を送っている。
うちの子はいつも私と二人で家にいる。
その現実に直面するたびに、遅れているような気がして、焦りが強くなっていきました。
どうしたらいいんだろう。
優しく寄り添えばいいのか。
それとも、少し厳しくしたほうがいいのか。
正解を探して、何かを足そうとする。
でも、何をしても焦りは消えませんでした。
今振り返ると、私はずっと「他の子と比べる」という前提のまま、わが子を見ていたのです。
遅れを取らせてはいけない。
その思いが、知らないうちに一人のママとしての視界を狭くしていました。

3.比較の正体は「このままで大丈夫?」という未来への不安
私は、比較することで子どもの将来までも案じていました。
たとえば、先生や近所の人に大きな声であいさつできる子を見たとき。
すごいなと思うと同時に、うちの子はまだできない、と感じてしまう。
そして、頭の中では次の考えが動き出します。
このままで大丈夫だろうか。
小学校に入ったら困らないだろうか。
今できないのは、関わり方が足りないからかもしれない。
本来、子どもの行動は、そのときの状態に大きく左右されます。
・眠い、緊張している、不安がある
・環境にまだ慣れていない
・体の発達のペースがゆっくり
同じ子でも、状態が変われば行動は変わります。
それなのに私は、「今できない」という一場面だけを切り取って、それがこの先も続く問題のように見ていました。
挨拶できない息子は、このままだと困る。
そしてその視線は、少しずつ自分にも向いていきます。
親の関わり方が違うのかもしれない。
私のやり方が足りないのかもしれない。
子どもの発達の差と、ママとしての自分の価値を、 同じもののように扱ってしまっていたのです。
でも本当は、そこに直接のつながりはありません。
他の子と比べて落ち込んでしまうとき、私たちが見ているのは「あの子との違い」そのものではないのかもしれません。
本当に見ているのは、その違いから生まれる「このままで大丈夫だろうか」という未来への不安なのだと思います。

4.「できる・できない」ではなく、状態を見る
比較の正体が未来への不安だとしたら、私はいつも、まだ起きていない未来を見て、不安になっていたことになります。
だからこそ、視点を「未来」から「今」に戻す。
「できる・できない」ではなく、今どんな状態にいるのかを見るようにしました。
朝はすぐに動けるのか、それともぼんやりしているのか。
好きなことをしているときは落ち着いているのか、それともそわそわしているのか。
たとえば、お出かけの直前に「行きたくない」と言われたとき。
以前の私は、せっかく予定していたのにとイライラしていました。
でも今は、その言葉の奥にある状態を考えます。
・人が多い場所が不安なのかもしれない
・疲れていて動きたくないのかもしれない
・何か気になることがあるのかもしれない
理由を決めつけるのではなく、想像してみる。
そうすると、子どもの心の動きが少しだけ見えてきます。
私の場合は、「行くって言ったじゃん」から「何か不安なことがあるのかな」に変わりました。
すると子どもは、少しずつ自分の気持ちを話してくれるようになりました。
子どもの状態が見えるようになると、「どうすればいいか」も、少しずつ見えてきます。
このように、ママが見ている場所が変わると、子どもへの関わり方も、自然と変わっていきました。

5.比較は「見る場所を変えるサイン」になる
他の子と比べてしまうこと自体が、悪いわけではありません。
「あの子はできているのに…」と感じたとき、その奥には、「このままで大丈夫だろうか」という不安があります。
だから大事なのは、比較をやめることではなく、その瞬間に気づくことでした。
「ああ、私は今、未来を見て不安になっているな。」
そう気づけたとき、「できる・できない」ではなく、「今どんな状態にいるのか」に目を向けることができます。
比較は、自分を責める材料ではなく、見る場所を変えるためのサインだったのです。
日々の中で感じるざわつきが、すぐになくなるわけではありません。
それでも、何を見るかが変わると、ママの関わり方は少しずつ変わっていきます。
その変化の中で、子どももまた、自分のペースを取り戻していくのかもしれません。

執筆者:渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション アンバサダー





