園から帰った途端に荒れ狂うわが子。上の子優先を頑張っているのに、暴力まで…と悩んでいませんか?その理由は、愛情不足ではないかもしれません。わが家で実際に行った、戦わない関わりで、癇癪と暴力が落ち着いた体験をお伝えします。
1.お迎え後の「怪獣化」に限界…上の子優先を頑張っているのに、なぜ暴力や癇癪が止まらないの?
「保育園や幼稚園では頑張っているようですよ」
先生からそう言われるたび、私は嬉しいどころか、暗い気持ちになっていました。
なぜなら、園の玄関で私の顔を見た瞬間から、息子の「怪獣化」が始まるからです。
車に乗れば泣き叫び、家に着いても玄関に這いつくばって1時間以上の癇癪。
「園で頑張っている分、家では甘えさせてあげなきゃ」
「上の子を優先すれば落ち着くはず」
そう自分に言い聞かせ、必死に対応しているのに、事態は悪くなる一方。
いつになったら、穏やかな「おかえり」が言えるようになるの?
私の育て方が悪いの?
そんな出口の見えないトンネルの中にいるママへ、私の体験をお話しさせてください。

「この癇癪、どう対応すればいいの?」と迷ったときに。
泣く・怒る・暴れる…
実は、癇癪には理由があります。
関わり方を少し変えることで、
落ち着いて過ごせる時間が増え、
ママの気持ちもラクになっていきます。
2.椅子に立ちながら必死の授乳。暴力と「どうせ愛されてない」の一言に、母親としての自信を失ったどん底の日々
振り返れば、息子が幼い頃から、私は常に『上の子の癇癪』に振り回されてきました。
娘が生まれたばかりの頃は、授乳のたびに激しい邪魔が入りました。
赤ちゃんを守るために、私はダイニングの椅子の上に立って授乳をしていた…。
そんな情けない、必死な毎日がずっと続いていたんです。
周りから「上の子優先」という言葉を聞いては息子を優先させ、泣いている娘には少しの間泣いてもらって、息子の対応を必死にしていました。
寝ている娘の寝顔に「いつも我慢させてばかりでごめんね」と謝り、夜は泣いていました。
そして、息子が年長になった頃、その荒れ方はさらに形を変えてピークを迎えました。
2歳になった妹への攻撃だけでなく、私や夫にまで暴力を振るうようになったのです。
体が大きくなり、力も強くなってきた息子の暴力を必死で受け止める日々。
『いつまでこれが続くの?』
『赤ちゃんの頃からずっと頑張ってきたのに、どうして?』
そんな絶望の中で、寝る前の息子が放ったのが、あの『どうせ僕は愛されてないんだ』という一言でした。
その言葉に、私は崩れ落ちそうになりました。
こんなに自分を削って、家族のために戦っているのに、誰一人幸せにできていない。
「もう限界。どうしたらいいの?」
真っ暗な寝室で、一人で静かに泣くことしかできませんでした。
もう、一人で遠くに逃げ出したい。
ママやめたい。
でもそんなことできるはずもなく、暗いトンネルの中に迷い込んでいったのでした。

3.愛情が届かないのはなぜ?「頑張り」が空回りしてしまった理由
なぜ、あんなに「上の子優先」を頑張っていたのに、息子の心には届かなかったのでしょうか。
脳科学を学んでわかったことは私の愛情が足りなかったからでは、決してありませんでした。
実は、息子の頭の中では、自分でもどうしようもない「切ないすれ違い」が起きていたんです。
• 脳が「SOS」を出していただけ
園という外の世界で、一生懸命「いい子」でいようと全力を出してきた息子。
おうちに帰る頃には、心のエネルギーが空っぽになっていたのです。
エネルギーが切れると、感情を守る心のシャッターがガシャンと閉まってしまいます。
つまり、感情をコントロールする力が弱まり癇癪や暴力として気持ちがあふれてしまう状態です。
あんなに荒れていたのは、私や妹、夫を嫌いだったからではなく、「もう限界だよ!」という脳からのSOSだったのです。
脳がストレスでいっぱいになると、人は優しくされてもそれを「嬉しい」と受け取ることができません。
当時の息子は、園で頑張ってエネルギーを使い切り、家に帰る頃には脳が安心を感じる余裕がない状態でした。
私がどれだけ上の子優先をしても、どれだけ愛情を注いでも、息子の脳はそれを受け取れる状態ではなかったのです。
私が間違っていたわけでも、息子の性格の問題でもありません。
足りなかったのは愛情ではなく、安心できる脳の状態を作ることでした。
そして私は、「愛情を増やすこと」ではなく、脳が安心できる関わり方に変えることを始めました。

4.ママの身を守り、脳を安心で満たす!「ディスタンシング」と「肯定的な注目」の実践術
脳がパニック状態のとき、正論や説教は逆効果です。
私が意識したのは、「戦わずに、脳のアラートを下げること」でした。
・ディスタンシングで反応しない
暴力が始まったら、別の部屋に移動するなど、物理的に距離を取ります。
ママ自身の安全を守ることが最優先です。
・気持ちを短く代弁し、深追いしない
追いかけてこられたときは、「殴りたいほど嫌だったんだね」と事実だけを短く伝えます。
その場での説教はしません。
・切り替え後は、あえて触れない肯定
落ち着いたあとは暴力には触れず、「お茶飲めたね」など、今できている行動を肯定します。
・日頃の会話を肯定に変える
癇癪対応以上に大切なことがあるって知っていますか?
それは日頃の会話を肯定に変えるということです。
発達科学コミュニケーション(発コミュ)では、子どもの行動は大人の「注目」によって強化されると考えられています。
だからこそ私は
「もう手洗ったんだね」
「靴下脱いだね」
できていないことを指摘するより、できていることに目を向ける「肯定的な注目」を増やしていきました。

5.暴力が激減。1時間の癇癪が10分に短縮され、親子で笑い合えるようになるまで
この対応を本気で意識して、約3ヶ月。
毎日のようにあった暴力は、ほとんど見られなくなりました。
癇癪も、1時間以上続いていたものが、10分ほどで切り替えられるように。
「これしてみる?」と声をかけると、笑顔で応じてくれることも増えました。
「上の子優先」に縛られ、椅子の上で泣きながら授乳していたあの頃の私に伝えたい。
あなたの愛情が足りなかったわけじゃない。
ただ、届ける順番が違っていただけ。
もし今、「今日も怪獣が帰ってくるのかな」とため息をついているなら、まずは、
「今日もお外で頑張ったね」
そう声をかけてみてください。
そして、あなた自身も寝る前に、心の中で自分を抱きしめてあげてください。
「今日も一日、ママ業がんばったね」と。
お母さんが「戦わない対応」を知るだけで、家族の穏やかな時間は必ず戻ってきます。

毎日の癇癪に、どう対応すればいいのか迷っているママへ。
癇癪には理由があり、
関わり方を少し変えることで、
落ち着いて過ごせる時間は増えていきます。
執筆者: 栗原 あかり
発達科学コミュニケーション トレーナー




