自閉スペクトラム症(ASD)の3歳児がスムーズに着替えられるようになるには、見通しを立てやすくする工夫や、たくさんの成功体験を与えることが重要です。魔法の声かけを取り入れて、毎朝の「着替え戦争」を少しずつ減らしていきましょう!
1.ASDと診断された3歳の子どもの「着替え」問題
自閉スペクトラム症(ASD)と診断された3歳のお子さんをお持ちのお母さんへ。
着替えひとつをとっても泣いたり怒ったり、まったく朝の支度や家事が進まない日々に困っていませんか?
特に3歳は発達段階の中で、自己主張やこだわりが強くなり、親も子どももうまくいかないことが多く、ストレスを感じやすい時期なんです。
そんな3歳の子どもでも、「声かけ」を少し工夫するだけで、子どもが「着替え」に前向きになる方法があります。
この記事では、そのコツを詳しく解説しますので、ぜひ試してみてくださいね!

2.幼稚園の制服に着替えない!毎日起こる着替え戦争
我が家の3歳の息子もASDの診断を受けており、幼稚園の制服への着替えは毎朝の難関でした。
最初の頃は「制服を着たら幼稚園に行かなければならない」と考えてしてしまい、毎朝大泣き。
無理やり着替えさせようとすると癇癪や暴力がひどくなり、時にはパジャマのまま幼稚園に行くこともありました。
毎朝の「着替え戦争」に疲れ果てていた私ですが、工夫次第で状況が大きく変わることを実感しました。
そのポイントを次でくわしくお伝えします。

3.ASDの3歳の子どもが着替えをスムーズにできない理由
ASDの子どもが着替えを苦手とするのには、いくつかの理由があります。
① 見通しが立てられない
「着替えて」と言われても、何をどうすればいいのかわからないことがあります。
「ズボンを先に脱ぐの?」「シャツから?」など、初めに何をするかという手順が曖昧だと子どもは混乱してしまうのです。
② 気持ちの切り替えが苦手
遊んでいる途中で「着替えよう!」と声をかけても、今の楽しい時間を中断するのはなかなか難しいものです。
子どもが現在の行動を止めて着替えをするには、大人がうまくサポートする必要があります。
③ 感覚過敏やこだわり
着替えに使う服の素材や締め付け感に敏感な子もいます。
この場合は、子どもの好みに合った服を選ぶことが大切です。

4.ASDの3歳の子どもが動いた!着替えるための魔法の声かけ
① スモールステップで成功体験を積ませる
まずは「全部自分でやらせる」ことを目標にしないことがポイントです。
3歳なら自分で最後までできないことがあっても当たり前!という意識を持って、お母さんがサポートをしてあげましょう。
お母さんがサポートしながら「ズボンを自分で履けたね!」「ボタンを留めれたね!すごい!」と小さな成功を褒めると、子どもが自信を持ちます。
小さな一歩を積み重ねることで、「着替えって楽しい!」と感じられるようになります。
② 2択の質問を使う
着替えを嫌がる場合は、次のような質問が効果的です。
「自分で着る?それともママに手伝ってもらう?」
ここで重要なのは「着るか着ないか」ではなく、「自分でやるのか」もしくは「ママにやってもらうのか」という、「どうやって服を着るのか」を選ぶ質問にすることです。
そして、2択でどちらかを選択すればいいという形にすることで、子どもは「自分で決めた」という達成感を味わえます。
さらに、「自分で決められたね!」と決めたことを褒めると、「じゃ着替えようか!」と次の行動に移りやすくなります。
③ パターン化されたルーティンを活用
毎日同じ時間帯に、同じ手順で着替えを進めると、子どもは予測しやすくなります。
例えば、「まずパジャマを脱ぐ→次にシャツを着る」といったルールを繰り返すことで、スムーズに着替えを進められるようになります。
我が家では、魔法の声かけを使い始めてから数週間で、息子が泣かずに着替えに応じるようになりました。
息子は「朝は着替えるもの」と着替えをパターン化したようで、現在では朝の準備がスムーズになり、私自身も気持ちに余裕を持てるようになりました。
次のステップは「自分で最後まで着替える」こと。
時間はかかるかもしれませんが、これからもスモールステップで、子どものペースに寄り添いながら目標に近づけていこうと思います。

執筆者:豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー