「ダメ」と言いすぎる毎日に、1日だけ「いいよ」を増やす魔法を。不安の強い子が、安心感を土台に「自ら動き出す力」を取り戻したわが家のストーリー。日常で取り入れるコツと、息子に起きた驚きの変化をお伝えします。
1.気づけば「ダメ」が増えてしまう…そんな日ありませんか?
仕事や家事、育児に追われる毎日。
本当はもっと「いいよ」と言ってあげたいのに、気づけば「ダメ」ばかり言っている気がする…。
そんな日もありますよね。
自分の時間が取れなかったり、やることが山積みだったりすると、つい「あとでね」「今日はムリ」が口ぐせになってしまうことも。
でも、一生懸命なママにとって、そんな日があるのはごく自然なことです。
ただ、不安の強い子の場合、「いいよ」と受け止めてもらえる経験が少なくなると、心の警戒モードが強まってしまうことがあります。
たとえば、こんな様子がみられることはありませんか?
- 不安がふくらみやすくなる
- やりたい気持ちをグッと引っ込めてしまう
- 行動のハードルが高くなる
脳は「安心」が足りなくなると、危険を探すスイッチ(警戒アラーム)が入りやすくなる性質があります。
逆に、小さな「いいよ」が少しずつ積み重なるだけで、心はふっと軽くなり、前へ進むエネルギーが湧いてくることもあるのです。
そのヒントとなるのが、Yes Day(Yesが増える日) という考え方です。
すべてのことに応えてあげるのは難しくても、小さな「いいよ」を重ねていくことで、子どもが自分から動き出すきっかけを作ることができます。
この記事では、不安の強い子が前を向きやすくなる「Yesが増える日」の考え方と、日常の中で無理なく取り入れるヒントやわが家で実際に感じた変化をお伝えします。

2.「Yesが増える日」とは?
「Yesが増える日」とは、 子どもの「やりたい」に対して、できるだけ「いいよ」と応える日のことです。
これは「先に安心感で心を満たす」ための関わり方のひとつ。
海外で親しまれている「Yes Day」をヒントに、わが家のスタイルで取り入れています。
「特別なイベントを用意する日」というより、いつもより丁寧に子どもの気持ちを受け止める日。
そう考えると、親側の心のハードルもすっと下がる気がしませんか?
◆ Yesが増える日の効果
- 「自分の気持ちを受け止めてもらえた」と子どもが実感できる
- 親子の信頼関係がより深まる
- 不安の強い子の安心感が増える
- 自分で選ぶ経験が自信につながる
- 子どもの内側から「やってみたい」という意欲が動き出す
こうした小さな「いいよ」の積み重ねが、 子どもの心に「ほっとできる場所」を育てていきます。
普段どうしても増えてしまう「ダメ」の流れを、1日だけそっとリセットしてくれる。
たったそれだけで、心の負荷が軽くなり、やる気が動き出すきっかけになることもあるのです。
◆ 取り入れるときのちょっとした工夫
あらかじめ小さな枠(ルール)を決めておくと、 親も子も心に余裕をもって楽しめます。
- 危ないことはしない
- 無理な高額出費は避ける
- 親が頑張りすぎず、親子で心地よく過ごせる範囲にする
こんな枠があることで、 親側の「どこまで答えればいいの?」という迷いが減り、 親子でゆとりをもって過ごしやすくなります。
◆ 子どものやってみたいを育てる具体例
- 「朝パフェ」や「好きなもの全部乗せ」など、食のワクワクを楽しむ
- 時間を気にせず、今日だけは親子で「夜更かしゲーム大会」を全力で楽しむ
- 子どもの推し活や趣味の移動に、1日とことん付き合う
- 「早くして」を封印し、あえて予定を入れず100%子どものペースで過ごしてみる
一見ささいなこと、あるいは親からすれば「えっ、そんなこと?」と思うようなことかもしれません。
でも、自分の願いに「いいよ」と言ってもらえた体験は、子どもの心のコップを満たし、気持ちを前へ動かす大きな力になります。

3.なぜ不安の強い子に合うの?
不安の強い子にとって、ありのままを受け止めてもらえる安心感は、あらゆる行動の土台になります。
私たちの脳には、ワクワクしたり、「やってみたい!」と思ったりしたときに、やる気スイッチを入れてくれる場所があります。
でも不安が強いときの脳は「危ないよ!」「失敗するかも!」と警戒して、心に強いブレーキをかけてしまいます。
その結果、本来持っている考える力や挑戦する力が、うまく出せなくなることがあるのです。
そんなとき、「いいよ」と受け止めてもらえる経験を通して「ここは安全なんだ」と心から認識できると、脳のスイッチが切り替わり、少しずつブレーキをゆるめていくことができます。
「Yes」が増えることで、お子さんには例えばこんな変化が期待できます。
- 情緒が安定しやすくなり、穏やかな時間が増える
- 「やってみたい」というエネルギーが内側から自然に湧いてくる
- 不安というブレーキが外れることで、本来持っている行動力があらわれる
子どもの内側から湧き出てくるやる気や好奇心は、心理学で内発的動機付けと呼ばれます。
人から与えられるご褒美よりも更に、自分の中から生まれる「やりたい!」という気持ちが、子どもにとって一番大きなパワーとなり、次の行動へとつながる最高のご褒美になるのです。

4.わが家の「Yesが増える日」体験談
わが家には、とても繊細で不安を感じやすい息子がいます。
転校をきっかけに不安が強まり、母子登校や不登校が続いていた時期がありました。
家庭での関わりを大切にする中で、家の中での安心感はだいぶ育ってきていました。
でも、そこから外の世界へ一歩踏み出すためのきっかけを、どう作ればいいのか。
そんなとき、 私はNicotto講座で
「やる気は性格ではなく、周囲の声かけや関わり方などの環境で育っていく」
という考え方に出会いました。
今のあの子に必要なのは、心の内側から「やってみたい!」というエネルギーが湧き上がってくる、とてもワクワクするようなちょっとした非日常の体験かもしれない。
あと一歩の行動力を引き出したい。
そう思った私は、息子の「やりたい」を全力で応援する、1日限定の「Yes Day」を実践することにしたのです。
◆ この日のルールは3つだけ
- 息子の願いには、できるだけ「いいよ」と応える
- 予算の上限だけを決めて、あとは自由にさせる
- やる内容をジャッジせず、一緒に楽しむことを最優先にする
子ども向けのイベントを提案すると、 息子は「行ってみたい!」と即答しました。
当日は、スポーツやワークショップなど、彼が興味を示すものに片っ端から付き合いました。
「もう一回やりたい!」という言葉にも、すべて「いいよ!」と笑顔で応えました。
最初は様子を伺うようだった息子も、次第に自分から「次はこれがいい!」と目を輝かせるようになりました。
特に帰り道は、まるで別人のようでした。
今日体験したことや発見したことが溢れて止まらないといった様子で、弾む声で夢中になって話し続けてくれました。
その姿から、内側からエネルギーがどんどん湧き出してくるのが、私にもひしひしと伝わってきました。

5.1日のYesがもたらした大きな変化
このイベントの直後、迎えた運動会では驚くような変化が起きました。
- 一度も予行練習に参加していなかったのに、前日に「出る」と自分から決めた
- キャラ弁を自分で作りたくて、4時に目覚ましをかけて自力で起きた
- 聴覚過敏で苦手だった教室に入り、1日中クラスメートと過ごせた
- 落ち込む場面があっても、短時間で自分で気持ちを切り替えられた
- 友達とたくさん話し、最高に楽しそうな顔で下校してきた
帰宅した息子の「頑張った!楽しかった!」と達成感に満ちた顔を見た時、ただただ胸が熱くなりました。
たった1日「いいよ」を重ねただけで、こんなふうに動ける瞬間が生まれるんだ…と、我が子の持つ力に驚かされました。
もちろん、これですべてが解決したわけではありません。
不安が強い子の歩みは一直線ではなく、進んだり止まったりを繰り返します。
親の心も、そのたびに揺れます。
それでも、あの日の「Yes」をきっかけに、彼の中でやる気や行動力、そして自分で自分を立て直す力が動き出したことは間違いありません。
「できた」という体験は、脳に「次も大丈夫かも」という予感を与えます。
その一歩を引き出したのは、紛れもなくあの日の「いいよ」だった——私はそう確信しています。
毎日をすべて「Yes」にするのは難しいですよね。
だからこそ、あえて「今日だけは徹底的に受け止める」という特別な日を作ってみるのはいかがでしょうか。
その1日が、お子さんの自信の土台になり、ママやパパがこの子の力をもう一度信じるきっかけになることがあります。
まずは今日、お子さんの小さなお願いに、ひとつだけ「いいよ」と応えるところから始めてみませんか?
その一言が、お子さんにとって、何よりの応援になるかもしれません。

\“どう関わればいいか迷う”ママへ/
「待つ?手伝う?」と悩みやすい場面での関わり方を
不安が強い子が「自分でやる」を少しずつ増やしていく
視点と具体的な声かけにまとめました。
執筆者:たかなし りら
発達科学コミュニケーション トレーナー




