小学生が学校のことを話さないのはなぜ?質問しても、「分からない」「忘れた」ばかりの子どもに悩むお母さんへ。子どもの頭の中で起きていることを知り、関わり方を見直すヒントをお伝えします。
1.小学生の子どもが学校のことを話さないのはなぜ?
学校から帰ってきた子どもに質問しても、何も答えてくれない。
そんなことはありませんか?
「今日どうだった?」ー「分からない」
「給食何だった?」ー「忘れた」
「休み時間は誰と遊んだの?」ー「……」
話を聞きたくても、たいした反応がなく、ヤキモキしてしまいますよね。
学校でちゃんと過ごせているのかな。
何か困っていることはないかな。
そんな心配から、つい何度も質問してしまうこともあると思います。
この記事では、学校のことを話さない子どもの頭の中で、どんなことが起きているのかをお伝えします。
その理由が分かると、何も話してくれない子どもの姿も、少し違って見えてくるかもしれません。

2.我が子も学校のことを話してくれませんでした
私の息子は小学校1年生。
幼稚園では毎日の送り迎えがあり、先生と顔を合わせる中で、なんとなく息子の様子が分かっていました。
でも、小学生になったら、毎日どんなことが起きているのか、何を感じているのか、親には分からないことばかり。
息子は不安が強く、登校しぶりもあります。
だからこそ、できるだけ学校の様子を知りたいし、困っていることがあれば助けたい。
そんな思いから、私はつい質問を重ねていました。
疲れて帰ってきた脳には、ホッと一息つける時間が必要。
そう考えて関わっていても、「分からない」「忘れた」が続き、学校のことを話してくれませんでした。
「なんで答えてくれないんだろう」
「話したくないのかな」
「もっと話してほしいな」
自分の好きなアニメやスポーツのことなら、よく話す息子。
だからこそ、私の質問には答えてくれないことが不思議でした。
学校で友達や先生との会話は成り立っているのかな、と心配になることもありました。
けれど、発達科学コミュニケーションを学ぶ中で、私はあることを見落としていたと気づいたのです。
それは、会話ができることと、自分の気持ちを整理して言葉にできることは別だということでした。

3.会話ができる子どもも、言葉にするまでには時間が必要
幼児期を終え小学生になると、子どもは少しずつ言葉を覚え、会話も成り立つようになっていきます。
すると親も、いつの間にか「もう普通に話せる」と思うようになります。
あんなによちよち歩いていた子が走ったり、手づかみで食べていた子がお箸を使ったりするように、言葉も成長していくからです。
でも、会話が成立することと、自分の気持ちを整理して言葉にすることは、同じではありません。
たとえば、学校から帰ってきた子どもに「今日どうだった?」と聞いたとします。
子どもがその質問に答えるには、学校であった出来事を思い出すだけでなく、そのとき自分がどう感じたのかを振り返り、何をどう伝えるか考える必要があります。
こうしたことを、子どもは頭の中で行っているのかもしれません。
親から見ると、何も話していない時間。
でも、子どもにとっては、思い出したり、考えたり、言葉を探したりしている時間かもしれないのです。
好きなことならよく話すのに、学校のことはなかなか話さない。
これは、何度も話してきたことと、その場で思い出して言葉にすることでは、難しさが違うこともあるからです。
最近、私の息子は少し負荷が高いことになると、「たくさん考えなきゃいけないから、もうわかんない」と言うようになりました。
頭の中で何が起きているのかは、目には見えません。
だからこそ、子どもが黙っていると、何も考えていないように見えてしまいます。
けれど、言葉が出ていないことと、頭の中で何も起きていないことは違うのです。
親は、質問をすれば答えが返ってくることを期待します。
でも、子どもが自分の言葉を見つけるまでには、親が思う以上に時間が必要なことがあります。
だからこそ、子どもが黙っている時間を、こちらが急いで埋めてしまわないことが大切なのです。

4.子どもが自分の気持ちを言葉にするまで「待つ」
私が子どもとの会話で意識するようになったのは、次の3つです。
① 質問したら、すぐに次の言葉を足さずに待つ
子どもが黙っていても、すぐに別の質問をしたり、答えを予想して言葉を補ったりせず、まずは待ってみます。
②「分からない」「忘れた」と言われても、質問を重ねない
答えが返ってこないと、聞き方を変えれば話してくれるかもしれないと思いますよね。
でも、質問を重ねるほど、子どもは次々に答えを求められることになります。
一度で答えが出なくても、そこで急いで次の質問をしないようにしました。
③ 子どもが考えている様子なら、言葉が出るまで待つ
いつもよりゆっくりなテンポで会話をすることも意識します。
もちろん、テレビに夢中で質問を聞いていなかったり、今は話す気分ではなかったりすることもあります。
そんなときまで、答えが出るのを待ち続ける必要はありません。
大切なのは、子どもが考えている様子なのに、親が先回りして言葉を足さないこと。
私はこれを知ったとき、自分の多すぎる言葉で、子どもが考える時間を奪いたくないと思いました。
問いかけたら、待つ。
それだけでも、子どもが自分の言葉を見つけるための時間をつくることができます。

5.待つようになって、息子の言葉を聞ける場面が増えました
以前の私は、息子のことを知りたくて、つい質問を重ねていました。
でも、子どもが話し始めるまで待つことを意識するようになると変化が見え始めました。
学校のことを話さなかった子どもが
「今日、体育の授業でさ…」
「いつも〇〇くんと鬼ごっこするんだけどね…」
などと、学校での出来事をすらすら話してくれるようになりました。
それだけではなく、自分の不安な気持ちや嫌だったことも話してくれるようになったのです。
私は、待つようにしたことで、これまで聞けなかった息子の言葉を聞ける場面が増えたと感じています。
もちろん、息子の変化は、待つことだけで生まれたものではないと思います。
安心して過ごせる親子関係を積み重ねてきたことも、その土台になっています。
それでも、子どもが話さないとき、親がすぐに質問を重ねる必要はないのだと知ったことは、私にとって大きな気づきでした。
子どもが黙っている時間も、自分の気持ちを整理し、言葉を探している時間なのかもしれません。
その時間を急いで埋めずに待つことも、子どもの言葉を引き出すために、できることのひとつなのだと思います。

執筆者:渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション アンバサダー




