発達障害グレーゾーンの“隠れ学習障害”の子どもが勉強嫌いから卒業する脳の育て方!

発達障害で学習障害のあるお子さんは、高学年になるとどうしてますます勉強しなくなるのでしょう。このままでは、将来が心配!そう思っていませんか?高学年の子どもには「行動」と「感情」の関係を意識した「高学年専用」の対応が必要だったのです!

1.発達障害グレーゾーンの子どもが高学年になるとますます勉強嫌いになる訳!

発達障害グレーゾーンの勉強嫌いな子は、高学年になるとどうしてますますやらなくなってしまうのでしょう?

「うちの子はなぜ、塾に行かせたり、教材をやらせようと思っても、うまく行かないの⁉」 高学年のお子さんにそう感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

近年の学習支援の常識は「早くから見つけて、早くから学習支援も始めちゃおう」です。

小学校に上がったらみんな文字を学びますが、読み書きに困難があるお子さんは、小1でスタートしたのでは学習についていくための時間が足りないとわかってきました。

だから、就学前後はお子さんが楽しめる方法で文字学習を取り入れよう!そんな療育が、手厚く用意されるようになりました。

ですが、これはあくまでも就学前に気づかれた子だけが受けることができるサポート。発達障害グレーゾーンキッズの学習障害は見逃されることも多いんです。

グレーゾーンのお子さんはできることもたくさんあるので、たとえできないことがあっても、「がんばったら、できるんじゃないか」と周囲の大人が勘違いしやすいんです。

また、勉強以外の困りごとの陰に、学習の苦手さが隠れてしまって見過ごされてしまうこともあります。

こうして、気がついたら高学年になってしまっていた…そんな経験をされているお母さんはたくさんいるのではないでしょうか。

そして、そんな状態で高学年を迎えた子たちは、たくさんの辛い経験をずっと重ねて大きくなってきている状態です。

では、実際に学習障害を抱えたお子さんたちはどんな感情になっているのでしょう?

2.高学年の学習障害の子どもにある負の感情!

発達障害グレーゾーンの子の多くは、自分に出来ないことを痛いほどに気づいています。

読もうとすると苦痛、書こうとすると苦痛、勉強しようとすると苦痛、言われていることがわからない。

そんな状態で、学校でも家でも、嫌いな勉強をしろしろと言われ、さらに勉強を教えてくれる人とのコミュニケーションまで最悪だったら…行動量(勉強時間)は低下してしまいます。

私が子どもの立場なら、何とかして「やらなくていい方法」を一生懸命考えます。こんな行動がお子さんに見られたら注意です。

・仮病を使う
・動画の世界に逃避する
・ 塾に行くと言って公園で遊ぶ
・暴言で抵抗する
・フリーズして何もしなくなる

お子さんがこんな様子だと大人は「ちゃんとやりなさい」とつい言ってしまいがちですよね。

ですが、「いやなことにも取り組む」、ここが高学年の難しいところなんです。低学年の子がやっているような、書いたり、読んだりする、トレーニングをやろうとしても「もう勉強なんて絶対に嫌!」となっているのでうまくいきません

勉強に対して自信を失ってしまった…
勉強なんてやりたくない…

こんなネガティブな感情があるままでは、勉強をするという「行動」は起きにくくなります。

なぜかというと、「行動」と「感情」はセットで記憶されるから。勉強をやっても「うまくいかない」「怒られてばかり」そんな経験をしていると、勉強という「行動」には「嫌だ」という感情がずっとついて回ります。

勉強をしようとするたびに「嫌だ」という感情が呼び起こされるのですから、勉強がはかどるはずがないのです。

もちろん、発達障害グレーゾーンの子たちにも、「苦手なことにも取り組む」チカラは育ててあげたいですが、そのためには順番があります。

そこで大切になるのがプラスの感情を記憶させる「コミュニケーション」です。勉強が楽しい!やってもいいよ!と感じるプラスの感情ってどうして育つと思いますか?

3.学習のトレーニングが効果的になるプラスの感情!

それには、分かる楽しさ、目標の点数をゲットする楽しさ、色々ありますよね。もちろんそれもいいのですが、結果だけにやりがいを求めるのは学習障害の子たちにはおすすめしません!

なぜなら、理解のつまづきのある子は必ずしもいい結果を出せるとは限らないからです。結果だけに、やりがいや楽しさを求めると学習での達成感や成功体験、面白味が得られにくくなります。

だからこそ、学習のつまづきのあるお子さんにとっての学習の楽しさは、一緒に勉強する人とのコミュニケーションの質によってもたらされることを知っておいてほしいと思います。

一緒に勉強する人とのコミュニケーションによって、「僕にもできるかもしれない!」と感じるステップがあって、一緒に取り組む経験を積んで初めて、苦手なことにもチャレンジしていくチカラが育っていくんです。

だから、出来ないことを自覚させるコミュニケーションよりも「できる気がすると感じるコミュニケーション」が大切です。

例えば、

「こんなところを習っているんだね。」

「もう取りかかったんだね。」

「すごいね。この問題がここまで解けるようになったんだね。」

「よし、次も頑張って一緒にやってみようか}

というように、現状をそのまま肯定するだけでも、うれしくて次の行動につながっていきます。

一緒に勉強する人、教える人とのコミュニケーション次第で、「僕はやっぱりダメだ…」と思うか、「やったらできるかも!」と思うか、大きく変わっていきます。

どんなに高価な教材があってもどんなに人気の塾に通ってもそれだけでは効果が出ないのは、そういう理由からなのです。

「え?勉強?やってもいいよ」「最近ちょっと楽しくなってきたよ」そんなプラスの感情を育ててあげられる、お家でのサポートを今日からスタートしましょう。

高学年の勉強嫌いのサポートは、それまでのこじらせ感や、勉強の何に苦手さを感じているかによって、対応が異なり、サポートのステップも違ってきます。

もっというと、学習の苦手さを抱えているお子さんは、勉強の場面だけでなく、日常生活のいろんな場面でも課題を抱えていることがあります。

小学校高学年・思春期という時期。自立に向けてしっかりサポートできる最後のタイミングになります。

先送りせずに、学習習慣も生活習慣も整えるサポートを今からスタートしましょう。

「できる気がする!」と感じさせる声かけで、行動力がUPするコミュニケーションにシフトしてみてくださいね。

執筆者:清水畑亜希子                                      (発達科学コミュニケーショントレーナー)

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