感覚過敏でトイレに一人で行けなかった年長のわが子。来年は小学生なのに、このまま行き渋りや不登校につながるのではと不安でした。できるように急がず、安心を積み重ねた関わり方と、その変化をお伝えします。
1.トイレに付き添う毎日と、「この先どうなるんだろう」という不安
トイレに行くたびに呼ばれて、家事を止める。
今日もまた、付き添う。
「そのうち出来るようになる」
そう言い聞かせていても、ふと浮かぶ。
来年は小学生なのに、このまま一人で行けなかったら…
それが、行き渋りや不登校につながるかもしれないと思った瞬間、 急に不安に駆られる。
この記事は、その不安を抱えたまま、今日もトイレに付き添っているママに向けて書いています。

2.もうすぐ小学生なのに…不登校や行き渋りにつながるかもしれないと怖かった頃
一人でトイレに入れない。
流せない。
拭けない。
呼ばれるたびに手を止めて、付き添う。
心の中では「また…」と思ってしまう。
優しくしたいのにできない自分が、いちばんつらかった。
小学生になるのに、このままで大丈夫?
トイレのことで学校が怖くなったら?
行き渋りや不登校につながったら?
焦るのに、何をどうすればいいか分からない。
ただ、不安だけが大きくなっていました。

3.感覚過敏がある子に、「できない」が起こる本当の理由
「このまま学校でもトイレに行けなかったらどうしよう。」
当時の私は、そんな不安ばかりを抱えていました。
でも今振り返ると、トイレそのものが行き渋りや不登校の原因になるわけではありません。
ただ、毎日の「怖い」「できない」という経験が積み重なると、「学校でもできなかったらどうしよう」という不安につながることがあります。
では、なぜ子どもはそこまでトイレを怖がっていたのでしょうか。
感覚過敏があると、トイレという場所は、私たち大人が思っている以上に刺激の多い空間になります。
- 個室に一人で入ることへの不安
- 水を流す大きな音
- こもった匂い
- 汚れが手につくかもしれない感覚
こうした刺激に対して、子どもの脳は「慣れよう」とするよりも先に、危険を避けようと強く反応します。
だから、トイレに一人で行けなかったのは、甘えでも、やる気がないからでもありません。
安心できる条件が、まだそろっていなかっただけでした。
けれど当時の私は、
「もうすぐ小学生なのに大丈夫かな」
「このまま行き渋りや不登校につながったらどうしよう」
と、先のことばかりを考えていました。
でも今振り返ると、その不安が強いほど、トイレは「失敗できない場所」になっていたように思います。
早く出来るようになってほしい。
周りと同じように出来てほしい。
そんな思いが、知らず知らずのうちに伝わり、子どもにとってトイレは、ますます緊張する場所になっていました。
だから必要だったのは、無理に一人で行かせることでも、出来るように急がせることでもありませんでした。
「ここは怖がってもいい場所」
「失敗しても大丈夫な場所」
「一緒にやっていい場所」
そう感じられる安心を、少しずつ積み重ねていくことだったのです。
不安をなくそうとするより、安心を増やす関わりに切り替えたとき、トイレへの向き合い方も、少しずつ変わり始めました。
あの頃の私は、「どうしたら出来るようになるか」ばかりを考えていました。
でも今振り返ると、必要だったのは出来るようにすることよりも、安心できる状態に戻すことだったのだと思います。

4.トイレを「怖い場所」から「できた!が増える場所」に変えた関わり方
感覚過敏がある子にとって大切だったのは、一人でトイレに行けるようになることよりも、トイレ=安心できる場所だと感じられることでした。
そこで私が意識したのは、「出来ないことを減らす」ではなく、出来ているところを一つずつ積み重ねる関わり方です。
まず、普段の生活の中で当たり前に出来ていることに目を向け、肯定の声かけを続けました。
それによって、少しずつ「自分はできる」という感覚が育っていったように思います。
トイレに行きたいと言われたときは、ただ連れて行くのではなく、遊びの要素を取り入れました。
「何秒でトイレに行けるかな?」と数字を数えながら向かうことで、トイレまでの時間が不安ではなく、楽しい時間に変わっていきました。
トイレの中では、一つひとつの動作を、細かく言葉にして褒めました。
「ズボンを下ろせたね」
「ちゃんと座れたね」
「トイレットペーパーをいい長さで切れたね」
「お尻、きれいに拭けたね」
「すっきりしたね」
「水、流せたね」
「うんち、バイバーイ!」
「全部できたか」ではなく、一つできるたびに、安心と成功体験を積むことを意識しました。
この関わりを続けるうちに、トイレは「失敗したら怒られる場所」ではなく、「できたことを一緒に喜んでもらえる場所」に少しずつ変わっていきました。
結果として、トイレに行くことへの緊張が和らぎ、「やってみようかな」と思える状態が育っていったのだと思います。

5.付き添いが必要だった子が、一人でトイレに行けるようになるまで
すぐに大きな変化があったわけではありません。
相変わらず「一緒に来て」と言われる日もありました。
でも、あるとき気づいたのです。
私が先回りして声をかける前に、子どもが一人でトイレに向かっていました。
最初は、ドアの前まで。
次は、トイレから姿が確認できる距離まで。
少しずつ距離はあき、そしていつの間にかなっていました。
「できるようになった」というより、「大丈夫だと思えた瞬間が増えていった」そんな感覚でした。
以前は、一人でトイレに行けないことばかりに目が向き、この先どうなるのかと不安でいっぱいでした。
でも今振り返ると、安心が積み重なったことで、子ども自身が「やってみよう」と思える状態に戻っていったのだと思います。
トイレの付き添いが必要だった時間は、決して無駄ではありませんでした。
あの時間があったからこそ、子どもは自分のペースで、一歩を踏み出せたのだと思います。
もし今、「このまま小学校に行けるのかな」「行き渋りや不登校につながったらどうしよう」と不安を感じているママがいたら、伝えたいです。
出来るようになることを急がなくても、安心できる関わりがあれば、子どもはちゃんと進んでいく。
トイレの困りごとは、その一つのサインに過ぎません。
大切なのは、子どもが「一人でも大丈夫」と思える状態を、一緒に育てていくことなのだと思います。

\“どう関わればいいか迷う”ママへ/
「待つ?手伝う?」と悩みやすい場面での関わり方を
不安が強い子が「自分でやる」を少しずつ増やしていく
視点と具体的な声かけにまとめました。
執筆者:山口 あおい
発達科学コミュニケーション トレーナー




