【お家療育シリーズ7】負けると泣く子に親ができること|白黒思考をやわらげ「また挑戦したい」を育てる家庭での関わり方

怒っている子供
ゲームや競争で負けるたびに泣いてしまう…。そんな子どもに悩む保護者へ。白黒思考の背景を脳科学の視点から解説し、「また挑戦したい」と思える認知の柔軟性を育てる家庭でできるお家療育を生徒さんの体験談とともに紹介します。
 
 

1.ゲームで負けるたびに泣く…「一番じゃないと嫌!」で悩んでいませんか?

 
 
「もうやらない!」
 
ゲームで負けるたびに泣く。
負けそうになるとゲームをやめてしまう。
 
 
そんな我が子を見て…
 
「どうしてこんなに負けず嫌いなんだろう。」
「友達とうまく遊べなくなるんじゃないかな。」
「私の育て方が悪かったのかな。」
 
と、心配になっているママはいませんか?
 
 
本当は、家族みんなで笑いながら楽しく遊びたいのに、ゲームをするたびに「また始まった…」と家の空気が重くなる。
 
 
私もこれまで、生徒さんたちから同じようなご相談をたくさん伺ってきました。
 
 
実は、負けて泣く子どもは「わがまま」なのではありません。
 
 
「勝ち」か「負け」かの二つだけで物事を捉えてしまう『白黒思考』という思考の特性が背景にあることがあります。
 
 
だからこそ、お家療育で育てたいのは、「泣かない子」ではありません。
 
 
「またやってみよう」と思える力を育てることなのです。
 
 
怒っている子供
 
 

2.「負けても仕方ないよ」が伝わらず、親子で苦しかった毎日

 
 
私の生徒さんGさんのお子さんのお話です。
 
 
小さい頃から「一番じゃないと嫌」という気持ちがとても強く、家族でトランプやボードゲームをすると、負けた瞬間に泣いたり、ゲームを途中でやめてしまったりすることが何度もありました
 
 
せっかく家族みんなで楽しく遊んでいるのに、そのたびに場の空気が重くなり、いつしか「今日はゲームはやめておこうか」と、家族全員がゲームを避けるようになってしまったそうです。
 
 
学校でも同じでした。
 
 
かけっこで一番になれないと、その日一日ふさぎ込んでしまう。
 
負けることが分かっただけで、「もうやらない」と挑戦することをやめてしまう
 
 
そんな姿を見るたびにGさんは、
 
「このまま友達とうまく遊べなくなるのでは…。」
「集団生活で困るようになったらどうしよう。」
 
と、将来への不安ばかりが大きくなっていったそうです。
 
 
「負けても仕方ないよ!」と何度も励まし、時には厳しく叱ることもありました
 
 
けれど、お子さんの様子は変わりません。
 
むしろ、「一番じゃないと意味がない」という思いは、ますます強くなっていくように感じたそうです。
 
 
そんな時に発達科学コミュニケーションを学び、初めて知ったのが白黒思考という考え方でした。
 
 
「この子は負けず嫌いなのではなく、勝ちか負けかの二つだけで物事を捉えてしまうんだ。
 
 
そう気づいてからGさんは、「泣かせないこと」を目標にするのではなく、「結果以外にも目を向けられる力を育てよう」という視点で関わるようになりました。
 
 
悩んでいるママ
 
 

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3.「負け=全部ダメ」ではない|白黒思考の子どもの脳で起きていること

 
 
白黒思考とは、「成功か失敗か」「一番か、それ以外か」というように、物事を極端な二択で捉えてしまう考え方です。
 
 
もちろん、小さな子どもには誰にでも見られる発達の特徴です。
 
 
しかし、不安が強い子や完璧主義な子、発達特性のある子どもの中には、この傾向が強く表れることがあります。
 
 
私たち大人であれば、
 
「負けたけれど昨日より速く走れた。」
「一位にはなれなかったけれど最後まで頑張れた。」
「負けたけれど楽しかった。」
 
と、一つの出来事をいろいろな角度から見ることができます。
 
 
ところが、白黒思考が強い子どもは違います。
 
 
勝った=成功。
負けた=失敗。
 
 
この二つだけで判断してしまうため、周りが「惜しかったね」「頑張ったね」と感じる場面でも、本人の中では「全部ダメだった」という大きな失敗体験になってしまうのです。
 
 
これは性格や育て方が原因ではありません。子どもの脳はまだ発達の途中だからです。
 
 
特に、気持ちを整理したり、「別の見方もある」と考えたりする前頭前野は、小学生になっても成長を続けています。
 
 
そのため、負けた瞬間は悔しさや悲しさが先にあふれ、「もう終わり」「自分はダメだった」と感じやすくなるのです。
 
 
だからこそ、お家療育で育てたいのは、勝ち負けだけで自分を判断しない認知の柔軟性です。
 
「負けたけれど最後まで頑張れた。」
「昨日より上手になった。」
「友達を応援できた。」
 
そんな“勝ち”と“負け”の間にある成長に気づけるようになると、子どもの見える世界は少しずつ変わっていきます。
 
 
そして、その積み重ねが「悔しかった。でも、またやってみよう!」という次の挑戦につながっていくのです。
 
 
ポジティブ
 
 

4.「またやってみよう」が育つ!今日からできる5つのお家療育

 
 
白黒思考は、「ダメだから直すもの」ではありません。
子どもの脳が発達していく中で、少しずつ柔軟な考え方を身につけていく途中の姿です。
 
 
だからこそ、「泣かないようにさせる」ことを目標にするのではなく、「負けてもまた挑戦したい」と思える経験を積み重ねることが、お家療育では大切になります。
 
 
今日からご家庭で取り入れられる5つの関わりをご紹介します。
 
 

① 結果ではなく「過程」を認める

 
ゲームが終わると、つい結果だけに注目してしまいます。
 
 
けれど、白黒思考が強い子どもは、結果だけを見れば見るほど、「勝ち=成功」「負け=失敗」という考えが強くなってしまいます。
 
 
そこで意識したいのが
 
「最後まで頑張れたね。」
「昨日より考えていたね。」
「ルールを守って最後までできたね。」
 
と、努力や工夫、挑戦した過程を言葉にしてあげることです。
 
 
親が結果以外の価値を伝え続けることで、子どもも少しずつ「頑張ることにも意味がある」と感じられるようになります。
 
 

② 安心して勝てる経験を積む

 
負けることが怖い子どもに、「負けても大丈夫」と言葉だけで伝えることは難しいものです。
 
 
最初はゲームにハンデをつけたり、勝ちやすいルールを取り入れたりして、「勝てた!」「できた!」という安心できる経験を積み重ねてあげましょう。
 
 
安心感が育つと、「またやってみよう」という意欲も少しずつ育っていきます。
 
 

③ 親が「失敗しても大丈夫」を見せる

 
子どもは親の姿から多くのことを学びます。
 
 
料理を焦がした時、道を間違えた時、ゲームで負けた時
 
 
「失敗しちゃった。でも、次は頑張ろう。」と笑っている親の姿は、「失敗しても終わりじゃない」という最高のお手本になります。
 
 
完璧な親になる必要はありません。
むしろ、失敗を前向きに受け止める姿を見せることが、お子さんの認知の柔軟性を育てます。
 
 

④ 勝敗を楽しめる遊び方に変えてみる

 
勝ち負けへの不安が強い子には、ルールを少し工夫するのもおすすめです。
 
 
例えば、「ババなしババ抜き」のように負けるプレッシャーを減らした遊びは、安心して参加しやすくなります。
 
 
また、家族全員で「○回笑ったら勝ち」「時間内に片付けられたら成功」など、みんなで協力して達成するゲームに変えるのも良い方法です。
 
 
「ゲーム=勝ち負け」だけではない経験が、子どもの視野を広げてくれます。
 
 

⑤ 「次はどうしたい?」を一緒に考える

 
負けた直後は、悔しさでいっぱいです。
そんな時に「泣かないの!」と注意しても、子どもの心には届きません。
 
 
まずは「悔しかったね。」と気持ちを受け止めてあげましょう
 
 
気持ちが落ち着いたら「次はどうしてみようか?」と未来の話をしてみてください。
 
 
失敗を振り返るだけではなく、「次の一歩」を親子で考える時間が、挑戦する力を育てていきます。
 
 
ゲームを楽しんでいる子供たち
 
 

5.目指すのは「負けても泣かない子」ではありません

 
 
負けて泣いてしまう姿を見ると、「もっと気持ちを切り替えてほしい」と願うのは自然なことです。
 
 
けれど、切り替える力も、子どもの脳が発達する中で少しずつ育っていく力です。
 
 
負けたことよりも、挑戦したこと。
結果よりも、その過程で積み重ねた経験。
 
 
そこに親が目を向け続けることで、子どもは少しずつ「勝ち」と「負け」の間にあるたくさんの成長に気づけるようになります。
 
 
お子さんの「負けたくない!」という気持ちは、見方を変えれば、それだけ真剣に物事へ向き合える力です。
 
 
その力を否定するのではなく、「挑戦する力」へ育てていく。
 
それがお家療育です。
 
 
いつか「悔しかった。でもまたやろう!」そう笑って話すお子さんの姿を楽しみに、今日からできる関わりを一つずつ始めてみてください。
 
 
親子でゲームを楽しむ様子
 
 

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