1.高学年の時期にグレーゾーンの子どもに育てておきたい自分で決める力
この春、高学年に進級されるお子さんをお持ちのママも多いですよね。
高学年に進級すると、今までとは違う環境や先生や友達の変化に戸惑うグレーゾーンの子どももいます。
例えば
・先生の要求値が高くなる
・周りの状況を見て、自分で判断して行動することを求められる
・わからないことは聞かないと教えてくれない
・「努力不足」「もっとやったらできる」と思われる
・お友達との違いを自覚して、できないことに自信をなくす
などです。
例えば、学校で先生に指示されたことにうまく対応できず、あいまいに返事をしてしまって、怒られてしまうこともあります。
グレーゾーンの子どもたちは、見通しを立てて考えることが苦手なため、その場で決断することが難しいです。
ですが、周りはその特性を理解することなく、だらけているとか、わがままだとかと決めつけてしまい、グレーゾーンの子どもは傷つき、自信をなくして行動量が減ることにつながるケースもあります。
なので、高学年になって、自分で決める力が育っていないとグレーゾーンの子ども本人が辛い思いをしてしまうのです。
2.グレーゾーンの息子の自信を奪っていた先回り育児
私には、現在中学1年生の息子がいます。
グレーゾーンの息子は、幼い頃から何をするにも「ウジウジ」して自ら動くことができませんでした。
・周りの子どもより動作のテンポ遅い
・周りの子どもよりできないことが多い
・状況を見て、どう行動していいかわからない
・質問しても「どっちでもいい」「わからない」「別に」という返事が多い
などの苦手さと特性がありました。
自分で考えて答えが出せない、「わからない」から行動することもできない。本当はやってみたいことがあるのに「考えておく」「今はいい」などと一歩踏み出す勇気がありませんでした。
そんな息子の特性も理解することなく、どうしてこんなに優柔不断なの!と「こうしたらいいよ」とか「お母さんの言った通りにしていたらいいのよ!」などと言って先回りの行動を私がしていました。
息子の気持ちも理解しようとせずに「どうせできないんだし」「ウジウジするなら先にやってしまったほうがいい」とできない子と決めつけていました。
小学4年生までは、私の先回り行動もうまくいっていましたが、小学5年生になると言っても聞かなくなってきました。
反抗的になるし、話を聞こうともしない、文句を言うと今までのやり方ではうまくいかなくなりました。
そして、文句ばかりで「どうせできないし」「どうせダメだし」と息子は行動量も減ってきました。
今まで私が押さえつけていた、先回り子育てがうまくいっていなかったことがわかったのです。
私の子育てが、息子が自分で決めて、行動するチャンスを奪っていたのです。
3.子どもの好きなことは動くチカラに変わる!
息子のように、高学年のグレーゾーンの子どもが自信をなくすのは、いくつかの原因が考えられます。
・発達障害の特性ゆえの苦手さがあり、できないことが多くて叱られる
・どうやってわからないことを聞いていいのか、聞き方がわからない
・自分は頑張ってやったのになぜか注意される
・叱られて「もうやりたくない、やっても無駄だし」とやる気と自信を失う
・うまくできた!の成功体験が少ないから、行動力が上がらない
高学年になると、できて当たり前と周りの要求値も上がる一方で、グレーゾーンの子どもたちのできないことが増えていきます。
劣等感や人と比べて自分を評価すること気持ちも生まれるので、ますます自信をなくしてしまい、動けなくなっていく子どもたちも増えていきます。
ですが、自信のない子どもたちでも、自分で決めて動き出す方法があるのです。
それは、好きなことから伸ばすという方法です。
グレーゾーンの子どもたちは、こだわりが強いことも多く、好きなことや興味のあることには積極的に堂々と行動できる。
好きなこと、興味のあることなら、彼らなりの知識をたくさん持っています。
つまり、好きなことなら「知っている」ことも多いから、自分で行動しやすいんです。
好きなことがあると、もっと知りたい、やってみたい、見てみたいなどの好奇心が生まれ、やらされ感もなく、目的を持って自分で考えて決めて動いていく力が育っていくのですね。
4.子どもの興味のあることを利用して行動するチャンスを作ろう!
では、お母さんがどうすれば、子どもが自分で行動できるようにしてあげられるのでしょうか。
① 子どもの興味のあることを利用して行動する機会を作ってみよう!
まず、お子さんの興味のあることや好きなことが何かな?と観察してみてください。
グレーゾーンの息子の場合は、「電車」が興味のあることでした。
小さい頃から、電車が大好きで、踏切→プラレール→本物を見る→駅をみる→時刻表など、成長によって電車の興味の幅も拡がっていきました。
おもちゃや映像で満足していたのが、本物をみたい!という好奇心が育ってきました。
本物を見たいから、駅にいきたい、〇〇駅に行けばいろんな車両が見られるから行きたい。
「行きたい」という行動に行き着くまでに、息子の中で、どの駅にいけばいいのか、どんな車両が見られるのか、いつのタイミングがいいのかなどちゃんと自分で調べていたのですね。
外へ出る前に、お家の中でしっかりと行動力を育んでいたのです。
そして、実際に「この電車が見たい」と決めて行動できました。
子どもが自分で決めて動けるために、興味の幅を思いっきり広げてあげられるフォローをするのは大事です。
お母さんが用意してあげるのは、必要なツールと環境です。
② 先回りの子育てを卒業!
以前であれば、息子がやりたいことがあっても、「こっちがいいのでは?」と私の価値観で押し付けていたことが多かったです。
でも、これは息子の望むことでもなく、私が望むことだったのです。
それでは、子どもの本当にやりたいことや好奇心を伸ばせないばかりでなく、やりたい気持ちの芽をバッサリとカットしていたのですね。
だから、子どもが自分で決めてやる力を伸ばすには、先回りの言葉かけではなく、チャレンジできるようにちょっとだけ背中を押してあげることが大事なのです。
5.大阪から愛媛へ一人電車旅のチャレンジができた!
息子の行動力は、一人電車旅をすることでグッと伸びました。
以前から、一人で電車にのって、乗り換えをしたり、目的地まで行って別ルートで帰ってくるという好きを極める行動はしていました。
一つの成功が次へのチャレンジへのステップとなり、自信をつけ、自分で計画を立てて行動することにつながっていました。
どうしたらいいかな?と迷っても、一度成功した体験をしているから判断力も育ち、状況分析力も育っていました。
そんな息子のビックチャレンジが、大阪から祖父母の住んでいる愛媛県までの電車一人旅でした。
プランを練り、計画を私に伝えることもできました。
みどりの窓口には一緒に行って欲しいと私に伝えてくれ、そうすれば困っていることは聞けるようになりました。
ウジウジとして、行動することを諦めていた頃とは大違いでした。
そして、達成できた時はみんなが褒めてくれた、友達にも自慢できた、すごいねと言ってくれたことが、さらに自信へとつながりました。
困っているときには、安心できるようにそっと道を作ってあげること、手を差し伸べて、プランを提案してあげること。
それが、子どもの行動力を伸ばしていくのです。
そして、親もあれこれ指示する前に、好奇心をもち本物に触れる体験をして、経験値を増やしておくこと大切です。
経験を話すことで、グレーゾーンの子どもはどんなゴールが待っているのか、楽しいことがあるのか、興味を持ってくれるきっかけにもなります。
子どもは常に、親の背中をみて成長しています。
親が積極的に行動して、体験談を語り、子どもに情報をたくさん与えてインプットさせることが、子どもの興味の視野を広げていくことになります。
お子さんの好きなことを見つけて、一緒に体験してみるとお子さんの行動力のスイッチが見つかるかもしれません。
この春休みは、ぜひお子さんの好きを極める計画を一緒に立てて、体験させてあげて「自分で決めてやってみる!」「自分で行動してみる!」力を授けて楽しく過ごしてくださいね。
執筆者:山南あや
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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