なぜ「勝ち負け」にこだわるのか?ASDの子どもが負けると癇癪を起こす理由と対応策

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ジャンケンのようなちょっとした遊びからゲームまで、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもが「勝ち負け」にこだわり、負けたら癇癪を起こすことに困っていませんか?なぜ勝ち負けにこだわるのか、その理由と対応策を解説します。
 
 

1.このままで大丈夫?「勝ち負け」にこだわり癇癪を起こすASDの子ども

 
 
ゲームに負けると癇癪を起こしたり、負けそうになると、まだ終わっていないトランプをグチャグチャにしてしまうなど、「勝ち負け」にこだわるという子どもに困っていませんか?
 
 
特に自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、その特性から気持ちをコントロールすることが難しいので、癇癪を起こしてしまう子は多いんです。
 
 
こうなってしまってはせっかくの楽しい場が台無しになってしまいますよね。
 
 
「勝ち負け」にこだわる、負けるとすぐに癇癪を起こす子どもにどんな対応をしたら良いのか、ご紹介します!
 
 
 
 

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2.「勝ちたい!」ゲームに負けるのを嫌がる息子の困りごと

 
 
我が家のASDの息子が4歳の時、家族で休みの日にテレビゲームをすることが日課になっていました。
 
 
ゲームのルールも理解し始めた年齢で、とても楽しく遊んでいましたが、自分が負けてしまうと「なんで勝てないの!!」「勝ちたい!」「負けるのはイヤだ!」と泣いて怒ってしまいます
 
 
さらに「泣くならもうやめるよ」と声をかけると、持っていたコントローラーを投げたり、物を投げたり、どんどん怒って癇癪を起こす
 
 
そんなことがしょっちゅうありました。
 
 
そして負けたままでは終わることができないので、息子が何度も勝ち、満足するまでゲームは続くようになりました。
 
 
勝つことができた時は楽しそうにするのですが、負けそうになると一気に表情がくもるので、一緒にやっていると息子にとても気を遣います
 
 
大人は「負けてあげる」という対応もできますが、子ども同士でやる時は、そうはいきません。
 
 
やっぱり毎回勝てないこともあり、負けると癇癪を起こすということを繰り返すと、楽しい場がつまらなくなっていました。
 
 
ゲームには勝ち負けがあるし、自分の思い通りにならないことを、息子にもわかって欲しいのですが、まだ4歳だと難しいようでした。
 
 
なぜ勝ち負けにこだわるのか、どのように対応したら、癇癪が無くなるのかと困っていました。
 
 
自分を責める
 
 

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3.なぜ勝ちたいと思うの?ASDの子どもの「勝ち負け」へのこだわり

 
 
子どもは負けると癇癪を起こすということもあるかと思いますが、特にASDの子どもは勝ち負けにこだわる傾向にあります。
 
 
それはなぜでしょうか?
 
 
◼️こだわりが強い
 
「勝ち負け」に強いこだわりを持つことは、ASDの特性の一つです。
 
 
「勝ちたい」と思うことは、そのこだわりの強さからくるものと考えられます。
 
 
これは白黒思考が強く、極端な考え方に陥りやすい傾向があります。
 
 
勝つことが良いことで負けることが悪いこと、それが正しいと思い込んでしまう認識が強く、負けを受け入れることが難しいのです。
 
 
◼️自分の気持ちをコントロールできない
 
本当は勝ちたかったのに、負けてしまった。
 
 
その悔しさや悲しさのコントロールが難しく泣いたり癇癪を起こしてしまいます。
 
 
そして物事をネガティブに捉えやすく、一度そう思ってしまったら気持ちの切り替えをすることがなかなかできないといった苦手さを持っています。
 
 
せっかくみんなで遊ぶゲームは楽しい方が良いですよね!
 
 
勝ちにこだわる子や負けると癇癪を起こす子どもには、どのような対応をしていってあげるべきなのか、次で解説します。
 
 
ポイント
 
 

4.ASDの子どもの「勝ち負け」へのこだわりの対応策とは

 
 
◼️あきるほど勝たせてあげる
 
大人と一緒に遊ぶときは子どもを勝たせてあげましょう!
 
 
子どもが負けそうなら、途中で交代したりして、わざと大人が負けてあげてましょう。
 
 
大人は負けてあげても「悔しいけど大丈夫」「楽しいからいいんだ」と負けることも楽しいことという表現をしてあげます
 
 
すると子どもは「負けても良いんだ」と覚えていけば、勝ちにこだわることも和らぐでしょう。
 
 
オセロなどで遊ぶ時は、「このままだと子どもが負けそう・・・」と感じたら
 
「〇〇家オリジナルルール発動!」
 
と言って、子どもと大人のやっているところ(黒と白)を反対にして、子どもを勝たせてあげるなどもOKです!
 
とにかくたくさん勝たせてあげましょう!
 
 
◼️負けるが勝ちをする
 
ジャンケンで負けた方が勝ち!という白黒逆転にした遊びをします。
 
 
そうすると「勝ってもうれしくない」「負けた方がいい」ということを経験することができ、勝つことが全てではないということが学習できます
 
 
◼️共感してあげる
 
負けて悔しいのは誰しも一緒です。
 
 
そんな悔しいという気持ちをASDの子どもは言葉でうまく表現することが難しいのです。
 
 
そばにいる大人が「負けて悔しかったんだね」と共感してあげることで、次第に子どもが自分の言葉で「悔しい」と表現できるようになっていきます。
 
 
◼️癇癪は距離をとって見守る
 
負けて悔しい時に親が叱ると、さらにヒートアップすることがあります。
 
 
そんな時は、別室に移動し、距離を置いて落ち着くまで待ちます
 
 
次第に落ち着いたら、「落ち着けたね」と声をかけてあげましょう
 
 
ゲームに負けて悔しいと泣いていた4歳の息子も今は6歳になり、負けて癇癪を起こすことが少なくなりました。
 
 
当時はとにかく泣いて暴れる癇癪が大変だったので、ゲームはとにかくあきるほど息子を勝たせてあげていたら、いつの間にか癇癪がなくなりました
 
 
そして今では2歳下の弟と一緒にゲームをするときは、弟を勝たせてあげることができるようになりました
 
 
「別に負けても悔しくないし」と強がっている息子を、かたわらでニヤニヤしながら見守ることができ、息子の成長を感じることができて、とても嬉しく思います。
 
 
ゲーム
 
 
 
 
 
執筆者: 豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー
 
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