ADHDキッズがゲームで負けると癇癪を起こす、怒る、暴れる…そんな様子が見られると、心配になりますよね。負けて癇癪や暴力などを起こしてしまったときにやってほしい、ゲーム時間を使って「負けの受け止め力」を育てる具体的な言葉かけを、実体験をもとに解説します!
1.ADHDキッズがゲームで負けを受け止めにくい理由
注意欠如・多動症(ADHD)グレーゾーンの子どもたちは、 気持ちを言葉にすることが苦手な子が多いです。
特に「悔しい」「負けた」という感情は、
⚫️嬉しい・悲しい・怒りの感情の振れ幅が大きい
⚫️“悔しい”が一気に100%の強さで出てしまう
⚫️どう表現していいかわからず、体が先に動いてしまう
という特徴があります。
その結果、ADHDキッズは癇癪を起こしたり、悔しさや混乱をうまく処理できず、泣き出してしまったり、思わず怒鳴ってしまったりします。
さらに、気持ちの行き場がなくなると、物を投げたり、遊んでいたゲームやおもちゃを壊してしまうといった行動として表れやすくなるのです。
これはわがままでも、甘えでもなく「感情の処理がまだ追いついていない」状態なのです。
2.ゲームや勝負に負けそうになるといつも癇癪が起きていた息子
わが家のADHDグレーゾーンの息子も、すぐに癇癪を起こすなど、まさに同じ状態でした。
ゲームやルール遊びで負けそうになると、少しずつ表情がこわばって落ち着きがなくなり、そして最終的には、「もうやらない!」と途中で投げ出すことがよくありました。
完全に負けたと分かった瞬間には、カードを投げたり大声を出したり、物に当たってしまうことも少なくありませんでした。

息子が癇癪を起こすと、その場にいた弟は驚いて固まってしまい、夫は苛立ちを隠せずに声を荒げ…家の空気は一気に張りつめ、居心地の悪い沈黙が流れる―。
そんな場面が何度もありました。
そして何より、私自身が「どう関わればいいのかわからない状態」に追い込まれていたのです。
「そんなことをするなら、もうしないで」
「次にやったら、ゲームは捨てるよ!」
感情に任せて怒鳴ってしまい、そのあとに残るのは強い自己嫌悪でした。
ただ楽しく遊びたいだけなのに…ゲームの時間が近づくたびに、私の方が先に緊張してしまう。
そんな日々を過ごしていました。
3.負けを受け止める力を育むのにベストな冬のゲーム時間!
ADHDグレーゾーンの子どもたちがゲームで癇癪を起こしやすい背景には、環境の変化も大きく関わっています。
その中でも、とくに気をつけたいのが冬の期間です。
寒さの影響で外遊びが減り、家で過ごす時間が自然と長くなります。
その結果、ゲームに触れる時間が一気に増えやすくなるのです。
ゲームの経験はそのまま“人との関係づくり”にもつながりやすいので、負けたときの気持ちをどう扱えるかによって、トラブルの多さや友達との距離感は大きく変わってきます。
だからこそ、冬の間に多くなるゲーム時間は、「負けた気持ち」と向き合う力を育てる大切なチャンスです。

負けたときに泣き叫んだり、怒ってしまうことが続くと、まわりの友達は少しずつ距離を取るようになりますよね。
だからこそ大切なのが、負けた気持ちにどのように向き合うかです。
負けた気持ちを少しずつ受け止められるようになると、 ゲーム中のトラブルは減り「また一緒に遊ぼう」と声をかけてもらえる機会が増えていきます。
ここで必要なのは、特別なトレーニングではありません。
癇癪が起きてから止めようとするのではなく、起きる前に、気持ちの出し方を伝えておくこと。
それが、トラブルを防ぐ一番の近道です。
次にご紹介するのは、わが家で実際に続けてきたゲームでの癇癪を防ぐための関わり方です。
4.ADHDキッズが負けても癇癪を起こさなくなった、たった一つの言葉かけ
わが家では、ゲームを始める前のたった一言の言葉かけが、息子の負けたときの行動を大きく変えてくれました。
私がとくに意識したのは、「起きてから対応」ではなく「起きる前に準備」すること。
ゲームを始める前に、必ず聞きました。
私「負けたらどうする?」
息子「悔しいって言う!」
これだけです。
いきなり本番で感情をコントロールするのは、ADHDの子にはとても難しい。
だからこそ、事前に“行動の見通し”を作ることが大切でした。
この一言があるだけで、負けたときの気持ちが暴走しにくくなります。
私が息子にこの関わりを意識するようになってから、負けてもすぐに怒り出すことが減り、悔しくて涙が出ても、途中で投げ出さずに続けようとする姿が見られるようになりました。
そんな変化が、少しずつ増えてきたのです。
特に印象に残っているのが、先日の子ども会のビンゴ大会です。

弟が先にビンゴになり、最後まで残ったのは息子ひとり。
本人にとっては、これ以上ないほど悔しい状況でした。
以前なら、カードを投げたり、泣き叫んだり、「もうやらない!」と席を立ってしまっていたと思います。
けれども、その日は違いました。
涙をためながらも自分の席に座り続け、最後までやり切ったのです。
終わったあと、息子は小さな声で「悔しかった。でも、がんばった」と話してくれました。
癇癪をなくそうとする前に、気持ちを“どう出すか”を教える。
それが、 ADHDキッズが癇癪を起こさずにゲームを楽しめるようになる第一歩です。
「うちも同じかも…」
そう感じたら、ぜひ今日のゲーム前に
「負けたらどうする?」
というこの一言から始めてみてくださいね。
執筆者:優木なみ
(Nicotto Project 発達科学コミュニケーショントレーナー)





