「時間がない」と不安になる子どもの背景にあるかもしれない言葉の影響

空に向かって笑顔の男の子
「時間がない」ことに焦りや不安を感じる子どもを不思議に感じたことはありませんか?その背景には、親の何気ない言葉が影響していることがあるかもしれません。言葉が不安に与える影響と、使う言葉を変えたことで見えてきた変化をお伝えします。
 
 

1.「時間がない」ことに焦りや不安を感じる子ども

 
 
「もう寝る時間だよ」
 
私が何気なく言ったその一言から、息子の不安は始まります。
 
 
息子は時計を何度も確認し、「もうこんな時間になっちゃった」と涙ぐみ、やがてパニックになる。
 
 
そんなことが何度もあり、私はずっと不思議でした。
 
 
子どもは時間をあまり気にしないものだと思っていたからです。
 
 
けれど息子は「時間がない」ことに、焦りや不安を強く感じる子どもでした。
 
 
私自身がその息子の不安を知らず知らずのうちに大きくしていたことに、後になって気づきました。
 
 
そして、関わりを少し変えたとき、息子の不安は少しずつ和らいでいきました。
 
 
この記事では、親の言葉が子どもにどう届くのか、そして言葉を変えたことで起きた変化についてお伝えします。
 
 
困っている男の子
 
 

2.時間にこだわる息子が理解できなかった私

 
 
息子は特に、夕方と寝る前になると、何度も時間を確認する子どもでした。
 
 
「もうこんな時間になっちゃった」
「まだやりたいことがたくさんあったのに」
 
 
自分の思い通りに時間が使えないと「時間がない」と強く感じ、焦りや不安が一気にあふれ出します。
 
 
私は泣いている息子を前に、
 
「時間はまだあるよ」
「大丈夫だよ」
 
と声をかけていました。
 
 
しかし、息子の焦りは、まったくおさまりませんでした。
 
 
「もう5時過ぎちゃった。」
「どうしたらいいの?」
 
こんな言葉をつぶやきながら、息子はますます不安を強めていきました。
 
 
どんな言葉をかけても息子には届かず、息子は泣いたり怒ったりし続ける…。
 
 
あの頃の私は、どうしてそこまで「時間」にこだわるのかわからず、息子を困った子だと思っていました。
 
 
悩んでいる女性
 
 

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3.息子の不安を大きくしていた私の言葉

 
 
そんな中、発達科学コミュニケーションを学ぶうちに、発達の特性をもっている子どもの中には「言葉をそのまま受け取る」子がいると知り、私はハッとしました。
 
 
私は、何事にも時間がかかる息子を急がせるつもりで、
 
「もう〇時だよ」
「もう寝る時間だよ」
 
というような言葉をよくかけていました。
 
 
けれど、息子はその言葉の裏にある「早くしてほしい」という意味を理解していなかったのかもしれない。
 
 
息子は、「もう〇時だよ」という言葉の「もう」の部分だけを強く受け取っていたのではないか。
 
 
「もう」=危ない、間に合わない、大変なことになる
 
 
そんなふうに、「私の言葉が息子の中で警報のように響いていたのかもしれない」と気づいたのです。
 
 
さらに私は「時間がなくなるよ」という言葉もよく使っていたことに気づきました。
 
 
息子に「時間がない」という不安を与えていたのは、私の言葉だったのかもしれない。
 
 
ここで初めて、私は言葉の影響を考えました。
 
 
言葉と書かれた積み木と虫眼鏡
 
 

4.「もう」を「まだ」に変えた関わり

 
 
そこで私は、息子への言葉を意識して選ぶようになりました。
 
 
私は、息子の時間の捉え方を変えるため、言葉を変えることにしたのです。
 
 
「もう」は、息子にとって不安を強める言葉です。
 
 
私は、「もう」と「時間がない」という伝え方をやめようと決めました。
 
 
日常には、急がせたいときももちろんあります。
 
 
けれど、
 
「もう8時だよ」ではなく、「まだ8時なんだね」
「もう寝る時間だよ」ではなく、「寝る準備ができたら教えてね」
「時間がなくなっちゃうよ」ではなく、「9時までに準備しよう」
 
こんなふうに、時間の「終わり」を伝えるのではなく、時間が「まだある」伝え方を意識るようにしました。
 
 
最初、息子は「もう8時だよ」などと、私の言葉を言い直していました。
 
 
それでも私は繰り返し「時間がまだある」という伝え方を続けました。
 
 
すると少しずつ、息子の中に時間は「まだある」という感覚が育っていきました。
 
 
私自身も、「もう」という言葉を手放したことで、少しずつ急かさずに待てるようになっていきました。
 
 
ハートの積み木と人
 
 

5.言葉が息子の安心を育てた

 
 
そんな言葉をかけ続けていると、息子に少しずつ変化が見られるようになりました。
 
 
「まだ〇時なんだね」
「まだ遊ぶ時間あるね」
 
自分から、そんな言葉を口にするようになったのです。
 
 
「まだある時間」の中で、何をしようかと考える姿も見られるようになってきました。
 
 
もちろん、完璧に「時間がない」という不安がなくなったわけではありません。
 
 
けれど息子の中で「時間がなくなる怖さ」より「まだある安心」が少しずつ育っているのを感じています。
 
 
私はこの変化から、
 
  • 子どもを動かそうとしてかけていた言葉が、知らず知らずのうちに子どもの不安を大きくしていたこと
  • 言葉が安心を育てる力にもなること
 
を学びました。
 
 
「もう〇時だよ」は、時間を伝える言葉。
 
 
けれど子どもにとっては、「時間がなくなる合図」になることもあります。
 
 
言葉は「子どもの世界の見え方」を作っている。
 
 
そう思うようになりました。
 
 
もし今、「もう〇時だよ」と伝えているなら、ほんの少しだけ「まだ〇時だね」と言い換えてみる。
 
 
それだけで、子どもが見ている世界は、違って見えるのかもしれません。
 
 
空に向かって笑顔の男の子
 
 

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執筆者:三谷 のぞみ
発達科学コミュニケーション アンバサダー
 
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