長期不登校でも発達障害で孤独でも、新年度1000日ぶりに登校!

長期にわたって不登校の子。発達障害の特性や、人目を気にするあまり、学校や友達と接点がないと「うちの子、もう登校できないかも」と思っていませんか?新年度に向けてがんばりたい子を一押しするきっかけ作り、お母さんにもできるんですよ。

1.誰とも接点がなかった長期不登校の子が、新年度に登校!

もうすぐ新年度。
不登校のお子さん・お母さん共に、気持ちが揺れる時季かと思います。

「新年度こそは登校しよう」
「でも行けるかな…」
というお子さん。

お母さんも
「そろそろ行ってくれないかな」
「またダメかも」
と、新しい環境で心機一転がんばってほしい、と期待したりあきらめたり。

特に不登校が1年以上など長期化しているお子さんは、学校や友達とも疎遠になることが多いです。

さらに発達障害自閉症スペクトラムタイプの子は、もともと積極的に友達に話しかけるタイプでもないため、友達が少ない。

そして思春期は、他人の目を気にする時期。

みんなは登校できているのに、自分は不登校ということで劣等感を感じ、友達と関わりたくない気持ちが強くなっていく。

こうして家族以外の誰とも関わらないということもよくあります。

友達とも先生とも接点がないと「新年度だからと言って動きだす気がしない」とも思ってしまいますよね。

ですが、子ども本人が誰とも接点がなくても、お母さんの働きかけで、登校に前向きになれることもあるんですよ。

長期間不登校だった子でも、新年度1000日ぶりに登校できたお話をします。

2.見逃さないで!新年度に向けてジワジワ変化する不登校の子

発達障害のわが娘は、不登校が中学から3年弱と長期にわたっていました。

今振り返ると、娘自身は実際に、新年度に登校できた・できなかった、ということに関係なく、毎年同じような傾向をたどっていました。

それは毎年、年明けからジワジワと前向きに変化していた、ということです。

具体的にどんな変化かというと、
・家の中で主体的に動くことが増えてきた。
 (「お菓子を作りたい!」と作ってみたり、手伝いを言われなくてもするようになったりした)
・自分から、過去の学校生活でのエピソード、特に先生の話をするようになった。

このような姿が見られました。

しっかりパワーを充電できて、「がんばりたい」という気持ちが芽生えてきたのですね。

ちなみに毎年、年末までは学校の話はNG。

娘からも私からも、学校の話題を口にすることはほぼなかったです。

では登校できた年は、何が違ったのでしょうか。

3.発達障害で孤立しやすい不登校の子こそ、お母さんが学校とつながろう

登校できた年の直前は、信頼できる先生と繋がりを持つことができました。

これが最終的には大きな一押しになりました。

とはいえ、実はそこに至るまでに、私が日々意識してきたことが、学校と子どもを繋げることに結びついたのだと思います。

その3つのポイントをお伝えします。

① 社会と繋がっている安心感を持たせる

学校とも友達とも、誰とも接点がない長期不登校の子。

発達障害の自閉症タイプで、なかなか自分から友達に話しかけないような子でも、本当は「少しでいいから誰かと繋がりたい。忘れられたくない」そんな気持ちを抱きながら過ごしています。

私はそんな気持ちを持つ娘に、学校からもらってくるプリントを、あえてテーブルの上に置いておき、なんとなくでも本人の目に留まるようにしていました。

社会から見放されているような気がしていた娘には「あなたもこの中学の生徒なのよ」と社会の中での居場所がある、という安心感を持ってほしかったのです。

そしてお手紙をいただいたら先生に、
「いつもありがとうございます。宿題のプリントをやることはありませんが、自分の名前が入ったお手紙をもらうことで、生徒の一人として見ていただいている安心感があるようです」
「○○先生が、プリントに一言メッセージを書いてくださったのを、読んでいました」
など、お礼を伝えました。

本人の揺れ動く気持ちを、先生にもわかっていただけ、刺激しすぎず、また全く見離されるでもない関わりを持ってくださいました。

② 学園もののドラマなどで、さりげなく学校の話をする

学園もののドラマを観ながら、「こんな素敵な先生に出会ったことある?」など話し、どんな先生なら信頼を寄せられそうかリサーチしました。

自分の学校の話題を直接するより、少し他者目線で考えられるので、わりと抵抗なく話してくれました。

③ 学校生活で嬉しかったことを、先生やスクールカウンセラーに話す

②の話を元に「こういうことをしてくださった先生がいらっしゃったようで、嬉しかったみたいです」と伝えました。

そのことで先生も、本人が登校できたときの対応や、次年度の担任決めの参考になる場合もあったようです。

不登校の子どもと学校のことを話すのはなかなか難しいこともありますが、このようにちょっとした働きかけに対してどう反応するかで、気持ちを把握しやすくなります。

また、そうした細かな気持ちを先生と共有しておくことで、先生もサポートに前向きになってくださることもありました。

4.登校に必要な「安心感」は、信頼できる先生と繋がることで得られる

長期間学校に行っていない子にとっては、自分が登校しても、誰も相手にしてくれないのではないかという大きな不安があります。

私は面談の時だけでなく、PTAやプリントをいただきに行くときに、担任の先生やスクールカウンセラーさんにこまめに娘の様子を伝えていました。

また娘自身、校長先生とは一度も話したことがなかったのですが、普段から生徒のことを優しく見守ってくださる姿が印象的で憧れだった様子。

そんな話を、私は担任の先生ともしていたのです。

そうしたところ、娘の憧れであった校長先生と私が話す機会を設けてくださることになりました。

校長先生とは、新年度に向けて頑張りたい気持ちはあるけれど、不安な気持ちも募ってきていることや、発達障害の特性のこと、先生に憧れていることなど伝えました。

すると数日後、お願いしていないのに校長先生が娘に手紙を書いてくださいました

「お嬢さんが読んでも良さそうであれば、お渡しくださいね」と。

手紙に同級生や勉強の話が一切なかったことで、本人も読みきることができました。

信頼できる先生が、待ってくれている。
「忘れられてないんだね、私」と涙しながら読んだ手紙。
この手紙で、大きな安心感を得ることができました。

そうして気持ちが前向きになり、新年度に登校できたのです

手紙をいただくことや、本人が手紙を読むか、という部分は、それぞれの事情もあるのでうまくいくとも限りません。

ただ、今、お子さんが新年度を前に気持ちや行動の変化があるか

どんな環境なら発達障害であっても子どもががんばれそうか

そのようなことを、先生に伝えておくこと。

そしてできれば、子どもが信頼できそうな先生にお母さんが繋がるチャンスを作ること。

このようなお母さんの働きかけで、子どもと学校を繋ぐことができるのです。

お忙しい先生に、連絡するのをためらってしまうお母さんもおられるかもしれません。

ですが、新年度を迎える前に、先生に子どもの様子を伝えることで、新しく関わってくださる先生にとっても、安心して新年度に対応していただけます。

新年度を迎える前に、感謝の気持ちを添えつつ、お子さんの様子を伝えてみてくださいね。

執筆者:赤川りか
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

お母さん一人でがんばらなくていいんです!周りと連携するコツ、お伝えしています。

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