兄弟喧嘩はもうイヤ!ASDの兄弟がすぐケンカする理由とママができる対応のポイント3つ

すぐに兄弟喧嘩をする自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの対応に疲れた…見守るのか、介入するのか、声かけはどうしたらいいのか、その対応にもうイヤ!というママはいませんか?本記事では我が家で喧嘩が激減した3つの対応策をご紹介します。
 
 

1.兄弟喧嘩ばかりする子どもたちの対応に困っていませんか?

 
 
さっきまで仲よく遊んでいたのに「もうヤダ!あっち行け!!」とすぐに喧嘩になってしまう…ということはありませんか?
 
 
きょうだいは喧嘩をするものだけど、何度も起きるとその度に止めに入ったり、叱ったり、諭したり…ママもイヤになってうんざりしてしまいます。
 
 
特に、夏休みなどの長期休みで一緒に過ごす時間が長くなると、なおさら喧嘩が増えるのも悩みですよね。
 
 
喧嘩が起きた時は見守るのか、介入するのか、叱るのか叱らないのか、と対応に悩まれている方も多いのではないでしょうか?
 
 
この記事では、しょっちゅう喧嘩していた我が家で行った兄弟喧嘩がぐんと少なくなる対応策をご紹介します。
 
 
きょうだい喧嘩
 
 

2.喧嘩が起こるたびに注意していました

 
 
私には2人の息子がいます。
 
 
長男は自閉スペクトラム症(ASD)で、不安が強く繊細な気質の持ち主です。
 
 
次男がまだ乳幼児だったころは、とても仲良く遊んでいましたが、大きくなってきて自分の意見を主張をするようになってからは、毎日のように喧嘩をするようになりました。
 
 
・一緒に遊ぼうと誘っているのに返事をしない
 
・全く勝てないから面白くない or 手加減しないといけないから面白くない
 
・静かにしてほしいのに相手の声がうるさい
 
・見たいYouTubeが違う
 
・足が当たった
 
など、喧嘩の火種は些細なことです。
 
 
仲良く遊んでいたと思ったのも束の間、すぐに揉め始め、最終的にはたいてい長男が叩いたり、ひっかいたり、蹴ったりして、次男が泣く…という結末を迎えます。
 
 
当初、私はそのたびに仲裁したり、手を出した長男を叱ったり、諭したりしていました。
 
 
なんとかその場はおさまりますが、またすぐに喧嘩。
 
 
私は、
 
またか…なんでこんなに喧嘩するの?
 
どうして仲良くできないのだろう?
 
このまま仲の悪い兄弟になってしまったらどうしよう
 
と心配して、憂鬱になっていました。
 
 
頭を抱える
 
 
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3.兄弟喧嘩の根本にあるものとは⁈

 
 
なぜ兄弟は喧嘩をするのでしょうか?
 
 
兄弟喧嘩の根本には嫉妬心があります。
 
 
兄弟は大好きなママやパパの愛情をめぐって利害関係が発生する一番近くにいるライバルです。
 
 
お兄ちゃんのようにうまく出来なかった
 
 
弟(兄)がママに褒められていた
 
 
などのシチュエーションになったときに起こる嫉妬の感情をどのように処理したらいいのかまだわからないので、その怒りをそのまま兄弟に向けてしまいます。
 
 
さらに、自閉スペクトラム症(ASD)の脳の特性として、『気持ちを表現するのが苦手』というものがあります。
 
 
自分の気持ちを言葉にして伝えるということは、実は高度な脳のはたらきといえます。
 
 
感情を司る内側の脳で、今感じている抽象的な自分の気持ちに気づき、理性的なはたらきをする外側の脳で情報を整理して言葉に変えて、人に伝えるという過程が必要になるからです。
 
 
嫉妬で怒っている時は内側の脳が暴れている状態です。
 
 
このような時には外側の脳は十分に機能できません。
 
 
不安が強く繊細な自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちは、この内側の脳が活発になりやすいという特性があります。
 
 
そのため気持ちを言葉にして伝えるのが苦手なのです。
 
 
「叩いたりするんじゃなくて、思ったことは口に出して伝えたらいいよ」と言われても、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちにとって、これはとても難しいことなのです。
 
 
だから大人が間に入り、喧嘩のおさめ方を手伝ってあげる必要があります。
 
 
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4.兄弟喧嘩を減らすためにできる親の対応

 
 
兄弟喧嘩を減らすために私が心がけたことは、『兄弟喧嘩は子どもたちの問題』『介入するときは堂々と介入すること』です。
 
 

①まずは喧嘩に介入せずに見守る

 
 
私は喧嘩が始まったら、「どうしたの?!なんで揉めてるの?」とすぐに原因を突き止め、アドバイスしようとしていました。
 
 
でもそれは、子どもから自分で自分の気持ちに気づいたり、言葉で気持ちを伝えたり、解決策を自分たちで考えたりする脳が成長するチャンスを奪っていたのです。
 
 
だから、まずは「兄弟喧嘩は子どもたちの問題」と線を引き、様子を見るようにしました。
 
 
心の距離をとることで、私自身も冷静に子どもたちを観察できます。
 
 
すると、怒った口調ではありますが、2人で「じゃあこうしてみる?」と相談する姿がみられました。
 
 

②解決しなさそうなときは介入する

 
 
2人だけでは解決しなさそうだなと感じたり、どちらかが助けを求めてきたときには、堂々と介入しました。
 
 
「一体、なにがあったの?」と声をかけ、状況を説明してもらいます。
 
 
そして、『どちらの言葉にも共感し、受け止める』ようにし、どちらの見方もしました。
 
 
私「何があったの?」
弟「兄がゲームを代わってくれない」
私「そっか。ゲームを代わってくれないんだね。それはイヤだよね。
  お兄ちゃんは何か理由があるの?」
兄「まだちょっとしかやってないから、変わるのは嫌だ」
私「そっか。まだちょっとしかやってなかったら、すぐに代わるのは難しいよね。
  あとどれくらいやりたいの?」
兄「ここまでやったら交代する」
私「ここまでやったら交代するって。(弟に)どう?」
弟「それならいいよ」
私「交渉成立だね!」
 
 
といった具合に2人ともの意見を受け止めて、どちらにも共感するようにしました。
 
 
この時は、せっかく自分の気持ちに気づいて言葉にしてくれているので、
 
 
・批判をする
 
・どちらが悪いかジャッジする
 
・喧嘩両成敗のように2人とも注意する
 
ということをしないように気を付けました。
 
 

③ママの不調を正直に伝えて助けてもらう

 
 
ママ自身が今日は疲れているな、寝不足だなという時に、兄弟喧嘩が起きたら…とってもつらいですよね。
 
 
そんな私の体調がとても悪い時は、ママが子どもたちにSOSを出して先手を取るというのも有効でした。
 
 
「ママ、ちょっと今日は眠くて動けないや。ちょっと一緒にお昼寝しない?」と誘ってみたり、
 
 
「ママ、なんだかイライラして今は何もしたくないの。一緒にお皿洗ってくれると嬉しいよ」とママの正直な気持ちを言葉で伝えます。
 
 
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは本来、相手の細かなことにも気がつくとても優しい気質を持っています。
 
 
だから、子どもたちは少しイライラしかけている時でも、大好きなママが頼ってくれたと感じて、「いいよ〜。手伝うよ〜」と快く引き受けてくれました。
 
 
そして兄弟間でもお互い譲り合ったり相談したりして仲良く過ごしていました。
 
 
優しく子どもたちにSOSを出すことで、子どもたちに活躍するチャンスを与えることができますし、感謝の気持ちを伝えることで、ママの役に立てたと成功体験を積むことができます。
 
 
喧嘩にはならないし、ママも楽になるので一石三鳥です。
 
 
毎回使えるパターンではありませんが、今日はどうしてもつらい…という日の奥の手として使いました。
 
 
私がこのような対応をするようになってから、兄弟喧嘩はぐんと減りました。
 
 
もちろん今でも、喧嘩してしまうこともあります。
 
 
しかし、嫉妬をするということはそれだけ密な人間関係を築けているという現われでもあります。
 
 
日本では、嫉妬はみっともない感情と見られがちですが、脳の社会性の発達の一つですので、その気持ちを受け止めて、良い方向に向けていけるといいなと思っています。
 
 
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの兄弟喧嘩にどのように対応したらいいのか迷っているママの参考になれば嬉しいです。
 
 
仲良し兄弟
 
 
 
 
 
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション リサーチャー
 
 
 
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