幼稚園への行き渋りが続き、「休ませたら休み癖がつく」と言われながらも、荒れていくわが子を前に悩み続けていた私。不登校という言葉は知っていても、「不登園」という選択肢を知らなかったあの頃。幼稚園を休ませていいのか迷いながら、わが子の状態を見て判断を変えた経験を実体験から綴ります。
1.幼稚園に行きたがらない…休ませていいのかわからなかった
不登校は聞いたことがあるのに、「不登園」という言葉は聞いたことがありませんでした。
私には、今、小学校1年生の息子がいます。
幼稚園に入る前、半年間だけ保育園に通っていました。
その頃から、毎朝の行き渋りは激しく、泣いて嫌がる日が続いていました。
それでも私は、
「みんなが通る道だから」
「そのうち慣れるはずだから」
そう思って、毎日、連れて行っていました。
年少になり、幼稚園に移ってからも状況は変わりませんでした。
朝になると不安定になり、行きたくない気持ちを必死に抑えているのが、見ていて伝わってきました。
私自身も、毎朝が怖かった。
今日は行けるのか。
また荒れてしまうんじゃないか。
「幼稚園を休ませていいのか」
「でも、休ませたらどうなるんだろう」
不登校という言葉はあっても、幼稚園を休ませることについては、どこにも答えが見当たりませんでした 。
そんな状態で、私は毎朝、正解のわからない選択を迫られていました。

2.「休ませたらダメ」と言われ、行かせるしかないと思っていた
それでも私は、息子を休ませるという選択ができずにいました。
休ませていいのかどうか、わからなかったからです。
そして園からは、こう言われていました。
「休ませたら、休み癖がつきます」
「毎日、連れてきてください」
その言葉を聞くたびに、私はますます行かせる以外の選択肢を考えられなくなっていきました。
周りを見渡せば、保育園や幼稚園に通う子どもたちは、泣いていても嫌がっていても毎日登園しているように見えました。
それに比べて、私は専業主婦。
「時間があるから、甘えさせすぎなんじゃないか」
「働いていたら、こんなことで悩まないのかな」
そんなふうに、自分を責める気持ちもどんどん強くなっていきました。
行かせるべきなのか。
休ませていいのか。
答えが見つからなくて、夜中にスマホで「不登園」と検索する日々でした。
しかし、そこに出てくる情報はほとんどなくて、ますます不安になるばかりでした。

3.無理に行かせ続ける中で、息子に起きていたこと
幼稚園から帰ってきた途端、玄関先で癇癪を起こす。
そんな日が、当たり前になっていました。
一時間以上、泣いて、叫んで、暴れる。
何が嫌なのか、何に怒っているのか、わからない。
ただ、いつも何かに怒っているような状態でした。
当時、まだ赤ちゃんだった妹にもその矛先が向くようになりました。
叩いたり、引っ張ったり、痛いことをして妹は泣く。
私はそのたびに、思わず大きな声を出していました。
「妹に、痛いことしないよ‼︎」
行き渋りと癇癪だけでも、毎日が限界なのに。
そこに、下の子への対応も重なって、家の中はいつも張りつめていました。
今振り返ると、私自身もきっと心に余裕がなくなっていたのだと思います。
息子のことは間違いなく愛している。
それなのに夜、寝てくれたとき、正直ほっとしてしまう自分がいました。
「こんなに可愛い子なのに、どうして日中はこんなに大変なんだろう」
寝顔を見ながら涙が出ることもありました。
そんな日々を過ごす中で、息子の身体にはっきりとした変化が出てきました。
日中のお漏らしが増え、夜には夜驚症のように突然泣き叫ぶこともありました。
私はその姿を見ながら、
「これはもう、行き渋りの問題ではないのかもしれない」
「このまま無理に行かせ続けたら、息子の心が壊れてしまうんじゃないか」
そんな怖さを感じるようになっていました。

4.「このままでは心が壊れるかもしれない」私が判断を変えたきっかけ
息子の夜の様子や日中のお漏らしが気になるようになった頃。
私は、「どうしたら行けるようになるか」ではなく「このまま行かせ続けて大丈夫なのか」を考えるようになっていました。
そんなとき、心に残った言葉があります。
「子どもの心を壊してまで、やらなくてはいけないことなんて、何ひとつない」
その言葉を聞いた瞬間、張りつめていたものがふっと緩みました。
それまでの私は、「行かせること」が正解だと信じて疑いませんでした。
休ませることは、
甘やかし。
逃げ。
将来につながらない選択。
そう思っていたからです。
でも、目の前の息子は、もう十分に頑張っていました。
泣いても荒れても、それでも毎日、必死に耐えて幼稚園へ行っていた。
そんな息子の姿を見ていた私は、
「これ以上『行かなきゃ』を重ねたら、本当に心が壊れてしまうかもしれない」
と感じました。
私は、行かせるかどうかではなく、「守るべきものは何か」で判断しようと決めました。
それは、勇気のいる選択でした。
周りからどう見られるか。
園にどう思われるか。
休ませたあと、どうなるのか。
正直、不安はたくさんありました。
それでもあのとき、私はいったん立ち止まり、息子を休ませることを選びました。

5.幼稚園を休ませると決めて、私がしたこと
休ませると決めたとき、私の中にあったのは、「これでいいのか」という不安でした。
休ませたら、戻れなくなるんじゃないか。
甘えを強くしてしまうんじゃないか。
それでも、あの頃の息子の状態を見て、もう「頑張らせ続ける」選択はできませんでした。
だから私は、休む時間を「何もしない時間」にするのではなく、「安心を取り戻す時間にする」と決めました。
やったことは、とてもシンプルです。
- 机に向かわせない
- 苦手なことを無理にさせない
- 評価や指示をいったん手放す
- 外に出て、公園で自由に身体を使って遊ぶ
Nicotto講座で学んだ「脳が育つのは、楽しいと感じているとき」という考えをそのまま日常に置きました。
すると、息子の変化より先に実は私のほうが楽になっていきました。
「行かせなきゃ」という緊張がなくなり、ただ一緒に過ごす時間が増えた。
その安心が、少しずつ、息子にも伝わっていったのだと思います。
幼稚園を休んでしばらくすると、夜中に突然泣き叫ぶことがおさまり、癇癪や妹に手が出ることも減っていきました。
さらに息子の様子を見ていく中で、わが家では、幼稚園に2日続けて行ったら1日休むというペースが合っていることにも気づきました。
そのペースに変えると、息子は少しずつ安定して通えるようになり、笑顔も戻ってきました。
家族にも笑顔が増えていきました。
今振り返ると、あのとき私がしたのは、「幼稚園に行かせるか、休ませるか」の 正解を探すことではありませんでした。
目の前の息子を見て、今、この子はどんな状態なのかを考えること。
そして、息子がもう一度安心して動けるようになるために、今できることを選ぶことでした。
早く幼稚園に行けるようになったかどうかより、立ち止まったときに安心できる場所があったこと。
それが、あの時期の息子に一番大切だったことだと私は感じています。
もし今、「幼稚園に行きたがらない」「休ませていいのかわからない」と悩んでいるとしたら、まず一度、「この子の心は今どんな状態だろう」という視点で、見てみてください。

「今まで行けていたのになんで…」
「このまま不登校になったらどうしよう…」
子どもが自信を取り戻し、
自分から一歩を踏み出すために。
ママができる関わり方を 「4つのステップ」をまとめました。
執筆者:栗原 あかり
発達科学コミュニケーション トレーナー
この記事について
この記事は、発達科学コミュニケーション マスタートレーナー・いたがきひまりの指導のもとで活動する、発達科学コミュニケーショントレーナーによる実践記事です。
「ASDグレーゾーン子育て」をテーマに、子どもに合った家庭での関わり方を、具体的な場面からお伝えしています。
サイト運営:いたがきひまり
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