不登校でゲームばかりしていた息子。外出を嫌がるのは怠けではなく、心のSOSでした。映画館で「チケット隊長」を任せ、「好きなこと×役割×楽しい経験」を通して自信を取り戻し、行動のきっかけを作った体験を紹介します。
1.不登校でゲームばかり!外にも出たがらないのは怠けじゃなくSOSでした
注意欠如・多動症(ADHD)や発達凸凹の子どもは、学校で注意され続けたり、失敗体験が重なることで、「また怒られる」「どうせ僕はできない」と自信を失いやすいです。
そうすると安心できるゲームの世界に“逃げる”ようになります。現実で感じるストレスや自信のなさから一時的に離れられる場所としてゲームにのめり込んでいくのです。
我が家のADHDの息子も不登校になると1日中ゲームやYouTubeばかりで過ごすようになりました。もともと外遊びが大好きだった息子ですが、ほとんど外出もしなくなったのです。
その背景には、学年が上がるにつれて理解力の苦手さから、先生の言うことがよくわからないままやって注意されたり、友達に指摘されて自信をなくす場面が増えてきたということがあります。
学校に行きづらくなり、しばらくすると全く学校に行かなくなってしまいました。
不登校になってから、息子は1日中ゲームやYouTubeばかりで、行動量が一気に減っていってしまったのです。

学校に行かないと決めてからストレスは減ったようでしたが、どこか元気がありません。家の中で過ごしていても、「頑張った」「できた」と感じられることが少なく、本人にとって自信につながる体験がほとんどないように見えました。
このように、行動量が減り成功体験が少なくなると、気力が下がったり自己否定が強まったりして、「二次障害」につながることもあります。
これが怠けではなく自信のなさとストレスから来ていた子どものSOSだったと気付いたのは、発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学んでからでした。
その後も学びを続ける中で、ADHDや発達凸凹の子どもには脳の発達を促すために行動させた方が良いということがわかりました。
行動することで脳が発達し、できることが増えることで自信にもつながると聞いたので、息子に行動量を増やして自信をつけさせたいと考え始めたのです。
2.不登校で行動量が減ったADHDや発達凸凹の子が外出を嫌がる3つの理由
不登校でゲームばかりの息子が外出を嫌がるのには3つの理由が考えられました。
①外に出るのが嫌い
これは運動系と感情系を繋げる役目をするネットワークの発達不足が関係しています。
脳の中は大きくわけて8つのエリアがあり、それぞれ機能や役割がちがいます。通常「動くと楽しい」という情報が、その8つのうちの運動系エリアから感情系エリアへ繋がり学習されます。
外出を嫌がるお子さんはこのネットワークがあまり育っていないため、外に出ることが楽しいと感じられない、嫌いだと感じやすいことがあるのです。
②外に出るのがめんどくさい
これはADHD特有のやる気のコントロールの苦手が関係しています。
脳の中には、”感情のコントロール”や”やる気”に関係している前頭前野という部分があります。ADHDや発達凸凹の子はこの部分のはたらきに苦手があり、自分でコントロールすることが人一倍大変です。
そのため、めんどくさいことや嫌なことになかなかやる気を出すことができないので、外に出るのが面倒くさいと思ったら行動するまでにすごくパワーがいるのです。

③外に出た時に嫌だった記憶がある
ADHDや発達凸凹の子はネガティブなことが記憶に残りやすいという特徴があります。
このネガティブな記憶とは人が命を守るための働きなので誰でも持っているのですが、ADHDや発達凸凹の子は特にちょっとのことでも強く残り、良い記憶まで塗りつぶしてしまうことがあります。
息子も買い物や散歩は拒否していましたが、楽しい記憶がある回転寿司や遊園地には行きたがりました。
こうした経験を通して私は、「行動そのもの」だけでなく「行動の中でどんな感情を得られるか」が鍵だと感じるようになりました。
好きなことから行動して、楽しい・ワクワクする気持ちを記憶に残すことで、ネガティブな感情をポジティブに上書きできるのです。
では、この外出を楽しい経験に変える具体的な方法をご紹介します。
3.楽しい成功体験で自信を取り戻す映画館でのチケット隊長作戦
外に出るのが「嫌・めんどくさい・嫌な記憶がある」という子どもの気持ちを変えるには、「好きなこと×役割×楽しい経験」 の3つを組み合わせると克服できます!
外に出たがらない息子には、“好きなことにからめて外出する”という方法がとても効果的でした。
外に出るきっかけを探す中で思いついたのが、息子が以前好きだったアニメ。
不登校になってからゲームばかりの息子に「映画館でそのアニメを見よう」と誘うと、久しぶりに笑顔で「いいよ!」と答えてくれました。
そして、ただ映画を見るだけでなく、息子に「チケット隊長」という役割をお願いしました。
チケット隊長の役割
・チケットを落とさずに持ち歩く
・スクリーン番号を見て座席を探す
・「お母さん、ここだよ」と案内する

チケットの文字やアルファベットを声に出して確認する姿は、普段ゲーム画面しかみていなかった息子とはまるで別人。
「隊長のおかげで席にくることができたよ、ありがとう、とても頼りになるね」と感謝の言葉を伝えるととても嬉しそうでした。
ちなみに、家ではほとんど横になってゲームやYouTubeを見ているため、席はカップルシートにして途中で横になってもいいようにしました。
初回は2時間座っていることに疲れてきて横になることも少しありましたが、以後は2時間座ってみることができるようになっています。
このように映画館に行くことで、好きだったアニメを大画面で見る楽しさがわかり、また映画が始まる前に売店で好きな飲み物やおやつを買って食べながら見ることも楽しかったようで、「また行きたい」と自分から話してくるようになりました。
4.映画館通いで世界が広がった!内から外へ動き出した息子の行動
映画館通いを続けるうちに、息子の行動に少しずつ変化が見られるようになりました。
以前は、「行かない」と言ってた外出も、自分から「次はこの映画が見たい!」と話すようになり、外に出ることへのハードルが下がっていきました。
映画を見終わった後には、「ここ面白かった」「あのキャラがかっこよかった」と感想を楽しそうに伝えてくれることも増えました。
今では、映画館だけでなく、近くのコンビニにおやつを買いに行ったり、公園に行ったりと、自分から外に出ようとする行動が増えています。

さらに、「警察官になりたい」と夢を語ることも増え、外の世界での自信が芽生えてきました。
こうして今では、映画館に行くことは、回転寿司や遊園地に行く時と同じくらい「楽しい」と感じられるようになっています。
息子は今でもゲームが大好きですが、ゲームとYouTubeだけだった世界が、「映画館」が増えたことで外に出るという選択肢が増えました。また、役割の達成を経験したことで「また行きたい」という行動にも繋がりました。
ADHDや発達凸凹の子たちは、動く・挑戦する・達成することで脳が発達します。 外に出るきっかけを「好きなこと」と結びつけ、「できた!」「楽しかった!」という成功体験を積み重ねることで、自信の芽が少しずつ育っていきます。
映画館でのチケット隊長は、不登校でゲームばかりの子が一歩を踏み出す、最初の成功体験にぴったりの作戦です。ぜひやってみてくださいね。
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執筆者:長谷川アン
(発達科学コミュニケーション STELLA*Schoolアンバサダー)
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