さて今日は
『「正解」を探さなくなったママが、
一番子どもを動かせるようになる理由』
というお話です。
生徒さんからよく聞かれます。
「先生、これで合っていますか?」
子どもが動かないと、
どうしても聞きたくなる言葉です。
この声かけでいいですか?
今日は起こした方がいいですか?
学校の話は
まだしない方がいいですか?
ゲームは止めなくても
いいのでしょうか?
私も、
起立性調節障害になった息子を
前にしていた頃は、
ずっと“正解”
を探していました。
正しい声かけ。
正しい対応。
正しい休ませ方。
正しい背中の押し方。
間違ったことをしたら、
もっと悪くなるんじゃないか。
そう思うほど、
子どもを見るより先に、
「何をするのが正しいの?」
と外に答えを探してしまうんですよね。
今日は、
そんな子育てから
大きく抜け出した
Nさんのお話をしたいと思います。
Nさんも最初から
関わりが上手だったわけではありません。
やってみたけれど、
思ったような反応が返ってこない。
肯定しているつもりなのに、
なぜかうまくいかない。
他のママのお子さんが
どんどん変わっていくのを見て、
「どうしてうちは……」
と苦しくなった時期もありました。
それでもNさんは、
やめませんでした。
私は何度も
「トライ&エラーでいい」
と伝えてきました。
一回の声かけで
正解を出そうとしなくていい。
うまくいかなければ、
子どもの反応を見て、
「今のは違ったのかもしれない」
と考えればいい。
なぜなら、
答えを持っているのは、
いつだって目の前の子どもだから。
Nさんは、
この言葉を信じてくれました。
たとえば、
娘さんが昼夜逆転している。
以前なら、
「昼夜逆転している」
=「よくない状態」
だけで見てしまったかもしれません。
けれどNさんは、
昼夜逆転している娘さんの中にも
「昨日よりここはよかった」
「こんなことを自分から話した」
「このときは表情が違った」
と、小さな変化を
見つけるようになりました。
子どもの主張にも、
すぐ「それはダメ」
と返すのではなく、
まず受け取ってみる。
そして、
ただ何でも許すのでもなく、
娘さんの状態を見ながら、
今ならこの提案は届きそうかな?
今はまだ言わない方がいいかな?
と考えるようになりました。
これは、
声かけの技術が
増えただけではありません。
Nさんの中に、
「子どもを見て、自分で決める力」
が育っていったんです。
私は今回、
Nさんの成長を改めて
一つずつ書き出してみました。
・うまくいかなくても続けた。
諦めなかった。
・指示するより、
まず肯定なんだと気づいた。
・昼夜逆転の中にも
成長を見つけた。
・子どもの主張を
頭ごなしに拒否しなくなった。
・肯定とは
褒めることだけではなく、
その子の存在そのものを
受け取ることだと気づいた。
・小さな変化を見つけた。
その変化を見ながら、
・タイミングよく提案
できるようになった。
・周りの「普通」や「常識」と
わが子を切り離して
考えられるようになった。
・うまくいかないときも、
「どうしたらいいですか?」
だけで終わらず、
・「私はどう見る?」
「次は何を試してみよう?」
と自分で考えるようになった。
以前のNさんと
今のNさん。
一番大きく変わったものは何だろう?
と考えたとき、
私はここだと思いました。
「正解を外に求める子育て」から、
“答えはわが子の中にある”と
信じて、観察し、自分で考え、
関わりを選べる子育てになったこと。
これって、
実はとても大きな変化です。
起立性調節障害や不登校の子育てでは、
昨日できたことが
今日できないことがあります。
先週は学校の話ができたのに、
今日は聞いただけで表情が曇る。
昨日は外に出られたのに、
今日は一日部屋から出てこない。
だから、
「この場合は、この声かけ」
という正解集だけでは
対応しきれません。
大事なのは、
正しい声かけをたくさん知ることより、
目の前のわが子の今を
読み取れるようになること
なんです。
今日のこの子は、
何なら受け取れる?
今は休ませる時期?
それとも、
少し挑戦できるところまで来ている?
背中を押すなら、
どのくらいなら負荷になりすぎない?
それを判断するために
必要なのが、
子どもを観察する力です。
そしてもう一つ。
自分の判断を
トライしてみる力です。
Nさんが変わったのは、
私に相談しなくなったからでは
ありません。
むしろ、
相談する前に一度、
自分で考えるようになった。
ここが大きい。
「先生ならどうしますか?」
ではなく、
「私はこう見立てたから、
こうやってみました。
でもこの反応だったので、
次はこうかなと思っています」
に変わっていったんです。
私はこれこそが、
ママ自身の脳が
成長している状態だと思っています。
なぜなら、お子さんの言動は
お子さんの今の脳の状態を如実に
反映しているから。
そして、
ママが自分で
わが子を見られるようになると、
子育ては
少しずつ怖くなくなります。
一回うまくいかなかっただけで、
「間違えた」
「また悪くしてしまった」
と自分を責めなくなる。
だって、
うまくいかなければ、
「違ったんだな」
と観察して、
また次を試せばいいから。
Nさんは、
過去の自分の子育てを
悔やんだこともありました。
だけど、
自分の子育てをずっと否定することは、
「あの頃のこの子も
ダメだった」
と、子どもの過去まで
否定することになってしまう。
そう気づいてから、
過去を責め続けるのではなく、
「じゃあ、今日から何をする?」
に目を向けられるようになりました。
正解を知っているママになる
必要はありません。
子どもを完璧に理解できるママに
なる必要もありません。
今日のわが子を見て、
考えて、
やってみて、
また見る。
その繰り返しの中で、
親子の「考える力」も
「選ぶ力」も
「動く力」も育っていきます。
もし今、
「これで合っていますか?」
と何度も誰かに
聞きたくなっているのなら、
今日ひとつだけ、
問いを変えてみてください。
「正解は何?」ではなく、
「今、わが子は何を教えてくれている?」
そこから始めてみてください。
子どもの答えを
見つけられるようになること。
そして、
その答えをもとに
自分で次の一手を選べるようになること。
私はそれが、
子どもの回復だけに振り回されない、
ママ自身の本当の成長だと思っています。
今日はここまでです。

