外ではいい子なのに、家では癇癪や暴れが目立つ…そんな子どもは発達障害グレーゾーンの特性が関係していることも。家で荒れる原因と、親が安心して対応できる具体的なサポート法をまとめました。
外では優等生で周りから「いい子」と言われるのに、家に帰ると癇癪を起こして暴れる…
そんなお子さんを見て「うちの子、発達障害やグレーゾーンかも?」と心配になるママは少なくありません。
実は、外で頑張りすぎている子どもほど、家でストレスが爆発しやすくなります。
この記事では、家で荒れる理由や、発達障害グレーゾーンの可能性を踏まえた親のサポート法をまとめました。
1.外ではいい子、家で癇癪を起こすわがまま息子の実例
実は私もかつてとても心配になった一人です。
わが家の息子も外ではいい子だけど、家ではすぐ癇癪を起こし暴れまわる。
そのうえ、わがまま放題でとても荒れていました。
思い通りにならないと、金切り声をあげてとにかく暴れる!の繰り返しです。
もう勘弁してほしい!!と思うことが何度もありました。
周りの人に相談しても、
「男の子なんてそんなもん!」
「大きくなれば落ち着くよ!」
と言われるばかりで、理解してもらえず辛い思いをしました。
なんでうちの子だけこんなに手がかかるんだろうと思っていたのです。
しかし、この大変さを誰かに分かってもらうというのは到底無理な話だったのです。
なぜ理解してもらえないのか?
それは外ではいい子なので、家で本気で暴れて荒れている息子の姿を周りの人は想像しにくいから。
さらに、当時は私自身も息子の特性を十分に理解できていませんでした。

2.外ではいい子だけど家で癇癪を起こしてしまう子どもの特性とは?
年齢にもよりますが幼い子どもの場合だと、家ではわがままやりたい放題というのは、自分の意見に気づき主張するようになった成長のあらわれと言えます。
しかし、7歳になって癇癪がひどくなった…、
小学校高学年になると家で癇癪が見られるようになった…、
などと年齢が上がって癇癪がひどくなっているケースは、何らかの原因が隠れている可能性があります。
その原因の一例を紹介していきます。
♦①子どもの発達特性が関係している場合
私の息子は小さい時から不安が強く、小学4年生の時に母子分離不安になりました。
それから母子登校・付き添い登校も経験しました。
保育園時代にも母子分離ができず、登園させることにとても苦労していたのを覚えています。
当時も育てにくさをとても感じていましたが、第一子ということもありこんなものかもしれないと思っていました。
しかし振り返ってみると生まれもった不安気質が影響していたのかもしれません。
「子どもの様子が心配…うちの子も母子分離不安かも?」と思ったときは、チェックリストや家庭でできる対応策がまとまった記事も参考にしてみてください。
また、息子は同じく4年生の頃に発達障害・自閉症スペクトラム症(ASD)グレーゾーンという診断も受けています。
ASDの特性として、人間関係の苦手さや、コミュニケーションの苦手さがあります。
子どもは、その苦手さから外ではギリギリのところで一生懸命にやっているのに、家に帰ってくるとお母さんからは
「宿題はしたの?」
「早くご飯食べて!」
「早く明日の準備して!」
「早く寝なさい!」
と言われると、もう「イヤだー!」となりキャパオーバーになってしまい癇癪を起こしてしまうというわけです。
わが子のように生まれ持った気質や発達障害・自閉症スペクトラム症のグレーゾーンの特性が関係して家の中での癇癪に繋がってしまうこともあります。

♦②強いこだわりが原因の場合
発達障害・グレーゾーンの子どもの場合、特性として強いこだわりを持っている子どももいます。
そのような子どもは、こだわりの対象が物から人へと移る場合があります。
小さい時はおもちゃなどの物がうまく動かない時に起こしていた癇癪が、年齢があがってくるとその対象が人へと移ってしまうことがあるのです。
その対象になりやすいのが一番身近にいる母親です。
子どもが思うようにお母さんが動いていなかったり、自分の思うようなタイミングでお母さんから返事がないなどがあると、その度に癇癪を起こしてしまい止まらなくなってしまうことがあります。
だから、お母さんへの強いこだわりを持っているお子さんは、家の中で癇癪を起こしてしまうケースがあるのです。
♦③見過ごされやすい発達障害・グレーゾーンの影響
小学校高学年から中学生頃に、外ではいい子なのに家だけ暴言・暴力、暴れるなどが増えたと感じた場合、背景には発達による原因があるかもしれません。
比較的年齢が上がってから癇癪が見られるようになったお子さんは、ある程度の事は頑張ればできてしまうので、何とか適応しながら生活を送っていましたが、
他者との比較ができるような年齢になってくると、「皆と同じようにできない!」とイライラやモヤモヤが爆発してしまうことがあります。
恐らく今までも簡単にできていたのではなく、子どもにとってはかなり努力しながら周りに付いていっていたり、合わせていたのでしょう。
それが、「もうこれ以上はできない!」と限界を迎えてしまうことで癇癪を引き起こしてしまいます。
脳の発達に凸凹があることで、今までのように適応していくことが難しくなっていると考えられます。
つまり発達障害の可能性も考えてお子さんへ対応をしていくことが必要だということです。
癇癪を起こす子どもは、親を困らせようとわがままを起こしているのではなく、子ども自身が持っている特性が影響して引き起こしてしまうものと考えることができます。
これらのような癇癪は絶対にそのままにしていてはいけないのです!
その説明を次でしてきますね。

3.癇癪をそのままにしてはいけない理由
癇癪を起こすことが当たり前になってしまうと、脳は癇癪を起こすとスッキリするという誤学習をしてしまいます。
そうすると
・落ち着いて自分の気持ちを話すことからどんどん遠ざかる
・コミュニケーションが成立しないので、親子関係が壊れる危険
・嫌なことが起きる➜すぐ癇癪という脳のクセがついてしまい、思考力や問題解決力が育ちにくくなる
『イヤなことがあれば直ぐに癇癪を起こしてスッキリ』というメカニズムができあがったまま、癇癪について何も手を打たず様子見していると、大人になってもすぐキレるようになってしまいます。
しかし分かって欲しいのは、癇癪は子ども自身もコントロールできないことが多く、子ども自身も苦しんでいます!
だからこそお母さんのサポートが必要なのです。

4.家で癇癪を起こす子への大切な3つの対応
お母さんがお家の環境を整えることで、癇癪などが軽減されると考えられます。
♦①癇癪は見て見ぬ振り(ディスタンシング)を!
癇癪が起きた時、同じように感情的になって応戦していませんか?
癇癪をやめさせようとお母さん達は子どもをなだめたり、注意したり必死に対応しお子さんの要求をのむこともあると思います。
実はその行為自体が子どもの癇癪をまた引き起こさせてしまうことになるのです。
癇癪を起こすと誰かが解決してくれる、誰かが手を貸してくれると脳が誤学習してしまうので、同じような対応をしていては癇癪はなくなりません。
なので、癇癪が起きた時はディスタンシングというスタイルをとります!
これは見て見ぬ振りをするという意味です。
お子さんの安全を確保しながら、徹底的に癇癪を無視します。
「癇癪を起こしても何も良いことは起きませんよ」という思考を脳に刷り込ませるためのテクニックです。
最初はなかなか見て見ぬ振りをするのが大変かもしれませんが、徹底したディスタンシングを行うと、癇癪の時間が減ったり回数が減ったりと必ず効果が出てきますので、ぜひ試してみてください。
お母さんは癇癪が始まったら安全確保をして家事をする、本を読む、別室に移動するなど工夫してみてくださいね。
癇癪後に自分で落ち着くことができたら、「自分で気持ちを整えられたね」などとできたことを褒めてあげることも忘れずにしてあげてください。
お家での癇癪に悩むママには、具体的な声かけや対応のコツをまとめた記事もおすすめです。

♦②子どもの気持ちを言葉で吐き出させる
暴言などが出てくるなら、子どもがその気持ちを全部吐き出せるようにお母さんは聞いていきましょう。
子どもが文句を言っているなら、
母)「何かいやなことがあったの?」「どうしたの?」
子)「〇〇が腹が立つ」「むかつく」
母)「そうなんだね、腹が立つくらい嫌だったんだね」
「それから?他にある?」
うんうん、それから?それから?と子どもが思っていることを全て言葉にして出させるようにしていきましょう。
心の奥底に溜まっているモヤモヤした気持ちを全て吐き出せるように手伝うという気持ちでやってみてください。
最初はうまくいかないかもしれませんが、筋トレと一緒で回数を重ねていくことで少しずつうまくできるようになります。
うまくいかない時は、話を聞くタイミングを変えてみるなどして、状況に合わせて声をかけるようにしてみてくださいね。
♦③家を安心・安全な居場所にする
癇癪やわがまま行為が目立つ子どもには、お母さんが子どもの1番の味方である、家庭が安心できる場所である、ということを分かってもらうことが大事です。
なのでお母さんは、極力指示を出すことなく笑顔のお母さんでいて欲しいと思います。
いつもお母さんがニコニコ笑顔でいると家の中の雰囲気はとても良くなりますので、子どもが外で頑張っていることを理解し、出来るだけ家ではゆったりとした気持ちで過ごしてもらうようにしましょう。
また、可能ならば家以外の場所、例えば放課後デイサービスなどでも、子どもの気持ちを聞いてもらえるように環境を整えていきましょう。
年齢が高くなり、母親に対しての暴言・暴力などが増えてくるとお母さんだけが子どもの気持ちを受け止めるということが難しくなってきます。
放課後デイサービスを利用していなければ、習い事や地域の子どもの集まる場所などを利用して、外にも居場所を作れるようにしていくと良いですね。
お母さん以外にも気持ちを出せるような居場所を作ったり、子どもが頑張りすぎることを当たり前とせず、外でもありのままの自分をさらけ出せるようになることを目指していきましょう。
そのような場所が出来ることでお母さんに向けていた暴言・暴力なども少なくなることが期待できます。
安心・安全な場所があるからこそ、外ではうまく適応しているので、わが子はどのようなタイプなのか観察してみるところから始めてみてくださいね。

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