1.ただの好き嫌いじゃない!発達障害・HSCの感覚過敏による偏食
お子さんがとても敏感で、給食が苦手というお悩みはありませんか?
もしかしたら、感覚過敏の特性が原因になっているかもしれません。
感覚過敏は、発達障害・自閉症スペクトラムやHSC(Highly Sensitive Child ひといちばい敏感な子)の子に多く、大多数の人にはなんでもない刺激でも苦痛で仕方がないことがあります。
「好き嫌いしないで食べなさい」と言いたくなってしまうかもしれませんが、好き嫌いやわがままではなく、刺激を敏感に感じ取ってしまってどうしても食べられないのです。
たとえば、口の中の感覚が過敏なために、苦手な食感があることがあります。
揚げ物の衣が口の中で刺さるように感じてしまって食べられない、
逆にサクサクした食感は良いけれど、お芋のモソモソした感じがダメだったり、ドロドロした食感のものが気持ち悪いなんて子もいます。
他の人には感じられないような味や臭いの違いに敏感に気づく子もいます。野菜や果物の酸味を強く感じたり、わずかな香辛料でも「痛い」と感じることもあります。
また見た目で、ブロッコリーやイチゴのつぶつぶ、ナスの色が気持ち悪いなんていう子も。
他にも、聴覚の過敏さがあるため周りの人の咀嚼音が気になり集団で食事をするのを苦痛に感じたり、
時間内に食べなければならないことにプレッシャーを感じるなど、様々な理由から給食を苦手と感じる子がいます。
「給食が苦手」「給食が食べられない」といっても、子どもそれぞれに理由は異なるのです。
周囲からの理解が得られなかったり無理強いされることでトラウマが残ってしまったり、食べること自体が嫌いになってしまうことも…。
給食の時間が苦手で、学校へ行きたくないという気持ちにつながってしまうこともあります。
楽しく学校生活を送るためにも、給食への不安をお家で和らげてあげることができたら良いですよね。
2.大人が思っている以上に給食が子どものストレスに…
わが家の小学4年生の息子は、口の中の感覚が過敏です。偏食はとくになかったのですが、学校の給食の牛乳が苦手でした。
ぬるくなった牛乳のにおいが、気持ち悪く感じるようで「家の牛乳と味がちがう」「飲むと吐き気がする」と話していました。
1年生の最初に少し飲んだだけで、先生も苦手なことを理解してくださり、給食の牛乳は飲まないでずっと過ごしていました。
しかし、3年生で年度が変わったばかりの頃、担任の先生から「飲みなさい」と言われてしまう出来事が起こったのです。
年度が変わる度に、担任の先生には、息子の特性とともに学校生活で配慮して欲しいことを書面で伝えていました。
その書面の中で、「牛乳が苦手で飲めないかもしれません」と記入していたのですが、本人がどの程度苦痛に感じていて、先生にどのように対応して欲しいのかを伝えていなかったのです。
先生に飲まされそうになった出来事が息子の記憶に強く残ってしまった様子で、年度末の時期は「次の学年は牛乳飲まないとダメかも…」と家で深刻そうな様子を見せていました。
アレルギーでもなく、他にとくに苦手な食べ物がなかったことから、私自身も「何かのきっかけで飲めるようになるかも」と考えてしまい、本人の苦痛をそれほど重く受け止めていませんでした。
息子の様子を見て、私が考えていた以上に給食が子どもにとってストレスになってしまっていることに気づいたのです。
「このままだと給食が苦手で学校に行きたくないという気持ちになってしまうかも…」
私は息子の給食への不安を和らげるために、どうしたら良いかを考えました。
家庭で実践したことを次にご紹介します。
3.給食の時間を楽しみに変えよう!家庭でできる2つのポイント
私が家庭で取り組んだこと、ポイントは2つあります。
◆ポイント1 子どもの気持ちを聞いて給食への不安を和らげる
まずお子さん自身がどのように感じていて、どのようにして欲しいのかを聞いてみましょう。
親が良かれと思っても、学校で他の子と違う特別な対応をされるのを嫌がる子もいます。
「どうして欲しいの?」と聞いても答えにくそうな場合は、「自分で先生に伝える?お母さんから話そうか?」という風に選択肢を示すなど、子どもが答えやすいような聞き方をしてあげましょう。
我が家の場合は、「給食の牛乳は飲みたくない」「お母さんから先生へ連絡して欲しい」と言っていたので、牛乳の代わりに家から持参した水筒のお茶を飲ませてもらうように担任の先生へ書面でお願いしました。
発達障害やHSCで感覚過敏の子に対しての学校の対応や理解はさまざまですが、相談すると配慮してもらえることがあります。
子どもが望んでいる場合は、学校側に子どもの特性を説明するとともに、具体的に対応して欲しいことを伝えてみると良いと思います。
学校と連携ができたら「無理して食べなくても大丈夫」ということを子どもにも伝えてあげて安心して登校できるようにしましょう。
◆ポイント2 安心できる環境で成功体験を授ける
感覚過敏で食べられないものがある場合は、安心できるお家で、少しずつ食べられた体験を積ませてあげましょう。
食べられたという体験があると、子どもの抵抗感が和らいでくることがあります。
「食べて嫌だった」というネガティブな記憶を「美味しく食べられた」という経験で上書きしてあげるのです。
苦手なものにチャレンジする時は、その子の好きな食感・味・温度・色・においを利用してみましょう。苦手な食材でも調理方法が変わると食べられることもあります。
お子さんが何を苦手と感じていて、どんなものが好きなのかを普段からよく観察してみてください。
お料理が好きなお子さんだったら、一緒に作ってみるのもオススメです。感覚過敏がある子にとっては、何が入っているのかが自分でわかると安心感につながることがあります。
我が家は、甘いものが好きだったので、牛乳を使ったスイーツを一緒に作ってみたり、牛乳にココアを入れるなどの方法で、牛乳を取り入れることができました。
苦手なものにチャレンジするときは、叱責や無理強いはNGです。お子さんの様子を見ながら、スモールステップで少しずつチャレンジすることが大切です。
少しでも食べられたら「牛乳が入ったもの、食べられたね!」などと声かけして、苦手なものにチャレンジできたことを伝えてあげましょう。
息子は、給食の牛乳はまだ飲めていませんが、登校しぶりもなく元気に学校に通っています。そして何より食べることが大好きです。
感覚過敏による食事への不安感を下げるには、安心感と楽しさが必要です。
家庭では和やかな雰囲気で食事する時間を大切にして、「食べるって楽しいね!」という気持ちをお子さんと共有しましょう!
執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
学校生活の不安は、お家で楽しく解消しましょう!敏感な子への対応のヒントが見つかります。
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