1.外で良い子は過剰適応しているから⁉
子どもが不登校になったり、行きしぶり始めたときに、
「あんなに楽しそうに学校に行っていたのにどうして?」
とお母さんが思ったり、
「あんなに良い子がどうして来れなくなっちゃったの?!」
と周囲の人に驚かれたりした経験はありませんか?
お母さんも、どうしてあんなにちゃんとできていたのに、できなくなってしまったんだろう?ともどかしく思って、なんとかまた頑張らせたら学校へ行けるのではないかと考えることもあると思います。
日本の学校や社会は、
「みんなと合わせて」
「みんなと協力して」
「みんなと同じペースで」
「これができれば優等生」
というように、周りと合わせて、決まったことを学んでいくスタイルが昔からとられてきました。
周りと協調して生きていくことはもちろん大切ですが、発達凸凹キッズは周りと比べるとちょっと変わった思考だったり、得意な学び方が違ったりする場合が多く、日本独特の雰囲気では窮屈になってしまうことがあります。
更に、発達凸凹キッズの中でも、繊細なタイプの子どもたちは、周りの空気を読むのがとても上手です。周りの空気を読みすぎるあまりに自分の気持ちを押し殺してしまう子もいます。
周りに合わせることを優先してしまうとストレスがたまり続け、お腹が痛くなったり、頭が痛くなったりして学校に行けなくなってしまうことも。また、自分自身の本当の気持ちがよくわからなくなってしまいます。
そんな状態を「過剰適応」といいます。
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2.ママの完璧主義が原因かも?
我が家の中学3年生の息子は、小学4年生で不登校になり、現在はオンラインで授業を受けるタイプの学校に所属しています。フリースクールの扱いなので公立の中学校にも籍はありますが登校はしていません。
ギフテッドの特性があり、得意と不得意の差が激しく、色々な苦手が積み重なって不登校になってしまった小学校。
知能検査をしてくれた専門の先生からは、「1年生から小学校は辛かったんじゃないかな?」と不登校お墨付きまでついた息子ですが…
中学生からは自分と同じような仲間がいる学校で頑張る!と期待を膨らませていました。
オンラインスクールが始まり、ネットの授業でプログラミングや仲間とのディスカッションをする授業など、積極的に参加する日々が続きました。
担任の先生からも、「いつも積極的に授業に参加していますよ!」と褒めてもらい、学ぶ環境を変えてよかったと感じていました。息子も同様だと思っていたのですが…
半年程たった頃から、次第に息子に変化が現れ始めました。
授業が始まると、「眠い…」「つまらない…」「この雰囲気がなんか嫌なんだよな…」と言うようになったのです。
最初は息子の話を聞きながらも「通学するわけでもないんだし、オンラインでの出席くらいちゃんとしてほしいな。」と思っていた私。
「とりあえず出席して辛かったら早退したら?」とアドバイスをし、必ず出席できるようにさせていました。
心のなかでは、
「ずっと順調にオンラインスクールで授業を受けてほしい」
「全ての授業に出て、たくさんのことを学んでほしい」
そんな風に、オンラインスクールで『ちゃんと出席してちゃんと学んでほしい』と息子に完璧を求めていたのです。
ですが、ついには「授業休みたい」と言う日々が現れ、よくよく話を聞くと「〇〇の授業の時間がすごく辛い」と話してくれました。
フリースクールでも不登校かも…?と一時は落胆したものの、小さなSOSを出していた息子に本気で寄り添えていなかった自分に気が付きました。
3.なぜ頑張りすぎてしてしまうのか?
ギフテッドの子どもは、理解力が高く繊細な面も人一倍強いので、親や先生の期待を汲み取り懸命にこたえようとします。
プライドも高いので、理想の自分を掲げて、そのイメージでありたいという気持ちもとても強いです。
そのため、自分が苦手なことがあってもものすごく無理をしてやり遂げたり、無理してでもやることがいいことなんだと心の表面上で思っているのです。
凸凹があっても高い知能でカバーできる部分が大きいので、すごく大変でもできてしまうということもあるんです。
周りから見ると、「この子はいつも頑張っているな」、「楽しそうにやっているな」と思われて、優等生のように思われてしまうものの、本人にとってはとても苦しい状態の場合もあり…
心の奥底では本当にやるのが辛いと思っているのに、頑張り続けると心のSOSは体に出てきて、眠気、腹痛、頭痛などを訴えるようになってしまうことも。
過剰適応しやすい子は、優しいタイプが多いです。だから、お母さんが望む方向にそっていこうと頑張り尽くしてしまうのです。
お母さんも、子どもが積極的に頑張っていた姿を見ていただけに、残念な気持ちが湧いてくるかもしれません。
けれど、学校に真面目に行ったからといって将来安泰か?というとそんな時代ではありません。
子どもが自分の得意なチカラを見つけ、そのチカラを使って社会に出て生きていけるようになることが大事なんですよね!
それならば、人と同じとか違うとか関係なく、自分にとって今必要なのはどんなことなのかを考え実行できるようにしてあげたいですね。
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4.ママだけで頑張らなくていい!学校プラス家庭で個性を伸ばす環境が作られます!
ここからは、我が家の息子の自分らしい学び方を獲得するまでの経過をお伝えしますね。
過剰適応してしまう程、子どもにプレッシャーを与えていた自分がいたことに気づき、
「今度こそは、ちゃんと学校の授業に出席して、学校が与えてくれる課題で自分の得意を見つけてほしい!」という私の考えを改め直しました。
不登校の子に合ったシステムの学校だからといって、不登校の子ども全員に100%合うなんてことは無理があるだろうと思いました。
そこで、担任の先生に息子が辛いと感じていることを伝えました。
「〇〇の授業に出ると気持ちが辛くなり、体も重くなる」
「今まで頑張ってきたけど、それがよかったのかわからない」
「もっとこんな授業にしてほしい」
と。
その結果、先生も理解してくださり、スクールの運営に息子の意見を反映していきたいととおっしゃってくれました。そして、先生と相談して息子にこんな風に提案しました。
「辛い授業は出なくていいよ。その間は自習にして好きなことをしよう。」
担任の先生からも、
「〇〇くんのタイミングで出られる授業に出ればいいんだよ。自分の気持ちに気づくこと、その気持を大事にして動く柔軟性が大事だから。」
と息子に伝えてくれました。
最初は「自分だけまた皆からはみ出してしまったんだ」とネガティブに捉えていた様子だった息子。
私も、「けっこう高い授業料払っているのに自習かぁ」と思ってしまったこともありました。
けれども、自習の時間に進めた学習を担任の先生が認めてくれたり、自習にして時間ができたからこそ元々やりたかったことに集中できるようになった経験を積むことができました。
「自分は自分のやり方があるんだ」と人との違いをポジティブに考えられるようになり、罪悪感なくオンラインスクールを楽しめるようになっていきました。
そんな息子の様子を見て、どんな子でも認めてもらえる、一人一人違って当たり前と言ってくれる学校があるということに感謝できました。
子どもが学校に行けたとき、他の居場所に行けたとき、ついつい「今度こそは!」と張り切りすぎてしまうこともあるかと思います。
ですが、「ちゃんとやらなきゃ」という思考を捨てたとき、我が子が伸び伸び学べる環境がわかってくるのではないかなと思います。
中学生の次は、高校生もしくは働くといった選択肢が増えていく年頃です。
作り上げられた環境で楽しく過ごすことだけが素晴らしいことではない。自分で感じたことを伝え、自分にとって必要な学び方、活躍の仕方を安心して模索していいんだ!
そんな安心感を与えてあげるのがポイントです!
不登校から動き出した子ども達には、色々な試練があるかもしれません。お母さんも一緒に成長していけるといいですね。
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執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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