朝の準備が遅い小学生の子どもに、いつも待たされてイライラしていませんか?子どもが計画的に物事を進めることができないのには理由があります。この記事では、子ども自身が考え、行動できるようにサポートする方法を紹介しています。ソーシャルスキルとなる時間管理のトレーニング。日常の生活の中で少しずつ実践していきましょう。
1.朝の準備が遅い小学生の子どもに、いつも待たされてイライラしていませんか?
✓朝の準備がなかなか進まず、いつもギリギリに登校している
✓朝エンジンがかからず、自分で準備をしようとしない
✓子どもの準備が遅く、いつも出かける時は遅れてしまう
小学生のお子さんの『朝の準備問題』は多くのママたちが抱える課題です。
いくら親御さんが
「〇〇時までに準備してね!」
「あと〇〇分だよ!」
など行動を厳しく促しても、一向に動く気配はない準備の遅い子どもたち。
そのうち、ママもイライラしはじめ、脅したり否定的な言葉で怒鳴ってしまうなんてことも、よくある状況ではないでしょうか?
2.私も娘が時間通りに準備ができず、出発の時間が遅れて困っていました…
私には小学校5年生になる娘がいます。
高学年ということもあり、学校の日はある程度予定通りに準備が進められるようになっているのですが、お休みの家族との予定になると時間の意識が薄く、全く時間通りに準備ができずに困っていました。
娘は、メイクや洋服に興味があり、準備にものすごく時間がかかります。
興味があることはいいことなのですが、約束の時間を守れないため、待ち合わせなど、家族以外の人に迷惑をかけてしまうこともあって、どうにかできないものかと悩んでいました。
3.子どもが計画的に物事を進めることができないのには理由があります
朝の準備が遅いなど、子どもが計画的に物事を進めることができないのには理由があります。
◆経験が少ない
まず、子どもの場合、経験が少ないため、物事にどのぐらいの時間がかかるかなどの見通しを立てることが難しいことがあげられます。
私の娘のように高学年にもなれば、日々の経験からある程度の計画を立てることができるため、学校の朝の準備は、スムーズに行えることができるようになっていますが
初めての状況やまだ慣れていない環境の場合は、見通しが立たないため、計画的に物事を進められなくなることが考えられます。
◆時間感覚が未熟である
大人と子どもとでは、時間感覚がかなり違うことが、さまざまな研究でわかっています。
一般的に過去と未来の感覚がついてくるのは6歳くらいで、10歳くらいでやっと時計を基準にした生活習慣に慣れていき、大人と同じ感覚になるといわれています。
しかし、時計が読めたとしても、時計を見て次の動きの見通しをもつためには、もっと高度な脳の処理が必要になります。
次にとる行動の時間を「逆算して動く(見通しをもつ)」というのは、子どもにとってとても難しいことなのです。
◆実行機能が未熟である
実行機能とは、目標のための計画を立て、目標を達成するために自分の行動や思考、気持ちを調整する脳機能のことです。
実行機能の要素として
①見たり聞いたりしたことを少しの間記憶したり、記憶をもとに考えたりする力と関連があること(ワーキングメモリ)
②行動に必要な情報を整理して目標を立てること(共通実行機能)
③気持ちや行動を柔軟に切り替えること(シフティング)
④行動するために過去の経験を参照すること(情報の更新)
⑤目標には直接関係のない行動をしそうになっても我慢すること(抑制)
5つの段階に分かれており、主に脳の前頭葉が関係しています。
この前頭葉のエリアは、大学生くらいまでかけて、ゆっくりと育っていくと言われています。
小学生の子どもは、当然、前頭葉のエリアは十分に育っておらず、実行機能が未熟です。
計画的に準備を進められないのは、脳の発達から考えると当然のことなのです。
また、発達障害、特に注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のある子どもたちは、この実行機能が未熟であると言われています。
そのため、計画を立てたり、準備を自分で進めることが苦手な人が多いようです。
4.スムーズに準備をすすめるために我が家が実践した3つのコト
小学5年生の娘の場合、少しずつ実行機能が育ってきているものの、行動をよく観察すると
気持ちや行動をうまく切り替えること
行動するために過去の経験を参照すること
でつまづいていると感じました。
そのため、我が家では、出かける前の準備の段階で3つのことを徹底して行うようにしていました。
◆①出発時間は自分自身で決める
出発時間に融通が効く時は、娘自身に出発する時間を決めてもらうようにしました。
自分が決めたことには責任が伴います。
自分で決めたことを自分で実行する。それだけでも意識が違うものです。
自分で出発時間を決めた時は、時間を意識して動くことができるようになりました。
◆②予定通りに行動ができた後は楽しいことが待っていることを伝える
娘の場合、気持ちや行動の切り替えがうまくいかないため、準備がすすまないという様子が見られていたため、まずは娘を『その気にさせる』ことが必要でした。
そこで娘の大好きなコスメ用品に着目し
「予定通り出発できたら、コスメ見に行く時間あるよ~!」
と娘に伝えるようにしました。
楽しみがあると、脳は活性化します。
脳が活性化するとやる気が出ます。
娘はコスメ用品を見ることがとても大好きなので、とても楽しみに準備にとりかかることができるようになりました。
◆③時間を見える化する
・出かけるまでにしなくてはいけないこと
・準備に要する所要時間
これらを紙に書いて見える化しました。
逆算して、この時間には取りかかった方がいいと娘自身も気づくことができたようでした。
何をするべきなのか
何からするべきなのか
これは必ずするべきなのか
準備の行程を整理して、考えることができるようにもなりました。
朝の準備が遅いお子さんの行動を変えたいと思うのであれば、まずはお子さんが何に難しさを感じているのか、観察してみましょう。
そして、お子さんの躓きがわかったのなら、スモールステップでサポートをしていきましょう。
時間管理は、生きていく上で必要なソーシャルスキルです。
日常生活の中で練習することで、少しずつ身についていきます。
日々の生活の中で、少しずつでもいいので、時間管理のトレーニングを実践していってほしいと思います。
執筆者:たるみ あや
発達科学コミュニケーション トレーナー