不登校になってから、朝からゲームばかりしたがる小学生の息子。「朝ごはんが先」と止めるたびに癇癪になっていました。そんな息子が、自分からゲームを終えて次の予定へ切り替えられるようになった、わが家の関わり方をご紹介します。
1.不登校で朝からゲームをする子どもに悩む毎日
「朝からゲームばかりでいいのかな?」
「生活リズムは大丈夫かしら」
「学校にも行けてないのに…」
朝起きてすぐ子どもにゲームをせがまれて、「朝からゲームなんて」と悩んだ経験、ありませんか?
私は毎日悩んでいました。
小学2年生の息子は、不登校になってから朝起きてすぐに「今すぐにゲームしたい!」と訴えてきます。
私は「朝ごはんや着替えをしてからゲームしてね」と促しましたが、それだと癇癪が増えるばかり。
当時の私は、ただ「ゲームをしたいという欲求が通らないから怒るんだ」と思っていました。
けれど、息子の様子を見ているうちに、ゲームをやめさせることよりも、「なぜここまで朝ゲームにこだわるのだろう」と考えるようになりました。
朝の始まりが最悪で毎日が戦争のようでしたが、その理由を知ることで私の関わり方は大きく変わりました。
今回は、そこから息子に起きた変化についてお話しします。

2.なんで言うこと聞かないの?ASD息子の「やりたい!」が止められなかった理由
息子は自閉スペクトラム症(ASD)の特性があり、自分の中で決めた予定や順番をとても大切にするところがあります。
一度「こうする」と決めると変更することが難しく、想定外の出来事にも強いストレスを感じやすいタイプでした。
お出かけの際も、目的が終わるとすぐに帰りたがり、「ちょっとお腹すいたからご飯食べてから帰ろう」などの急な予定変更はとても嫌がります。
そして、息子の中で決まっている毎日の「予定」がありました。
それが、朝からゲームをすることでした。
私からすると「朝ごはんや着替えが先」でしたが、息子にとっては「朝はゲームから始める」ことが自分の中で決めた大切な予定だったのです。
そのため、私が「まだご飯食べてないよ」「顔を洗ってからね」と伝えても、自分の中で決めていた予定を急に変えることが難しく、癇癪につながっていたのだと思います。
さらに、うちでは古いiPadでゲームをさせていたため、大体2時間で充電がなくなります。
ゲーム中に充電が切れるという“突然の終わり”は、息子にとっては大きな想定外でした。
プツンと画面が切れた時は、大癇癪を起こしました。
息子にとって負担になっていたのは、ゲームができないことだけではなく、自分の中で決めていた予定を急に変えられたり、見通しのないまま突然終わったりすることだったのです。

3.朝ゲームを禁止せず、『スタート地点』にすることに
そこで私は、息子にとって朝のゲームは単なる遊びではなく、「安心して1日を始めるための ルーティーン」になっているのではないかと考えるようになりました。
その予定を変えさせようとするのではなく、まずは息子が安心してスタートできる形を作ってみようと思ったのです。
そこで私は思い切って、「朝ゲーム=悪いこと」という考え方を手放してみました。
ただし、ひとつだけルールを作りました。
それはiPadの充電が切れたら終了することです。
今までとの違いは、突然その時間を迎えるのではなく、息子があらかじめ「いつ終わるのか」を見通せるようにしたことです。
ゲームを始める前に、息子と時計を見ながら「だいたい〇時くらいに充電がなくなるよ」と伝え、その見通しを持ってもらうようにしました。
また、充電が切れる約30分前には「充電大丈夫かな?」と声をかけて、終わりのタイミングを意識できるように促しました。
すると数日後、息子のほうから「充電あと10%だからそろそろ終わるね」と言い出したのです。
息子自身が「終わりのタイミング」を見通せるようになり、朝の癇癪はみるみる減っていきました。

4.息子を『次の行動』へ動かしたこと
朝のゲームをOKにしてから、息子にこんな変化がありました。
- 落ち着いた状態で1日が始まり、気持ちが満たされ次の行動に移りやすくなった
- 自分で時間を逆算できるようになった
- 「あとどれくらい」で区切りがわかるようになった
たとえば、翌日に病院の予約をした時、「明日9時に家を出るよ。朝のゲームは何時からやるの?」と聞いてみました。
すると息子は「じゃあ7時にする。早く起きる!」と、自分で考えて答えたのです。
まさかの逆算でした。
私は驚きました。
今まで「ゲームから始まる朝なんて」と思っていたけど、好きなことで始まる安心感が息子の『次へ進む力』を作っていたのだと実感しました。

5.安心して始められる仕組みが、親子を楽にしてくれる
朝からゲームという選択は、最初は勇気がいりました。
けれど、息子に必要だったのは、私が考える「正しい朝の順番」に合わせることではありませんでした。
息子が大切にしているルーティーンを尊重しながら、「いつ終わるのか」「次に何をするのか」がわかるようにすること。
そうやって安心して動ける仕組みを作ったことで、癇癪が減り、息子は少しずつ自分で次の行動を考えられるようになりました。
その結果、私も「早くやめなさい」「先に〇〇して」と怒ることが減り、親子で落ち着いて朝を過ごせるようになりました。
もし今、朝からゲームをするお子さんを見て「このままでいいのかな」と悩んでいるなら、ゲームをやめさせることだけではなく、
「この子はどんな順番なら安心して動けるかな?」
「終わりを見通せる工夫はできるかな?」
と考えてみるのもひとつの方法です。
子どもが安心して動き出せる仕組みを見つけることが、親子の朝を変える小さな一歩になるかもしれません。

執筆者:おちあい ひろみ
発達科学コミュニケーション リサーチャー




