自閉スペクトラム症(ASD)グレーゾーンの子どもは自分の気持ちを抑えて我慢してしまう傾向があります。それに気づかず対応が遅れてしまうと、問題が起きた時には心のケアに時間がかかってしまいます。ASDグレーゾーンの子には早めの対応が鉄則です。
1.ASDグレーゾーンの子に早めの対応が大切なわけ
こんな子どもの気になる様子はありませんか?
✔︎人との関わりやコミュニケーションをとることが苦手
✔︎感覚に過敏さがある
✔︎こだわりの強さがある
✔︎急な変更にパニックを起こす
これは社会性の特性のある自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある子によく見られる姿です。
はっきりとした診断はついていないけれど特性が強すぎて育てにくさを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ASDタイプの子は家では困り事が多いのに園や学校ではあまり目立ちません。
なぜなら自分の気持ちを抑えて我慢してしまう傾向が強いからです。
ですので園や学校の先生に相談しても「頑張っているので心配ないですよ」と言われてしまうことが多くあります。
時期がくれば落ち着くだろうと様子を見ていても子どもの困りごとはよくなりません。
それどころか悪化していくと、うつ症状や不登校、他者への暴言暴力など二次的な問題に発展していく可能性があるのです。
2.不安を先延ばしにした結果、息子に出た症状
私にはASDグレーゾーンの小学3年生の息子がいます。
息子は小さな頃から育てにくい子でした。
不安がとても強く、新しい場所に慣れるのに時間がかかったり、こだわりが強い、思い通りにならないと癇癪を起こすなどといった行動が多く見られていました。
そんな息子の姿に私はどう対応してよいのか分からずに困り果てていました。
しかし、園でも学校でも「ちゃんとやっていますよ。心配ありませんよ」と言われるばかり。
しかし、小学校に入学した年の10月、息子は登校を渋り始めました。
自信を失った息子は毎日のように激しい癇癪を起こし、さらに攻撃的な姿へと変わっていきました。
気に食わないことがあると体当たりして攻撃する、そして猛獣のように暴れる息子を見て「どうしてこんな姿になってしまったんだろう」と切なくてたまりませんでした。
3.「何か気になる」の気持ちを大切に
ASDグレーゾーンの子は身体面での発育は正常、知的にも年相応の知能があるので見た目では分かりません。
しかし、特性ゆえに努力してもできないことがあります。
それは脳の特性によるものなので仕方のないことなのですが、特性からくる行動で親から叱られることも多いのです。
時期がくれば落ち着くかと対応を先延ばしにしていると息子のように自信を失い、さらに特性がエスカレートして心のケアに時間がかかってしまいます。
そうなると子どもも家族もとても辛くなってしまいます。
ですので毎日一緒にいるお母さんが「あれ?何か気になるな」「育てにくいな」と感じた気持ちを大切にしてほしいのです。
人の環境で子どもは大きく変わっていきます。
4.ASDグレーゾーンの子への対応で大切な2つのポイント
ASDグレーゾーンの子が自信を失わないための大切なポイントを2つお伝えします。
◆ポジティブな記憶を入れる
ASDタイプの子はネガティブな記憶を溜めやすいといった特性があります。
ですので肯定的な記憶をたくさん入れていくことが大切です。
穏やかな声かけができているか、せわしないコミュニケーションになっていないかを意識していきましょう。
周りの大人が子どもの持つ特性を理解して正しい対応をしてあげることで子どもは劇的に良い方向に向かっていきます。
◆日常生活の中で肯定をして自信をつける
子どもの行動に対して事実をそのまま言葉にするだけでOKです。
「起きたね。おはよう」
「顔洗ってるね」
「ご飯食べてるね」
「はみがきしてるね」
ただシンプルに子どもの行動を伝えるだけで立派な肯定になります。
お母さんの言葉と子どもの「できた」の積み重ねが成功体験となり自信へとつながっていきます。
子どもに自信がない状態ですと、新しいことにチャレンジすらできなくなってしまいますので、日常の中で子どもを肯定することを心がけてくださいね。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
たなだりみ