不安が強くて学校に馴染めなかった我が子ですが、子どもの困りごとを『マズローの欲求5段階説』という理論に当てはめて考えると対応することができます。学校に合わないのならと別の進路を考えましたが、諦めなくても学校で過ごすことができるようになりました。そこで、不安が強い子の対応と親ができることをご紹介します。
1.学校に馴染めない我が子に不安が消えない
うちの子、いつになったら学校に馴染めるのだろうか…と心配している親御さんはいませんか?
・他の子はもうすっかり馴染めているのに、どうしてうちの子だけ馴染めないの?
・先生には「学校では頑張っている」と言われるけど、心配でしょうがない。
・子どもに学校のことを聞くけど「楽しくない」と言う
お子さんがこんな様子だったら、親御さんが心配になるのも当然ですよね。
もう少し様子をみてもいいのだろうか?
様子を見ることで登校拒否や不登校になってしまったらどうしよう?
心配すればするほど、悩みが深みにはまってしまっていませんか?
この記事は
✔︎子どもがなかなか学校に馴染めなくて、心配に思っているママ
✔︎学校に慣れるために、どう対応していけばいいのかわからないママへ
私の実体験をご紹介しますので、参考にしていただけたら幸いです。
2.娘がようやく学校に馴染めるのは3学期…
娘は内気で自分からお友達を誘うこともできず、環境の変化にとても敏感な子でした。
・先生の大きな声が苦手
・集団の中では固まってしまう
・ルールの変更が苦手
など繊細なところがあります。
1年生では給食が全く食べれず1年かけて完食できるようになったのに、新学期に教室や担任の先生、給食のルールも変わりまた全く食べれないところからのスタート…
春休み前まで完食していたのに、4月には一口も喉を通らない。
毎年新学期になると、今までできていたことがほぼできなくなり振り出しに戻る。
そんな娘が学校に慣れたかなと思えるのは3学期になってから。
しかし3学期なんてあっという間です。
娘が自由に動き出せるようになって、「給食も完食できた!」と聞いてもすぐ新学期…。
これを毎年繰り返していました。
環境の変化以外にも娘にとって振り出しに戻ってしまう原因が何かあるんだろうと思っていましたが、それが何かわからず、娘も私もどうしたら良いのかわかりませんでした。
病院を受診したりスクールカウンセラーさんに相談しているうちにだんだん娘は『不安が強い子』なのでは?と感じるようになってきました。
不安が強いって何?
不安が強いとどうなるの?
そう疑問に思いだして調べてみると、娘のことだ!と納得できることばかりで腑に落ちました。
3.不安が強い子の現在地はどこ?
子育てをしていると、そんな瞬間がたくさんありますよね。
こんな時…
私はいつも『マズローの欲求5段階説』という理論を頭に思い浮かべて、「もしかして子どもの心理状態ってこうなってるのかな?」と考えるヒントにしています。
心理学や教育学を勉強したことがある方なら知っているかもしれませんね。
マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を5段階で表したものです。
ピラミッド型になっていて、下から順に満たされないと上の段階にはいけません。
自己実現欲求:自分で何か成し遂げたい、自分らしく生きていたいという欲求
承認欲求:誰かに認めてもらいたいという欲求
社会的欲求:友達や組織、何らかの社会的集団に所属したい、受け入れられたい、安心感を得たいという欲求
安全欲求:心身の安全の確保、安定した生活を送りたいという欲求(学校に馴染めない、学校に行きたくないと思うのは学校が安全ではないからです)
生理的欲求:生きていくために必要な本能的欲求(食事、睡眠、排泄など)
子どもに起きている困り事をこの表に当てはめてみましょう。
そうすると子どものどの欲求が満たされていないのかがわかるはずです。
不安の強い子どもは「安全欲求」が満たされていない状態にあります。
学校に行く、教室に入る、友達と関わるなどは「安全欲求」が満たされた上での欲求段階「社会的欲求」に該当します。
当然、「安全欲求」が満たされていない状態であれば、その先の「社会的欲求」には到達ができないのです。
学校が安全である、教室が安全である、友達が安全であること。
安心安全が保証さえすれば、不安が強い子どもでも次にステップアップすることができます。
他の子どもと比べずに、お子さんがステップアップができるまでは、安全を保証してあげるお手伝いをしていきましょう。
お子さんのペースで焦らずに‼︎
4.学校に馴染めない不安が強い子の対応
子どもが学校に馴染めないからと、お子さんが苦手なことを無理やりやらせるような荒治療はますます不安が大きくなるだけなので逆効果になります。
子どもの安全欲求を満たすには?親ができること、不安が軽くなるようなサポートをご紹介します。
◆スキンシップ、甘えさせてあげる
不安を軽減してあげるには、何と言ってもスキンシップです。
抱っこやハグをさせてもらえる年齢の子はいくつでも受け入れましょう。
6年生でも中学生でも年齢や性別は関係ありません。
背中にくっついてきたり、一緒に食事をとる、話を聞く、会話をすることでも十分です。
◆スモールステップでできることを増やしていく
不安の強い子は難しく感じてしまうと不安が大きくなり挑戦をやめてしまいます。
拒否するのはハードルが高すぎるので、分解してハードルを低くします。
例えば、『学校が苦手だけど、学校でお友達と遊びたい』としますね。
本人が遊びたいと言ってるんだから!と不安が強い子に「遊んだらいいじゃん!」と言ってしまうと『できないから困ってるんだけど…』と行動するのをやめてしまいます。
お子さんが『これならできそう!』というところまでハードルを下げてから挑戦してみましょう。
例をあげてみますね。
①自宅を安全な場所にする
家が子供にとって過ごしやすくなってしまったらますます外に出ないのでは?と心配な方もいらっしゃると思います。
しかし、逆で家が安全とわかれば行動範囲を広げていけるのです。
②ママも一緒に自宅でお友達と遊ぶ
お友達の人数は1人から、徐々に増やしていくことをお勧めします。
③安心できる自宅でお友達と2人っきりの時間を増やしていく
一度”②”ができたからといってすぐにお友達と2人っきりにしません。
お子さんの様子をみながら、場を離れるときは一言伝えてから同意の上で離れます。
④学校でも少しずつ挑戦です
学校では周りの環境にとても影響を受けるので、自宅のように遊べないと思いますが、手をふる、振り返すのようにこれならできるかも!を探して挑戦してください。
⑤先生にも協力を求めましょう
授業中のグループや課外活動で仲良しのお友達と同じグループにしてもらえるようにお願いします。
すぐに遊ぶことは難しくても同じグループにいることが安心材料になり、学校の環境も『大丈夫』と感じやすくなります。
これは一例ですが、お子さんの安心安全がどうしたら満たせるかを考えて、ハードルを低く挑戦しやすいものを何度も体験し、成功体験を積み重ねましょう。
ちょっとずつしか進んでいないように見えるスモールステップは遠回りにみえますが、確実に安心安全を確保できるので、お友達だけではなくいつの間にか他のこともできるようになっています。
ママや先生方、周りの方に協力を求めて皆さんでサポートしていけるといいですね。
ぜひお試しください。
執筆者:
発達科学コミュニケーション リサーチャー
田中さくら