小学一年生が「お母さんと離れられない」ときは、母子分離不安かもしれません。泣き別れを減らすOK・NG対応、登校支援の具体策を専門家がわかりやすく解説します。
1.お母さんと離れられない一年生|毎朝の泣き別れに疲れていませんか?
朝の支度を終えて玄関に立つと、子どもが突然泣き出す。
「ママも一緒に来て!」「行きたくない!」
必死に抱きついて離れない小さな手。
担任の先生が迎えに来ても、泣き叫びながら逃げてしまう。
そんな朝が続くと、お母さんも心が折れそうになりますよね。
「私の関わり方が悪いのかな」「もう甘やかしているだけかも」と自分を責めてしまう方も少なくありません。
でも、これは“わがまま”でも“怠け”でもなく、母子分離不安(ぼしぶんりふあん)という発達の過程でよく見られる状態です。
ママの愛情が深いからこそ、子どもは「ママがいないと怖い」と感じてしまうのです。
この記事では、母子分離不安の原因と、今日からできる正しい対応法を専門家視点で分かりやすく解説します。
「どう接すればいいのか分からない」と悩むママが、少しでもラクになれますように。

2.筆者の体験談|“付き添い登校”を続けても変わらなかった日々
私の息子も、小学一年生の頃は「ママも来て!」が口ぐせでした。
分団登校はできず、毎朝私も一緒に校門まで付き添っていました。
でも、先生が見えると泣き叫び、教室には入れず。
そのたびに「先生に申し訳ない」「もうどうすればいいの」と胸が痛くなりました。
ある時、私は「落ち着くまでそばにいれば安心するだろう」と思い、2時間目まで教室の外で待つようにしました。
でも、結果は逆効果。
私が帰ろうとするたびに、息子は以前より激しく泣き、私も心身ともに疲弊していきました。

3.「母子分離不安」とは?一年生で強く出やすい理由
「母子分離不安」とは、大好きな人と離れるときに強い不安や恐怖を感じる状態のことです。
幼児期にもよく見られますが、特に小学一年生の時期は再び強く出やすい傾向があります。
その理由は
・環境の変化(教室・先生・友だち・ルール)
・「見通しが立たないこと」への不安
・「ママがいない=安全がなくなる」という思い込み
などが重なるためです。
また、発達障害グレーゾーンや感受性の強い子どもは
・音や光などへの感覚過敏
・初めての人や場面が苦手
・気持ちの切り替えが難しい
といった特徴が、不安をさらに大きくしてしまうこともあります。
一見、「学校には行けているけど、ママがいないと泣く」という場合でも、それは立派なSOSのサインです。
早めに理解し、対応してあげることが大切です。
母子分離不安について、こちらの記事で詳しく解説しています👇

4.母子分離不安の子どもへのOK対応・NG対応
母子分離不安の対応で一番大切なのは、「安心の土台をしっかりと作る」こと。
ここでは、やってしまいがちなNG対応と、その代わりに取り入れてほしいOK対応を紹介します。
◆ NG①:「長く付き添えば安心するはず」と思ってしまう
その場では落ち着いたように見えても、子どもは「ママがいれば大丈夫」と学習してしまいます。
結果的に、離れるタイミングがどんどん遅くなってしまうのです。
→ OK対応:「短時間・同じ場所」でお別れを固定しましょう。
例:「校門でハイタッチしたら、ママはお仕事へ」。
事前に本人と話し合い、本人の納得の行くタイミング、同じ合図・同じ場所を繰り返すことで、予測できる安心感が生まれます。
◆ NG②:「泣かないで」「大丈夫だから」と励ましすぎる
励ますつもりが、子どもにとっては「不安を否定された」と感じることも。
→ OK対応:感情を具体的な言葉に変換してあげる。
「泣くほど頑張ってるね」「怖い気持ちもわかるよ」と、感情を受け止める言葉に変えてみましょう。
受け止められることで、子どもは「気持ちを分かってもらえた」と安心します。
◆NG③:「泣くなら〜できない」と突き放す
子どもは「行きたいけど怖い」という複雑な気持ちを抱えています。
“〜できないよ!”と脅迫されてしまうと、「頑張りたい」気持ちもつぶれてしまいます。
→ OK対応:気持ちを分解してあげる
「行きたい気持ちはあるんだね」「少しだけ挑戦してみようか」と、気持ちを分けて承認してあげましょう。
◆NG④:先生に“丸投げ”してしまう
子どもは「ママが助けてくれない」と感じて不信感に変わることも。
→ OK対応:先生と情報をしっかり共有し、同じ方向性で対応してもらう
先生とお別れの合図や迎え方を共有しておくこと。
対応が一貫すると、子どもは安心して流れに乗れるようになります。
◆NG⑤:「泣いたら負け」「我慢させなきゃ」と思い込む
母子分離不安は“我慢”ではなく“練習”です。
→ OK対応:行動を具体的に褒める
泣いても挑戦できたら、それは大きな一歩。
「今日はハイタッチまで頑張れたね!」など、行動を具体的に褒めることが、次の挑戦につながります。

5.発達科学コミュニケーションとの出会いで、息子は母子分離不安を卒業しました!
私は、発達科学コミュニケーションに出会い 「子どもを“無理に離す”のではなく、“安心を積み重ねて離れる”」という考え方を教えてもらって、本当に救われました。
母子分離不安の子どもへの正しい対応を実践しながら、私は登校しぶりをする息子に対して
・家では思う存分、甘やかせる
・たくさん話をして、子どものやりたいことを親子で存分楽しむ時間を作る
・子どもの話を最後まで否定せずに聞く
・本人と話をして、毎朝の別れ方を「ハイタッチ1回」に固定する(本人が決める)
・すでにできていることを肯定し、できていないことばかりに目を向けない
・学校の先生に不安が強い特性について説明し、同じ方向性で対応してもらう
という方法を実践していきました。
最初は泣いていた息子も、1週間、2週間と続けるうちに…
「ママは行っちゃうけど、先生がいる」という“安心の切り替え”ができるようになりました。
今では笑顔で「行ってきます」と言えるようになりました。
母子分離不安は、時間をかけて「安心のバトンを渡していく」過程です。
今すでにできていることや、お子さんの素敵なところ、少しでも挑戦できたことを喜んであげてください。
ママの笑顔と一貫した対応が、子どもにとって最高の安心になります。





