発達グレーっ子の伝える力が夏休みのイベントで伸びる!「もっと伝えたい!!」を引き出す計画作りの進め方

お母さんが決断を求めても「何でもいい」の返事ばかりの発達グレーっ子に困っていませんか?お母さんが決めるばかりだと、お子さんが伝えることに興味のないまま年齢を重ねてしまいます。夏休みのイベントでお子さんの伝える力を伸ばす方法をご紹介します!

1.伝える力は「好き」で伸ばそう!

夏休みが目前に迫ってきたこの時期、夏休みにやりたいことを思い描いてワクワクしているお子さんも多いのではないでしょうか。

また、旅行を自粛する雰囲気もなくなりつつある今年こそは、ずっと家で過ごす夏休みを卒業し、家の外での体験で発達グレーっ子を伸ばす夏休みにしたいとお考えのお母さんもいらっしゃると思います。

ですが、自分の意見や気持ちをうまく伝えることが苦手なお子さんにとって、自分のやりたいことを伝えて実現させることは、お母さんの想像以上に高い壁になっている場合があります。

だからこそ、自由に使える時間の多い夏休みにお子さんの好きなことにどんどん取り組んで、発達グレーっ子の伝える力を伸ばしてみませんか

そして、できればお子さんだけでなく、おもいっきり家族みんなで楽しめることが理想的ですよね。

皆さんには、いつか家族でやってみたいと想い描いていることはありませんか?

我が家には、「いつかキャンプをしてみたい」という淡いあこがれが家族みんなにありました。

そして昨年、数年来の家族のあこがれを実現させることができました。

さらに、キャンプを通して家族で楽しい想い出を作るだけでなく、我が家の発達グレーっ子が楽しみながら自ら進んで知らず知らずのうちに、自分の意見を伝える力を身に着けることもできました

この記事では、「いつかやってみたい!」の家族の夢を実現させながら、同時に自己主張が苦手な長男が伝える力を伸ばした、我が家の夏休みの楽しみ方をお伝えします。

2.親の一言が子どもの伝える意欲を奪っていた…

我が家の長男は現在小学校5年生で自閉症スペクトラム(ASD)の特性があります。

小さいころから大人しく、自分の気持ちを周囲に伝えることが苦手な子でした。

幼児期は自分の気持ちを言葉にしなくても周りがくみ取ってくれたのですが、小学生になった頃から一気に困りごとが表面化してきました。

そして、長男にはこだわりの強さもあります。

物事の最初で強いこだわりが出てしまうとその後の作業を進められなくなってしまい、結果的に長男だけがいつまでたっても課題が終わらない、そんなことがしばしばありました。

それでも周囲の人に自分の状況や気持ちを伝えられず、「難しいから手伝ってほしい。」「わからないから教えてほしい。」と助けを求めることができませんでした

私は一人だけ課題が仕上がらない長男に対して、「わからないなら誰かに聞けばいいでしょ!」といつも怒って伝えることしかできませんでした。

こんなやり取りを繰り返すうちに長男はいっそう自分の意見や気持ちを言わなくなり、ついには私に怒られても表情一つ変えないようになりました。

私は表情を変えない長男を見て、「この子は意見がない上に、感情さえもない子なんだ」と思い込んでいました。

ですが、以前は自分の気持ちを周りに伝えることが少なかった長男が、今では好きなことを楽しみたいという気持ちにあふれるようになり、そのおかげで自分の意見を伝えられる子に成長しました。

自分の意見を伝えられる子になるため、我が家で実践した方法について次の章でご紹介します。

3.夏キャンプで発達グレーっ子の「伝えたい!」を引き出す!

自分の意見を伝えられるようになるために欠かせないこと、それは子どもの興味のあることで「話したい!」という気持ちを膨らませてあげることです。

我が家では、家族みんなが楽しみにしているキャンプの計画を立てながら、子どもの伝える力を伸ばしました。

それでは、長男の伝える力を伸ばすため、キャンプの計画を立てるときに大切にした3つのポイントをご紹介します。

◆1 子どもの希望に「ありがとう」と「いいね」で返す

子どもがキャンプでやりたいことを伝えてくれた時に「教えてくれてありがとう!」「それ、面白そうだね!」と、まず感謝の気持ちを込めて子どもの意見に賛同するようにしています。

自分の意見が伝わるという成功体験のない子は、周囲の人とコミュニケーションを取ることに興味を持つことができません。

ですから、自信を持って自分の意見を伝えられるようになるためには、まず少しずつでも自分の意見が伝わる成功体験の積み重ねが不可欠になるのです。

自分の気持ちを伝えたときにお母さんが感謝の気持ちを返すことで、子どもが「話してよかった」という気持ちになってくれ、さらに意見を聞いてもらえることへの安心感を持ってもらうことができます。

◆2 部分的にでも「やってみたい」を実現する

一度、意見が通る体験をした子は「この環境は自分の意見を認めてもらえる環境だから話してみよう」という気持ちがさらに大きくなります。

自分の興味のあることであればなおさら、やってみたい、伝えたいという想いが高まって、自分の意見を伝えるというハードルを超えやすくなるのです。

ホテルや旅館に宿泊することに比べると、キャンプには何を食べるか、どんなふうに寝るかまで、場所を借りている時間のほぼ全てを自由に計画できるところに魅力があると思います。

言い換えると、子どもの「やりたい!」を取り入れるチャンスがよりたくさんあるということです。

もし仮に、子どもの希望を全て聞き入れることが難しいようであれば、部分的にでも希望を叶えてあげてください

叶えるのが難しそうな希望でも、「全部叶えるのは厳しそうだな。」と言うのでなく、「今の話の○○の部分は、とても面白そうだからやってみようか!」と伝えてあげてください。

◆3 リサーチ係を任命する

我が家では、長男のこだわりの強さを活かした活躍できる機会として、気になることについてのリサーチ係を任せています。

どこのキャンプ場に行くか、一日のスケジュールをどうするかといった重要な部分にかかわることでなくても、子どもが一番興味のあることについて調べる方法で構いません。

ちなみに我が家の場合、長男にキャンプ料理に関するリサーチをお願いしています。

大好きなYouTubeを活用して、おすすめの調理動画やレシピを探してくれるので、夕飯のメニューを考える際に家族で楽しく動画を見ながら決めることができます。

この時、もっと知りたいと思うことがあれば、子どもを先生に見立てて「先生、○○についてもっと教えて!」と子どもの気持ちを盛り上げてあげてください。

「もっと教えて!」と子どもの気持ちを盛り上げることで、喜んで教えてくれるだけでなく、自分の希望を通すためにさらにどんな情報が必要なのかを調べてくれようになり、説得力の増す伝え方を探してくれるようになります。

このようにして長男の伝える力を伸ばすことで、今では自分の「やりたい!」をどんどん発信してくれるようになりました。

時には時間的、あるいは金銭的な制約で長男の希望を叶えることが厳しかったり、妹との意見の折り合いがつかなかったりする時もあります。

ですが、自分の思い通りにいかない場面でも、癇癪を起こすことなく相手に譲歩して交渉することができるようになりました。

発達グレーっ子のお母さんは、我が子のできることを増やしてあげたいと思う気持ちのために、ご自身の楽しみを後回しにしてしまうことはありませんか?

お子さんを伸ばし続けられるお母さんでいるためにも、お母さん自身も楽しめる方法でお子さんの発達を伸ばすことを大切にしてほしいと思います。

ぜひこの夏は、家族みんなで楽しみながら発達グレーっ子を伸ばす体験にチャレンジしてみませんか!

執筆者:川崎すみな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

自分の意見が言えない子の「伝える力」を伸ばすヒントがあります!

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