1.小学生高学年でも癇癪がおさまらないのはなぜ?
小学生の高学年になっても、ちょっとしたきっかけで癇癪を起こしてしまう子がいます。
・朝の支度が思うように進まないとき
・宿題を始めるタイミング
・約束を守れなかったとき
その瞬間に感情を抑えきれずに、すぐに怒りや涙があふれてしまう。
特に、学校や友達の前では癇癪を起こすことはないのに、家でだけ荒れてしまう。
そんな姿に戸惑う親御さんも多いでしょう。
家庭は子どもにとって最も安心できる場所だからこそ、抑えていた不安や疲れが出やすいのです。
しかし、親としては「また始まった」「どう対応すればいいの?」と途方に暮れてしまいます。
叱ってもなだめても収まらず、言葉を尽くしても伝わらない。
もう、小学生の高学年なのに…。いつになったら、うちの子の癇癪は落ち着くの?
毎日のように続くと、親の心も疲弊してしまい、「もう限界かも」と感じることもあるでしょう。

2.私もこんなことに困っていました(筆者の体験談)
私の娘も、小学5年生のころに癇癪が頻発しました。
登校しぶりが続き、ついに不登校になった時期。
少しでも思い通りにいかないことがあると、すぐに泣き叫び、怒り出しました。
・支度を急かすと癇癪
・習い事に行こうと声をかけると癇癪
・ご飯の時間に呼んでも癇癪
・勉強を促すと癇癪
私は「何回言ったらわかるの!」と大声を出し、ため息をつき、強い口調で叱ることが増えていきました。
けれど、そのたびに娘の表情は曇り、やる気を失っていく一方。
気づけば、親子関係までぎくしゃくしていました。

3.高学年の子どもが癇癪を起こす理由
高学年の子どもは、思春期の入り口に立ち、心と脳が急速に変化する時期です。
学習内容は難しくなり、友人関係も複雑になります。
周囲と比べたり、失敗を恐れたりといった感情が増え、「もう無理!」と感じやすくなるのです。
とくにASD(自閉スペクトラム)傾向のある子どもは、次のような特徴が重なり、癇癪が起きやすくなります。
・変化や曖昧さが苦手
予定変更や予測できない出来事に強い不安を感じます。
「見通しが立たない」ことは、本人にとって“地面が抜けるような感覚”なのです。
・感覚過敏や刺激への敏感さ
音・光・匂い・手触りなどに敏感で、日常の中でもストレスを抱えやすい傾向があります。
「何もしていないのに急に怒るように見える」のは、実は感覚的な限界に達しているサインのこともあります。
・感情が先に出やすく、言葉が追いつかない
悔しい、怖い、悲しいといった感情を、まだ言葉でうまく表現できないため、行動で表れてしまうのです。
・外では頑張りすぎ、家で崩れる
学校で緊張し、家でようやく安心できた瞬間に爆発する。
これは「甘え」ではなく、安全な場所でしか出せないSOSなのです。
癇癪は「わがまま」ではなく、「助けて」のメッセージ。
無理に止めようとするよりも、出さなくて済むような環境を整えることが第一歩です。

4.癇癪が問題ではなく、癇癪に巻き込まれてしまう親の姿勢が問題
子どもの癇癪を前にすると、親としては、どうしても感情が動きます。
「また始まった」「早くして」と焦るほど、声が大きくなり、スピードも速くなってしまいます。
しかし、子どもにとってそれは“追い詰められる音”として届き、余計に興奮を高めてしまうのです。
悪循環を断ち切るには、まず親の反応を変えることが鍵になります。
・すぐに言葉で反応せず、10秒だけ沈黙して呼吸を整える
・一言だけ共感する。「今、しんどいね」「悔しかったね」
・次の一歩を具体的に一つだけ伝える。「お水を飲もう」「机に教科書だけ出そう」
「叱る」より「寄り添う」ほうが、結果的に早く落ち着きます。
また、家庭で“再起動の合図”を作るのもおすすめです。
手でハートを作る、合言葉を言う、タッチするなど、親子で決めた合図があるだけで、切り替えのきっかけになります。
癇癪の渦中では、言葉より「空気」を変えること。
親が落ち着いていると、子どもの脳も安心してブレーキをかけられるようになります。

5.癇癪が起こった時にママが唯一心がけてほしいこと





