1.発達障害ADHDの傾向がある子どもがお金の教育が難しい理由
発達障害やグレーゾーンの子どものお金の教育に悩んでいませんか?
発達障害の中でも、ADHD傾向のある子どもを育てている家庭では、この金銭管理問題は一筋縄ではいかず、対応に悩むことも多い問題です。
欲しいものがあるとしつこく言ってくる。
お小遣いがあればあるだけ使ってしまう。
渡したお小遣いは全部すぐに使い切ってしまう。
と悩まれているかたが多いのではないでしょうか?
なぜこんなことが起きるのでしょう?
発達障害の傾向がある子は、先のことを見通す力が弱いことがあります。すると、お金をためておくことや、今後欲しいものができたときのために取っておく、という考えが出ずに、目の前の欲しいものに飛びつきやすくなります。
また、ADHD傾向のある子どもは、衝動性や多動性・不注意という特性を持っています。
その特性は、脳の「理性で行動を抑える」部分の発達が未熟なことが関係しています。
普通は何か欲しいものや魅力的なものを見つけたときに、「欲しい」と思っても、今のお金で足りるかな?この先足りなくならないかな?と、抑える力が働いて考えます。
ですが、その「抑える力」が弱いために、衝動的にお金を使いすぎてしまうのです。
小さい頃はどこに行くにも一緒だった子どもも、成長とともに一人(またはお友達と)の行動が増えていき、だんだん目が離れていきますね。
高学年から中学生など活動範囲が広がっていくと、少しずつ子どもたちだけでお小遣いをもって買い物をする機会も増えていきます。
知らないうちに金銭トラブルになってしまった…ということのないように、おウチでお金の管理の仕方を身に着けられるようにしてあげたいですね。
今回は、ほしいものがあると我慢できない子どもの「使い過ぎ」を防いで楽しくお金の教育ができるコツをお伝えします!
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2.発達凸凹キッズは当たり前のことも実はわかってない⁉
お金は働いて得られるもの。
お父さんお母さんが頑張って稼いでくれたもの。
当たり前のように感じますが、発達障害の子どもは誰もが当たり前にわかっていると思われることも理解できていないことも多いです。
また、発達障害の傾向がある子どもは、親が子どものために買い物をしてあげているつもりでも、我慢した記憶や買ってもらえなかった記憶が強く残っていて、親に対して「何も買ってくれない」と思っていることもあります。
たった数回、「高すぎるからこれは買えないよ」と言っただけなのに…とお母さんは思うかも知れませんが、発達障害の子はネガティブな記憶を忘れずに覚えててしまうのです。
また、学校でうまくいかないことが多かったり、友だちや先生との人間関係でのストレスを抱え込んでいたりすると、欲しい物を買ってほしいという欲求を抑えるブレーキは更に弱くなってしまいます。
このように、子どもの特性だけでなく、環境によっても我慢する力が上手く働くか働かないかが異なってきます。おウチでお母さんが、子どもが安心しながら楽しくお金の使い方について考えられるようにサポートしてあげる方法を考えていく必要がありますね。
3.説明しても効果なし!あればあるだけ使う、ADHD傾向の息子の話
我が家の自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向がある息子の話を紹介します。
我が家では、お正月にもらえるお年玉のうち、手元に残す分を決めて、あとは私が預かっていました。それほど一人でお金を使うこともないだろうと、お小遣い制は取らず、欲しいものがあったらお年玉から使うか、必要なものは相談してOKであれば親が買う。お金を増やしたいときはお手伝いをして稼ぐというルールです。
小学校4年生の冬になると、近所の6年生のお友達とよく遊ぶようになり、時々子どもだけでお菓子などを買うようになりました。私は、働いていたこともあり、何をどこまで買っているのかよく知らず、本人に任せていたのですが、ある日一緒に出掛けたときに、もうすでに手元のお金を使い切っていることがわかりました。
冬ですから、お正月が来たばかり。こないだもらったはずのお年玉なのに、なんで?
どうやら、欲しいものを欲しいだけ買ってしまっていたのです。
これはまずい!そう思って、一緒に買い物に行ってみても、これ欲しい!と言い出したら、それが残りのお小遣い全部使ってしまう金額でも買おうとします。
「それ本当に必要かな?」「よく考えたら?」と伝えても効果なし。我慢が効きません。
じゃあどうするか。我が家で行った対応をご紹介します!
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4.我慢する力は家での対応で伸ばそう!家での遊びから学べるアイディア
我が家では最初、どんなに息子に「お金は大切なもの。本当に必要なものが来るまで「我慢しよう」と話しても効果がありませんでした。そこで、はじめに、お金がどうやって手に入るのかを息子に話しました。
お金はいくらでもお財布から湧き出てくるわけではなく、パパやママが働いてできた会社の売り上げから、ご褒美として決まった額を毎月もらっていること。
息子は買い物に対してあまり良いイメージだったのではなかったようで、そのうえで、親がどう考えてお金を使っているかも話しました。
もともと息子は、「お母さんに言ってもどうせ買ってもらえない。」とよく言っていました。
そのネガティブな気持ちを上書きするためにも、なるべく具体的に、普段の家や食事、電気代などにもこれだけかかっていて、将来のあなたたち子どもの学校のためにもお金を貯めていること。
だから、お金は優先順位を考えて使う必要があるんだよということを話しました。
そして、なぜ銀行に貯金したり、投資をするのか。手元にあるより「利息」や「配当」など、お金が増えていく仕組みがあることも教えました。
ですが、これだけでは、ただの知識だけで、息子にはお金を管理していくことを実感として感じることはできません。
そこでお勧めしたいのが「お母さん銀行」です。
子どもから預かっているお金に、銀行と同じように、預けた金額と期間に応じて利息をつける仕組みを作ったのです。目先の利益に飛びつきやすいADHDの子は、提案すると乗ってきてくれることでしょう。利息の程度は、お子さんの持っている金額から、増えたのがわかるくらいで対応してあげてください。
利息が付く期間も、子どもに合わせて期間を設定するといいですね。普通の銀行では半年に一回程度しかつかないですが、それでは子どもはメリットを感じられません。
ADHDの傾向の強い子どもはその間に使い切ってしまうでしょう。
子どもが待てそうな期間でお金が増えるように設定してあげてください。
この仕組みを作ってから、息子は、「お母さん全部預かっておいて!」とお金を預けることが楽しくなり、預けておいて本当にお金が増えていると、「預けることのメリット」が見えて、使う時にどうしようか考える時間を持つことができるようになりました。
欲しいと思ったときに考えるという練習ができるようになると、だんだん衝動的にお金を使うことを抑える力が身に付きます。
子ども自身が楽しくなる仕組みを作ったことで、お金に関して繰り返し考えることができるようになり、欲しい漫画があって、10冊以上一度に買えるお金が残っていても、「何かあったときのために分散して買う」「今日はここまでにしておく」など、自分なりに考えて工夫するようになりました。
手元のお金を使い切らないように、お手伝いでの稼ぎも組み合わせて計画を立てたり、お手伝いに積極的になる姿もありました。
ポイントは、失敗することを先回りして止めないこと。銀行からお金を引き出しすぎて利息が付かないような月もあることで、失敗から感じ取ることもできます。自分で体験したことは、記憶にも残りやすく、考える力につながっていきます。
我慢できないお子さん、高学年になったら、お金の話をぜひお子さんとしてみてください。
お母さん銀行は、入れておく場所と記録する紙さえあればすぐに取り組めますよ。
執筆者:やなぎ みほ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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