夏休み終盤、「学校行きたくない」と暗い顔をする子ども。 新学期をちゃんと迎えられるか不安になっていませんか?「またあの朝が始まったら…」と心配なママに知ってほしい、親子の不安が大きくなる心の仕組みと、新学期に向けて今できることをお伝えします。
1.「2学期、ちゃんと学校に行けるかな」と不安になっていませんか?
お盆が終わり、長かった夏休みもあと少し。
2学期が近づいてくると、
「もうすぐ学校か…」
「2学期、行きたくないな」
そんな言葉が子どもから聞こえてきたり、学校の話をすると少し表情が曇ったりすることはありませんか?
そんな様子を見ていると、
「また『行きたくない』って動けなくなったらどうしよう」
「このまま学校に行けなくなったら…」
と、ママの心の中でも不安がどんどん膨らんでしまいますよね。
特に、1学期に行き渋りがあったりお休みがちだった子なら、なおさらです。
夏休みに家でゆっくり過ごして、元気になってきたように見えるからこそ、
「今度こそ、いいスタートを切ってほしい」
「できれば元気に学校へ行ってほしい」
と願うのは親としてとても自然なことです。
すると、
「そろそろ生活リズムを戻さないと」
「宿題を終わらせておかないと」
「少しずつ学校モードに切り替えた方がいいかも」
と、子どもが2学期をスムーズに迎えられるように、今のうちにできることをしておきたくなります。
けれど、新学期に向けて整えておきたいのは、子どもの生活や行動だけではありません。
実は私も、「2学期はちゃんと学校に行ってほしい」と心配するあまり、子どものためと思って、あれこれ先回りしていたことがありました。

2.「いいスタートを切らせたい」と焦っていた私
夏休みの終わりが近づくにつれて、私の頭の中は子どもの新学期のことでいっぱいになっていました。
1学期には行き渋ることもあったので、「学校が始まる前に、ちゃんと元の生活に戻しておかないと」と、日に日に焦る気持ちが大きくなっていったのです。
だから私は、子どもが2学期にいいスタートを切れるように、
「そろそろ早く寝た方がいいんじゃない?」
「宿題、ちゃんと終わりそう?」
「もうすぐ学校始まるよ」
と、学校のことを何度も口にするようになっていました。
もちろん、少しでもスムーズにスタートを切らせてあげたいという親心からでした。
けれど、私がそうやって焦って言葉をかければかけるほど、息子は「もうすぐ学校かあ……」とどんどん表情を曇らせ、不安そうにするようになっていったのです。
今振り返ると、私の表情や声、何気ない言葉には「2学期、本当に大丈夫?」 という強い不安と焦りがにじみ出ていたのだと思います。
実は、こうしたママの不安は、言葉でどれだけ取り繕っても、子どもにしっかりと伝わってしまうことがあります。

3.ママの不安が子どもの不安を大きくすることも|情動感染
特に、繊細なタイプの子どもを育てるママに知っておいてほしいのが、「情動感染(じょうどうかんせん)」という心の働きです。
情動感染とは、相手の表情や声のトーン、態度などを通して、感情が周りの人にも伝わっていくこと。
人の気持ちや空気感を敏感に察知する子どもは、ママの心の中にある
「2学期は元気に学校に行ってほしい」
「また『行きたくない』と言われたらどうしよう」
「このまま学校に行けなくなったら……」
「新学期が来るのが怖い」
という不安や心配を、言葉にしなくても直感で感じ取ることがあります。
ママが笑顔で過ごしているつもりでも、ちょっとした表情や声のトーンなどから、その緊張感が伝わってしまうのです。
子ども自身も、夏休みの終わりが近づけば、新学期に対して少なからず不安や憂鬱な気持ちを抱えていることがあります。
そこにママの不安が重なると、親子でお互いの不安を感じ取り、不安がどんどん大きくなってしまうことがあるのです。
だからといって、「ママが不安になってはいけない」ということではありません。
大切なのは、ママが「私、今すごく不安になっているな」と自分の気持ちに気づくこと。
子どもを安心させようとする前に、まずはママ自身が自分の不安と向き合い、少し心を整えてみる。
それが、子どもが新学期に一歩を踏み出すためのサポートにもつながっていきます。

4.夏休み明けに向けて、まずママの不安を整理しよう
新学期への不安で胸が押しつぶされそうなときは、頭の中にある不安を一度「紙やスマホのメモ」に書き出してみるのがおススメです。
心の波を落ち着かせるために、 次の3つのステップで整理してみましょう。
① 今、何を不安に思っているかを「そのまま」書き出す
まずは、頭に浮かんでいる言葉をそのまま書き出します。
「新学期、また『行きたくない』って泣かれたらどうしよう」
「また毎朝、子どもとぶつかる生活に戻るのがつらい」
「この子の将来はどうなってしまうんだろう」
キレイな文章にする必要も、ポジティブに言い換える必要もありません。
「私は今、こんなに心配していたんだな」と、自分の気持ちを否定せずにそのまま見つめてみてください。
② 「今の事実」と「未来の予測」を分けてみる
次に、書き出した不安を「今起きている事実」と「まだ起きていない未来の予測」に分けてみます。
【未来の予測(まだ起きていないこと)】
「このままずっと学校に行けなくなるかもしれない」
「新学期初日から行き渋るかもしれない」
【今の事実(目の前で起きていること)】
「今日は家で自分の好きなことをして過ごしている」
「ご飯はしっかり食べられている」
「まだ『新学期に行かない』と決まったわけではない」
繊細な子を育てるママは、日頃から我が子の変化をよく観察しているからこそ、先々のリスクまで深く考えてしまいがちです。
ですが、「ずっと行けなくなるかも」というのはママの頭の中にある“未来の不安”であって、“今日の事実”ではないことに気づくことが大切です。
③ 「今、ママにできる小さなこと」だけに意識を向ける
最後に、「今日できること」を考えてみましょう。
「今夜は子どもの好きな献立にしよう」
「今日は学校の話はせず、ゆっくり過ごそう」
「休んだときの連絡手順だけ、確認しておこう」
未来のことはコントロールできなくても、今日できることはあります。
「あれもこれも」と焦らず、まずは1つか2つで十分です。

5.ママの「安心」は、繊細な子どもにとって一番のお守り
新学期が近づけば、「始業式に行けるかな」「朝、ちゃんと家を出られるかな」と気になるのは当然です。
そして、生活リズムを整えたり、必要なら学校と相談したり、新学期に向けて準備することも大切なこと。
しかし、不安に背中を押されて「あれもこれも」と動く前に、まず大切にしたいのはママが子どもの「心の安全基地」になることです。
そして、先ほどお話しした「情動感染」は、不安だけでなく「安心」も同じように伝わります。
ママの心が整って落ち着きを取り戻すと、表情や声のトーン、家の中の空気も自然と柔らかくなります。
特に、周りの変化を敏感に感じ取る子どもにとって、「ママが落ち着いていてくれる」ことは、なにより大きな安心につながります。
さらに、ママにも心のゆとりが生まれると、視点を「未来の不安」から「今目の前にいる子ども」へと戻せるようになります。
「今、この子はどう感じているかな?」
「何に不安を感じているのかな?」
「今、この子に必要な安心は何だろう?」
そうやって子どもの状態を冷静に見つめられるようになると、
「今は家で安心して過ごせる時間を増やそう」
「学校で気になっていることがないか、少し話を聞いてみよう」
「先生に今の様子を事前に伝えておこう」
など、今この子に必要なサポートも見えやすくなります。
親ができるのは、子どもの代わりに一歩を踏み出すことではありません。
子どもが「やってみようかな」と思えたときに踏み出せるよう、足元を安心感で満たしてあげることです。
そして、どれだけ準備をしても、新学期の朝に「行きたくない」と足が止まることはあります。
そんなときも、「せっかく準備したのに」「このままずっと行けなくなったらどうしよう」と答えを急がず、「今、この子には何が必要なんだろう?」と、もう一度子どもの状態を見てあげてください。
もしかしたら、その日は少し立ち止まることが、その子にとって必要なタイミングなのかもしれません。
学校に行けたか、行けなかったかという結果だけで、新学期のスタートが決まるわけではありません。
ママの安心を土台にしながら、目の前の子どもに必要なサポートを重ねていくこと。
それが、子どもが自分のペースで次の一歩を踏み出すための力になっていきます。

\“どう関わればいいか迷う”ママへ/
「待つ?手伝う?」と悩みやすい場面での関わり方を
不安が強い子が「自分でやる」を少しずつ増やしていく
視点と具体的な声かけにまとめました。
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー




