発達障害グレーゾーンの子どもは、行動の切り替えが苦手で日常生活に支障が出ることがあります。本記事では、子どもがさっと動けるようになるために、子どもに届く声かけをご紹介しています。
1.ご飯に呼んでも来ない…子どもの行動の切り替えの苦手さに悩んでいるママはいませんか?
「ご飯だよ」と何度言っても動かない。
「お風呂の時間だよ」と言っても返事がない。
そんなふうに、日常の声かけに子どもが全く反応しないことで、イライラしてしまうこと、ありますよね。
一生懸命にご飯を用意しても、呼んでも返事すらない。
お風呂に誘っても、テレビに夢中で動こうとしない。
ついに我慢の限界がきて「いいかげんにしなさい!」と怒ってしまう…
でもその結果、子どもも不機嫌に。
ひどいときには、物を投げたり、叫んだりして癇癪を起こしてしまう。
ママも疲れ切って、「なんでうちの子だけ…?」と落ち込んでしまうことも。
だけど、実はこれ、“ママの言葉が届いていない”可能性があるんです。

2.「無視されてる?」子どもの反応の鈍さにイライラしていた過去
私も以前は同じように悩んでいた母親の一人です。
私には二人の娘がいますが、とくに発達障害グレーゾーンの下の娘は
✔何度ご飯に呼んでも食卓に来ない
✔何度もお風呂に入るように言っても動かなかい
と行動の切り替えがとても苦手で困っていました。
「ご飯ができたよ!食べよう!」と呼んでも漫画を読んでいたり、おもちゃで遊んでいたりして食べにこない。
何度も「お風呂入って!」と言っても動かない…。
名前を呼んでも返事もない…。
そんなことが続くとこちらも無視されているようでイライラしてしまい、「何回言ったらわかるの!」とついには怒鳴ってしまう。
こちらが怒鳴ると、今度は子どもが怒り出して機嫌が悪くなったり、癇癪を起こしてしまう…、そんな日々を繰り返していました。
また、名前を呼んでも無視するような態度は、「とても失礼だから、これは何としても直さないと!」という思いもあり、返事がないと「返事くらいちゃんとしなさい!」と口うるさく言ったりしていました。

3. 発達障害グレーゾーンの子どもたちが行動の切り替えが苦手な理由
発達障害グレーゾーンの子どもたちは、自分の好きなことに強くのめり込む傾向があります。
たとえば、ゲーム、漫画、動画などに夢中になっているとき、“まわりの音や声が全く耳に入っていない”過集中の状態になっていることがあります。
過集中になっているときの子どもは、まるで“自分の世界”の中に入っていて、時間も人の声も忘れてしまっているんです。
だから、ママが何度呼んでも、本人は本当に気づいていない可能性があります。
さらに、聴覚情報の処理が苦手な子も多くいます。
これは「耳が悪い」という意味ではありません。
音は聞こえていても、その言葉の意味をすぐに理解して、行動に移すことが難しいのです。
このように過集中や聴覚の苦手さによって、「呼ばれていることに気づいていない」ことが多い子どもたち。
そのため、本人からすると、
・いつの間にかママが怒ってる
・何がいけなかったのかわからない
・急に大きな声で怒られてびっくりした
という状況になります。
ママにとっては「何度も言ってるでしょ!」と当然の怒りでも、子どもにとっては「いきなり怒鳴られた」「なんで怒ってるの?」という感覚なんですね。
つまり、「無視している」のではなく、「気づけない」「行動に移すのに時間がかかる」だけなんです。
このことを知っているだけでも、ママのイライラはずいぶん減らせるのではないでしょうか?

4.子どもに届く声かけをしよう!
では、どうしたらママの声が届くようになるのでしょうか?
私は発達科学コミュニケーションを学んでから、次のような声かけを実践しました。
STEP 1: 近づいて名前を呼んで、目を合わせてから伝える
まずは、遠くから叫ぶのではなく、子どもに近づいてから伝えましょう。
このとき、「〇〇ちゃん、ご飯の時間だよ。そろそろ終わりにしようね」と、やさしい声で名前を呼びます。
名前を呼ぶことで、「これは自分に向けられた言葉だ」と認識しやすくなります。
また、近くで話すことで、周囲の雑音よりもママの声が耳に届きやすくなります。
STEP2: 同じトーンで指示を繰り返して言う
もしすぐに動けなくても、焦らずに対応します。
「さっきも言ったでしょ!」とトーンを強めたくなりますが、そこはグッとこらえて、2度めも3度めも最初と同じ優しい声で再度伝えます。
STEP3: 行動できたらすぐに具体的に褒める
ようやく子どもが行動を切り替えられたら、すぐに褒めましょう。
「漫画読むの終われたね。」「ちゃんとご飯に来れたね!」など、“できたこと”を具体的に言葉にしてあげます。
この成功体験を繰り返すことで、子どもは「ちゃんと切り替えられる自分」を少しずつ育てていくことができます。
このような声の掛け方を取り入れてから、少しずつ次女は切り替えが早くなっていきました。
また、私自身も正しい声の掛け方がわかったため、イライラせず、子どもが動き出すのを待てるようになりました。
ぜひ、あなたも「子どもに届く声かけ」を試してみてくださいね!

執筆者:中川 まさみ
発達科学コミュニケーション トレーナー





