吃音をよくするだけではなく、
困難なことにぶつかった時に
立ち上がる力となる
愛着形成って
聞いたことありますか?
字面から、
「親からの愛情を
たっぷりもらって、
『自分は愛されている♡』
と思う気持ちのことかしら?」
と思われる方も
いるかもしれませんね。
ハズレではありません!
おおむね正解。
けれども、大正解ではない。
愛着形成というと
必ずしも親でなくても
いいんです。
誰か、
特定の人と、
絶対揺るがない絆で、
結ばれることを
愛着形成と言います。
みなさんにも
経験はありませんか?
自分の母親は、
愛しているけど、
深い絆が結ばれているかと
いうとわからない…。
けれども、
多感な中学生の頃、
生きていくことに悩み、
苦しかった時期を、
なんでも聴いて
受け止めてくれた
恩師の先生のおかげで
前向きに生きようと思えた。
一生忘れられない人だ。
という人の存在は
ありませんか?
これは先生と
愛着形成が結ばれた!
ということになります。
もしくは、
ご主人様と絆で結ばれ、
人生が変わった!
という人もいらっしゃるかも
しれませんね。
つまり、愛着形成は、
父親でも祖母でも
親戚のお兄ちゃんでも
園や学校の先生でも
恋人、パートナー
だれでもいいんです。
ですが、
たいていの場合は、
生まれた時から
いつも一緒にいる
母親と形成されやすいことから
「母子の愛着形成」
と表現されることが
慣習的にあります。
そこで、
愛着形成の問題を
語られると、
ママたちは
「私の育て方に
文句言われてる!」
と警戒してしまうのですが、
ぜひ、その考えは
捨ててください。
この受け止め方を
してしまうと、
続きの大事な話が
入ってこなくなるので、
そこは感情をフラットにして、
本質の話を進めて
いきましょう!
なぜかというと、
吃音をよくするには
この愛着形成が大事
だからです。
吃音の症状が進行し、
大人まで持ち越してしまう子の
多くはこの愛着形成が
不十分です。
なぜかというと、
愛着形成が不十分だと
不安が強くて、
大人に本心を話すことが
できず吃音が悪化
しやすかったり、
吃音があるために
自分の気持ちを言葉で
表現できず、
愛着形成が築きにくい
という相互作用が
起きやすいからです。
そこで、今回は
愛着形成ができているか
以下のチェックリストで
みてみましょう!
✔️自作自演の事件を起こして
被害者や発見者、目撃者を
装う(物を隠して発見者になるなど)
✔️必要以上に大きな声で話す
✔️人をみて態度を変える
(強い/偉いと思うといい子になる/
あるいはもっと不適切な行動をする
優しい人だと思うと不適切な
行動をしてどこまで許されるか試すなど)
✔️要求に応じると
「もっと!」とエスカレートする
✔️人の行動によく注意する
(あの子があんなことしてる!)
✔️注意してもヘラヘラ/
目が泳ぎ眠りそうになる/
大声を出して泣き出すなど/
忘れてしまう/
していないと嘘をつく)
✔️「どうせ」「自分はできない」
「死ねばいいんだ」とよく言う
当てはまることが多い子は、
愛着形成が不十分と
考えられます。
少ない子は
愛着形成まであと一息です!
数が多い少ないから
よくないということではなく、
愛着形成ができれば
これらはなくなり、
穏やかな子育てができる!
吃音がよくなる!
ということです。
そこで!
少し話題をかえて、
みなさんは、
高校や大学に進学した時、
入学式はどんな気持ちでしたか?
就職した時の入社式は?
初めての場所、
初めての人、
不安ではありませんでしたか?
赤ちゃんを想像して
みましょう。
お腹から出てきたら
初めての肺呼吸、
初めての人、
初めての場所、
初めてづくしです!
赤ちゃんも不安です。
恐怖です。
けれども、
赤ちゃんを優しく抱っこして、
オッパイをくれて、
寝かしつてくれる存在に
「安全」を感じます。
愛着形成には、
大事な3つの基地が
あるのですが、
1番はじめにスタートするのが、
安全基地
と呼ばれるものです。
私は守られている
と相手が感じることと、
私は何かを守っている
と認識する者との間で
生まれる感情です。
人が初めてのことに挑戦する時に
この感情が育っているかどうかで
入学式、入社式の不安の度合いも
変わってくるわけです。
この安全基地が
育ってくると、
次の安心基地に
発展していきます。
安心基地は、
ある特定の人との関係で
漠然とながら、
自分は、
「安全だ。安心だ。」
と感じる機能のことです。
恐怖や不安に遭遇した場面で
この安心基地が機能すると
言われていますが、
そのような特殊な場面に
かかわらず、
この人のそばにいると、
・ほっとする
・落ち着く
・癒される
と日常的に感じる感覚
でもあります。
つまり、
愛着形成が不十分で
起きてくる問題の数々は、
この安心基地がないために、
子どもが安心を感じたくて
困った行動を起こしているだけ
ということになります。
この安心基地が育つのは
生まれてすぐの親子の
やりとりの中から
育っていきます。
例えば、
子どもが初めて
つかまり立ちに
成功したとします。
両手に必死に力を
入れながら、
グラグラしつつも
立っている時に、
ふとママを見たら
ママが笑顔で拍手して
くれた!
となると、
「自分の今していることは
いいことなんだ!」
「あの人は自分のすることを
あんな笑顔で喜んで
くれるんだ!」
「あの人が反応してくれると
こんなに嬉しいんだ!」
と感じて、その行動を
繰り返し行うように
なります。
自分がしていることが
いいことなのかどうか
というのは子どもは
判断できません。
他人から評価されることで、
「自分はこれでいいんだ。」
と実感できるようになります。
実は、ここに安心基地の
落とし穴があります。
子どもは何度も
ママからの承認を
欲しがるんです。
ママが忙しい時でも、
ママがもううんざりと
思うほどでも、
何度も「ママ見て!」
と要求してきます。
これに時間のないママ達は
対応しきれず、
うるさいからちょっと
Youtubeを観てて、
となってしまうことが
おきます。
子どもはおとなしくて
いいのですが、
安心基地が形成されないまま、
なんとなく動画で
機嫌をとって
成長していくことになります。
それだと次のステップ
探索基地は育って
いかないのです。
探索基地とは、
安全基地と安心基地が
できたところで
生まれてくる感情の
ことなのですが、
安全・安心を感じて
離れられる機能、
そして戻って来れる機能の
ことを言います。
わかりやすいのが、
母子分離です。
入園・入学したけど、
ママから離れられない。
行ってしまえば
楽しんでいるけど、
朝、いきたくない理由は
「ママと一緒がいい」
という場合は、
安全基地・安心基地が
まだ不確実で、
探索基地が育っていない
ということになります。
この探索基地は、
安心してママから
離れられるだけではなく、
戻って来られる、
ということも含みます。
お迎えに行った時に
遊んでなかなか帰ろうと
しない子は、
その時の親の態度で
親が自分をどれだけ
気にかけているかの
お試し行動をしていると
考えます。
この探索基地が
不確実なまま成長すると、
公園で遊んでいても
なかなか家に帰ろうとしない、
中高生になってから
遊びに行った
友達の家に居座ったり、
夜遅くまで営業している
お店で遊びたがって
家に帰ろうとしない、
ということが起きてきます。
この3つの基地から成る
愛着形成は、
誰しもぶつかる人生の壁や
初めての挑戦を乗り越える力の
土台となるため、
発達心理学的に
大事な感情の発達だと
考えられています。
ここがあるかないかで
吃音の症状が
進行しやすいか、
しにくいかも
変わってくるんです。
ここまでのところで、
愛着形成は、
安全基地
↓
安心基地
↓
探索基地
と3つのステップで
進んでいく、
と説明してきました。
この探索基地まで
辿り着かずに成長すると
どのようなことが起こるか、
というと、
何か悩み事を抱えても
親に相談できず
一人で悩んでしまい、
その結果、
吃音の症状が進行し、
大人まで持ち越して
しまう、
ということが起きます。
なぜかというと、
この3つの目の
探索基地が
吃音の改善に重要な
役割を果たすからです。
みなさん、
子どもが吃音について
相談してこない限り、
「吃音について悩んでいない」
「どもることを気にしていない」
と思われる方が
多いのですが、
実際は違います。
吃音を抱えながら
大人になった方への調査では、
Q:吃音について親に
相談したことがあるか?
という質問に対して
「NO」と回答する方が
圧倒的多数でした。
仮に相談したことが
あったとしても
「1度だけ」
など回数が少なく、
悩みを解消せずに
終わってしまっていることが
多いことが
わかっています。
なぜ、そうなるのか、
というと、
悩み始めた時には、
「吃音=恥ずかしい」
という感情が
芽生えているので、
相談することすら
辛くなるからです。
むしろ、
「親にだけは
悩んでいることを
言わないでほしい」
と言う子が多いです。
これは探索基地が
形成されていないためです。
吃音は、悩み事を
抱えたり、
ストレスを溜めることで
症状が進行します。
そんなことを
知らない本人達は、
親の前で笑顔をつくり、
吃音について
悩んでいることを
必死に隠そうとします。
けれども、
探索基地が育っている子は、
ネガティブな感情に
なった時に、
探索基地(ママ)に戻り、
想いを吐き出して
ネガティブな感情を
ポジティブに切り替える
ことを日々の生活の中で
します。
だから、
ネガティブな記憶が
たまりにくく、
吃音も改善しやすくなるのです。
以前は、
吃音について
自覚させないように、
どもっても無視するように、
また、吃音の話題も
控えるようにと
言われていた時代が
ありました。
今では、吃音の話題を
タブーにすることで
悪化することから、
積極的に話しましょう、
という方針に、
変わってきました
ですが!
私はそれを安易に
勧めていません。
吃音の話題を出す前に
愛着形成をしっかり
育てておくことが
大事だと考えているからです。
この探索基地が
できていない親子関係で
強引に吃音の話題を
持って行ったとしても
子どもは心を開きません。
「その話やだ…」
と心理的に逃げたくなる
感情が勝り、
悩みをぶちまけたい!
気持ちを軽くしたい!
と思っても、
本心を明かすことが
できないんです。
そうすると、
本人も無意識のうちに
親に対して殻を作る
ようになります。
強引にこどもの気持ちを
聞き出そうとすればするほど
この殻は厚くなっていって
吃音の悩みも深くなって
いくので、
私はこの愛着形成を
なるべく早く築くよう
講座の中でそのステップを
踏んでいます。
講座を受講された方の中には、
・子どもが気持ちを言葉で
表現できるようになった
・いろんなことを
話してくれるようになった
という体験をされますが、
そのような親子は
この愛着形成が
進んできた証拠でもあります。
吃音の話題に限らず、
悪いことをしたとしても
どんなことでも話ができる
親子になるためにも
親子のコミュニケーションを
スムーズにしておくことが
重要です。
講座でお伝えしているので、
我が家の悩みはここだ!
と思った方は、
ぜひ、子育ての仕方を
学ぶことをご検討ください^ ^