夫と話が通じず、子育てを一人で抱えているような孤独と怒りを感じていた私。息子の発達検査をきっかけに、夫の行動を「性格」や「悪意」だけで捉えるのではなく、物事の受け取り方や考え方の違いという視点で見られるようになりました。夫を変えようとするのではなく、伝え方を変えたことで、少しずつ家庭が回り始めた実体験をお伝えします。
1.「夫と話が通じない…」一人で子育てしているような孤独
子育てをしていると、「夫と話が通じない」と感じ、夫婦で子育てをしているはずなのに、一人で頑張っているような気持ちになることはありませんか。
本当は、もっと子どものことを話したい。
一緒に考えたい。
困っていることを相談したい。
けれど、期待していた返事は返ってこない。
話しても、どこか他人事のように見える。
以前に伝えたことも覚えていない。
「どうして、二人の子どものことなのに、こんなに温度差があるんだろう」
私は少しずつ、「どうせ話しても、わかってもらえない」と思うようになりました。
気づけば、夫と同じ家にいるのに、一人ぼっちのような孤独を感じていました。
夫は外では人当たりもよく、仕事も問題なくこなしています。
それなのに家に帰ると、急にスイッチが切れたように、自分から動かなくなる。
私は、「どうして、こんなに噛み合わなくなってしまったんだろう」と思っていました。
けれど振り返ってみると、私たち夫婦は、最初からうまくいかなかったわけではありませんでした。

2.私も同じだった。子どもが生まれてから噛み合わなくなった夫婦
私は結婚9年目。
発達の特性があり、集団生活がとても苦手な6歳の息子と、3歳の娘がいます。
子どもが生まれるまでは、夫婦で全国を旅し、子どもを作らず二人の時間を楽しむ計画を立てるほど、周囲から見ても仲のよい夫婦でした。
そんな関係が少しずつ変わり始めたのは、6年前、息子が生まれてからです。
例えば、生活の中で
「スピードコースで洗わないでほしい。」
「洗濯物をきつきつに干さないでほしい。」
そう何度お願いしても、伝わらない。
育った環境が違うから仕方ない。
私が口うるさいから、聞こえないふりをしているんだ。
そう自分に言い聞かせていました。
子どもが生まれてからは、私が指示役になり、夫は言葉通りに動く存在になっていきました。
「おしり拭きを持ってきて。」
「どこにあるの?」
「あっちの部屋の棚の2段目。」
「これでいい?」
「うん、それ。」
指示通りには動く。
でも、自分で考えたり、状況を察して動くことはありません。
この会話が何年も続きました。
一番怖かったのは、子どもの安全に対する危機管理意識の低さでした。
旅行中、高速道路のサービスエリアでのことです。
私は3歳の娘がお昼寝していたため、娘と車に残り、夫と6歳の息子が二人でお店に入りました。
たまたま入口が見える位置に車を停めていた私は、 息子が一人で出てくる姿に気づきました。
夫の姿はありません。
車が行き交う中、今にも飛び出しそうな息子に向かって、私は大声で叫びながら駆け寄りました。
あとで聞くと、夫は息子がトイレに行きたくないと言ったため、一人でトイレに行ってしまったとのことでした。
息子の言葉をそのまま受け取り、その場に一人残したらどうなるか。
そこまで想像が及んでいない様子でした。
このように、私にとって当たり前だと思っていたことが、夫には伝わっていないと感じる出来事が何度もありました。
私は育児で毎日いっぱいいっぱいなのに、一番理解してほしい夫に理解されず、二人の子どもを一人で育てているような孤独を感じていました。

3.息子の発達検査で点が線に変わった日
息子の発達検査の問診票を書いていたとき、「両親が小さい頃、言葉の遅れを指摘されたことはありますか」という項目があり、夫に聞きました。
夫は、「保育園行くまで(年中)あまりしゃべらなかったらしいよ」と、あっさり答えました。
その瞬間、今までの疑問が一気につながった気がしました。
- 言葉をそのまま受け取る
- 察することができない
- 責められるとフリーズして無視になる
もしかすると、生活の中で感じるズレは、私と夫では物事の受け取り方や考え方に違いがあるからなのかもしれない。
※診断を受けたわけでも、診断を目的としたものではありません。あくまで私自身が家族との関わりを見直す中で得た一つの気づきです。
でもこの気づきは、これからの家族の在り方を考える大きな転機になりました。
ここで私が強く思ったのは、「もっと早くお互いの違いに気づいていればよかった」ということでした。
でも本当は、一番つらかったのは出来事そのものではありませんでした。
期待して、わかってもらえなくて、また期待して、また裏切られたように感じる。
その繰り返しで、少しずつ自分の気持ちが削れていく感覚でした。
「どうせ言っても無駄」
「また私が我慢すればいい」
そう思う回数が増えるたびに、夫に話しかける前から心の中で諦めている自分がいました。
怒るほどのエネルギーもなくなり、説明する気力もなくなり、気づけば期待すること自体をやめていました。
でもそれは、私が大人になったからでも、強くなったからでもありません。
ただ、これ以上傷つかないように、自分の心を守っていただけだったのです。
だから私は、「夫を変える」ためではなく、これ以上、自分の心をすり減らさないために伝え方を変える必要がありました。
そして、発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学ぶ中で、「察してもらうことを待つ」のではなく、「伝わりやすい形で伝える」ことを意識するようになりました。

4.夫の脳に「伝わる」を意識した「肯定のサンドイッチ」という伝え方
では、どうすればお互いに気持ちよく協力しながら生活を回していけるのか。
その方法は発コミュの基本の型にありました。
- 肯定から始める 「洗濯してくれてありがとう」
- 具体的・短い指示 「標準ボタンを押してくれると助かるな」
- もう一度肯定 「ありがとう、気持ちよく干せるよ」
これは、 責めたり否定したりするよりも、安心できる雰囲気の中で具体的に伝える方が、 脳に届きやすくなります。
- 柔らかい声のトーンを意識する
- 笑顔で名前を呼ぶ
- スマホを見ているときは軽くトントンと触れる
それだけで、反応は大きく変わりました。

5.伝え方を変えたら、家族が回り始めた
この伝え方を始めてから、夫の無視は減り、指示が通るようになりました。
「言わなくても察してほしい」という期待を手放し、どう伝えたら伝わるかを考えるようになったことで、私自身のイライラも減っていきました。
完璧ではありません。
今でもイライラすることはあります。
それでも、「これは脳の受け取り方や感じ方の特性かもしれない」そう思えるだけで、心の余白が生まれました。
もし今、
- 夫と話が通じない
- 宇宙人と話しているみたい
- どうせ言っても無駄
そう感じているママがいたら今日から少しずつ、肯定のサンドイッチのコミュニケーションを試してみませんか?

執筆者:栗原 あかり
発達科学コミュニケーション トレーナー




