不安や緊張が強い場面緘黙症の子が安心して通えるようになる学校での対応

笑顔の女の子
不安や緊張が高まり、声を出せなくなる不安障害・場面緘黙症。あまり理解が進んでおらず、学校の先生方にもあまり周知されていないのが現状です。場面緘黙の症状は、一人一人違います。だからこそ、学校との連携をとり、個々に合った対応をしてもらうことが重要です。
 
 

1.学校で場面緘黙症の子どもに合った対応をしてもらっていますか?

 
 
場面緘黙症のお子さんをお持ちのママ!
 
 
学校の先生に我が子(場面緘黙症の子)のことを良くわかってくれたら、子どものストレスが少し減るのではないかと考えたことありませんか?
 
 
先生方は子ども達と仲良くなろうと積極的に関わって下さる先生が多いですよね。
しかし、場面緘黙のある子どもにとっては、その積極性が時として苦しく感じることもあるのです。
 
 
場面緘黙症の子どもには、その子の特性に合った学校での対応がとても重要です。
 
 
だからこそ、お子さんの特性を誰よりもよく理解しているママがしっかりと学校との連携をとっていく必要があります。
 
 
学校でお子さんの特性に合った対応をしてもらえば、子どもにかかるストレスはだいぶ軽減できるはずです。
 
 
トリセツ
 
 

2.場面緘黙症をご存じですか?

 
 
場面緘黙症とは、家族とは家で普通に話すことができるのに、特定の場面(保育園、幼稚園、学校など)になると、不安や緊張が高まり声を出せなくなる不安障害のことです。
 
 
『話せない』に注目をされることが多いのですが、無表情のことが多く喜怒哀楽の感情を表せなかったり、不安や緊張が高まると固まってしまう、給食が食べられない、トイレに行けないなど学校生活で困ることが多く出てきてしまいます。
 
 
全く話せない子もいれば、話しやすい先生にだけ、仲の良いお友達にだけ話せる、小声なら話せるといった具合に一人一人違います
 
 
場面緘黙症は脳の機能の問題で『扁桃体』の過剰反応により不安や緊張が高まってしまい、喉がキュッと詰まったようになり話せなくなるのではないかと考えられています。
 
 
話さないのではなく、話せないのです。
 
 
動かないのではなく、動けないのです。
 
 
本人の意志とは逆に、やりたくてもできない、そんな症状なのです。
 
 
学校の先生からは「おとなしい子」や「反抗的な子」と見られがちです。
 
 
実は喋れない、固まってしまっているだけなのですが、症状が一人一人違うことで先生方にも『性格の問題』と思われることが多く、放っておけばそのうち話せるだろうと思われてしまいます。
 
 
また、クラスに迷惑をかけることはなく声が小さい、音読ができない、発表ができないなど本人の問題なので、先生から保護者に注意の連絡がいくこともあまりありません。
 
 
親が場面緘黙症に気づかず、様子をみてしまうことで本人の困り感だけが強くなり不登校や引きこもりといった二次障害が起きてしまうこともあります。
 
 
先生方も場面緘黙症の対応に手探り状態なのが現状です。
 
 
不安そうな子
 
 

3.不安・緊張が強い場面緘黙症の娘

 
 
私には場面緘黙症母子登校中の小6の娘がいます。
 
 
自宅と学校では別人のように感じるくらい学校では無表情で話すことができませんでした。
 
 
娘は小さな頃から内弁慶でしたが、自宅では普通に話すので母子登校をするまで、場面緘黙症に気づいてあげられませんでした。
 
 
小さい時からきまって、先生からは『大人しい子ですね。頑張っていますよ。』と言われてきました。
 
 
私も内弁慶だからかな…くらいにしか思わずに過ごしていました。
 
 
小3で不登校になりましたが、不安や緊張からくる場面緘黙症、母子分離不安症になり、不安・緊張が落ち着くならと、現在は私も一緒に学校について行き、母子登校をしています。
 
 
場面緘黙症の症状は一人一人違います。
 
 
娘の場合はこのような症状があります。
 
 
(学校での娘の状況)
 
 
・学校では常に緊張状態で笑わない、無表情
 
 
・友達が話しかけてくれても話せず、頷くか手を振るのが精一杯
 
 
・先生に話しかけられても話せないから無視してしまう
 
 
・先生と1:1は固まってしまう
 
 
・挨拶を言えない代わりに会釈する
 
 
・集団が苦手だけど仲良しの子1人となら話せる
 
 
(学校以外での様子)
 
 
・児童センターでは母がいなくても、自分からお友達を誘って遊ぶことができ、友達や先生と楽しそうに話している
 
 
・バレーやバスケなど体を動かすことが大好き
 
 
(家での様子)
 
 
三姉妹の次女なので姉妹間で喧嘩もするし、お互いにふざけあったり、推しの話で盛り上がったりと、どこにでもいる女の子です
 
 
このように、不安や緊張が出ない学校以外の場所では、娘のイキイキした様子がみられます。
 
 
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4.場面緘黙症の子が安心できる学校での対応のポイント!

 
 
場面緘黙の症状は人それぞれですが、関わり方次第では、症状を和らげることは十分できます。
 
 
そのためには、日頃生活をしている学校で、不安障害のため不安や緊張を和らげる安心な関わりをしていくことが重要になってきます。
 
 
何も自分のことを知らない先生と関わるより、理解してくれている先生となら日々の学校生活の不安が軽くなります。
 
 
先生がお子さんのことを理解してくれていたら、学校に行くハードルが下がりますね。
 
 
そこで、私は場面緘黙症の娘の特性に合った対応を学校でしてもらえるように『我が子のトリセツ』を先生にお渡ししています。
 
 
お子さまのトリセツを作る際に参考にしていただけると幸いです。
 
 
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いつもありがとうございます。
 
 
この前「先生に褒められた」と嬉しそうに話してくれ、私も嬉しくなりました。
 
 
娘は場面緘黙症の診断があり、学校以外ではできることでも緊張する学校では出来ないことがあります。
 
 
先生が娘と接しやすくなるように娘の特性についてお伝えします。
 
 
〈できること〉
 
・頷く、首を横にふる、指を差す
 
・選択肢のある質問で意思疎通ができる
 
・考える時間をもらえると決めることができる
 
・仲良しは〇〇ちゃんでこの子となら安心して話せる
 
 
〈苦手なこと〉
 
・話すこと、挙手
 
・集団の中に入ること
 
・初めての場所、人、事
 
・見通しがわからないこと
 
 
〈不安が少なくなる関わり方〉
 
・苦手なことを無理させないでほしいです。
 
苦手をできるようにしようとするのは不安が強くなるので逆効果になります。
 
・話すことは強要せず頷くなどの方法でコミュニケーションをとって欲しいです
 
・事前に予定を教えてください。急遽予定が変わってもわかった時点で教えて欲しいです。
 
 
<日々の学校生活の中で特にお願いしたいこと>
 
 
どんな小さなことでも、出来て当たり前のことでも『出来たこと』として口に出して褒めて欲しいのです。
 
 
自信がなくて以前に出来ていたとしても不安が勝ってしまい経験がリセットされてしまうことがよくあります。
 
 
なかなか手が出せないのもこのためです。
 
 
「お手伝いありがとう!」「宿題出せたね」「漢字頑張ったね」など目で見た通りを伝えてほしいです。
 
 
私に言われるより先生に言われた方が響くと思いますので、表情は無表情のままだとは思いますが内心はとても喜んでいます。
 
 
そして、娘は褒められると伸びます。
 
 
話しかけられたとしても返事に困って無視してしまう形になることが多いのですが、心はとても動いていますので、反応に気にせず話しかけてくださいね。
 
 
私は『娘の不安が軽くなるには』を考えながら動いているので、1つのことができるようになるまで沢山の小さな段階を経てゴールを目指しています。
 
 
先生も同じような気持ちで接していただけると嬉しいです。
 
 
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私はこのように場面緘黙症の娘の特性と対応方法を先生にお伝えしました。
 
 
娘のトリセツを先生と共有すると娘の不安・緊張が和らぎ、学校でも変化がありました。
 
 
・集団でいるお友達と関われない → 5人くらいの少人数なら話せるようになった
 
・笑わない、無表情 → お友達と少人数で遊んでいる時、表情が柔らかくなった
 
・急な予定の変更でも先生が早期に対応してくれるので不安が大きくならずにすんでいる
 
・理解してくれる先生がいるから学校に行くことが苦ではなくなった
 
 
どういう配慮がいいのか、してほしくないことがあるのかも人それぞれ違うので、まずは子どもの話をちゃんと聴いて、その子に合わせた対応をすることが大切です。
 
 
これができるのはお子さんを一番近くで見ているママだからこそです。
 
 
先生と情報を共有してお子さんの過ごしやすい学校生活のために一肌脱いでみましょう!
 
 
笑顔の女の子
 
 
執筆者:
発達科学コミュニケーション リサーチャー
田中さくら
 
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