「好き」の力から広がる未来がある!不登校の中学生に伝えたい、自分に合った「居場所」探しのススメ

不登校の中学生の中には、一切勉強もせず一日中ゲームに没頭してしまって、将来どうなるのかと心配になる親御さんも多いと思います。「ゲーム」ができる高校がある、と聞いてお話を伺ってきました。やりたいこと、楽しいことから広がる未来もありますよ!

1. 大好きな「ゲーム」が学校の授業で受けられる?

不登校の中学生たちの多くがゲームが大好きで、一日中ゲームばかりしている、ということも珍しくないと思います。このままゲームばかりしていて、この先引きこもりになってしまうのでは?高校受験はどうするのだろう?と心配になってしまう親御さんも多いのではないでしょうか?

我が家も不登校の中2の息子が、一日中ゲーム漬けの生活をしています。
そんなにゲームが好きなら、いっそのこと、その道へ進んでしまう選択肢もあるのではないかと思い、最近ニュースでも耳にするようになった「eスポーツ」を早くから授業として取り入れている、CLARK NEXT Akihabaraキャンパスへお邪魔して、先生方にお話を伺ってきました。

ご対応いただいたのは、キャンパス長 永井 琢磨先生、eスポーツ コース 笹原圭一郎先生です。

ーー学校教育としてeスポーツを取り入れられた経緯を簡単に教えていただけますか?

笹原先生(以下、笹原):「2018年に大会に出場するために部活動としてeスポーツを取り上げました。それをきっかけに翌年から『eスポーツコース』ができました。毎日通う通信制全日型教育で日本で一番早く『eスポーツコース』として立ち上げたい、という強い想いがありました。」

ーー「eスポーツコース」の授業ではどんなことを教えていらっしゃるのでしょうか?

笹原:「立ち上げた時と今では全く違っています。最初は、『ゲームがうまくなるため』にゲームの技術的なことや知識を教えていましたが、今は、『楽しい』と思えることを意識しています。“自発的”にゲームに取り組めるメンタルを作ることが大事。勉強と一緒で、“やらされている”と、例えゲームでもやらなくなってしまいます。」

ーーやりたくない、という子にはどのような対応をされましたか?

笹原:「『じゃあ、何をやりたいの?』と本人の意向を聞き出して、自分たちの好きなゲームをやらせて実況して編集したものを提出させたりしたこともあります。」

ーー子どもたちのやりたいことや意向を引きだして、やらせてあげたということですね。

笹原:「そのようなやりとりの中から、『英会話』をやりたい!という希望が出てきたこともあります。メンバーの中に帰国子女がいて、外国人の友だちとゲームをしているのを見て、自分たちも英語でその子としゃべりたい、という意欲が出てきたのです。ゲーム用語やネイティブが使う表現などを授業の中で織り交ぜてもらったり、英語で映画を見たり、ということをしました。その後、海外の大学へ入学した子もいます。」

ーー好きなはずのゲームでさえも、“やらされている”とやりたくなくなるというのは衝撃的でした。「自発的に」にやっていくと、そこからさらに興味も広がって、“学びたい”意欲が芽生えていくものなのですね。


↑↑↑
学校の先生も知らない!
勉強の遅れ不安がなくなる
プレゼント中!

2. 好きなeスポーツに没頭する高校生活を送ることで、進路の選択肢が広がっていく!

ーー卒業後はどのような道に進まれるのでしょうか?

笹原:「ほとんどの子が大学に進学しています。スポーツ科学の道に進んで、教師を目指しながらeスポーツも教えたい、という子もいますね。」

永井先生(以下、永井):「専門学校でやる内容は、すでに高校3年間でできてしまいます。進路指導としては、2足の草鞋をはけるように、新たな学問と結びつけるようにしています。」

笹原:「ここに進みたい、という希望の企業がある子や、明確な目的がある子は専門学校に行くのもいいです。」

ーー就職や、ゲームの道を極めてプロになりたい、という子はいないのでしょうか?

笹原:「eスポーツのプロチームに所属して頑張っている子もいます。ただ、ゲームの道に進みたい、と言いながらも実際はゲームをやりながら高校卒業を目指したい、友だちをつくりたい、という子が多いですね。『楽しい』からその生活を続けたいという。」

永井:「こちらで『こうじゃなきゃダメ』と決めつけることはしないですね。その時にいるメンバーに合わせて対応していきます。できる限り、生徒の想いに寄せてあげたいと考えています。」

ーーーー実は「ゲーム」を追求して上手くなりたい、というよりは、「友だちと一緒にゲームをする」のが楽しかった、ということに気づいた子も多いのかもしれません。「真剣に」ゲームに向き合ううちに、他のことにも広く目がいくようになり、新たな学びにも興味を持てるということをお聞きして、まずは好きなことを思いっきりできる環境が大事だとわかりました。


↑↑↑
学校行きたくない子に
なんて声をかけますか?
不登校に迷わず対応できる
毎日の声かけ集30選‼

3. ゲームに必要な力は、技術だけでなく、コミュニケーション力!

ーープロゲーマーになったお子さんたちに、何か共通するところはありますか?

笹原:「なぜ、その子たちが選ばれたのか、関係者に聞いてみると、『コミュニケーション面』のよさ、と回答がありました。チームでゲームをすることがどういうことなのかを知っているかというのは大きいです。それがeスポーツのある学校で培われた力。プロからも評価を受けている点です。」

ーーゲームで勝つためには、コミュニケーション力が必須なんですね。中学時代に不登校を経験してきた子もいるのではないかと思いますので、「コミュニケーション」が最初からうまく取れている訳ではなかったのではないでしょうか…?

笹原:「不登校経験のある子は、半分近くいます。面接の際、『家でゲームをしている時のお子さんのご様子はいかがですか?』と質問しています。8〜9割が『すごくうるさいです。』という回答です。それを学校でもできたらいいですよね。
ゲームを一緒にやる友だちがいて、一緒にご飯を食べて、家に帰ってもまた一緒にゲームができる。そうなることで自分に自信が持てるようになり、心理的安全性が確保される
元々ポテンシャルが低い子ってあまりいないと思います。次第に自分を出せるようになって、あれがやりたい、これがやりたい、とコミュニケーションが取れるようになっていきます。」

ーー我が家にも不登校中の中学生がいるのですが、人と話すのを躊躇してしまいます。そのような子は見受けられませんか?

笹原:「いますね。その場合は、その子が何を求めて学校に来ているのかを聞いていきます。例えば、友だちを作ってゲームをしたいのであれば、どんなゲームが好きなのかを聞いて、僕が一緒にやってみます。教員と教えている講師とのコミュニケーションがしっかり取れていれば、子どもたちが求めているものが何かが理解できます。」

ーーうちの息子は、オンラインのフリースクールの授業でも、顔出し、声出しNG、なのですが…

笹原:「オンラインのミュートを外すのって、ハードルが高いです。学校に来てしまえば、ミュートにはできませんから。最初のきっかけさえ作ってしまえば、あとは自然に話せるようになります。みんな仲がいいんですよ。
今年、卒業生とバーベキューをおこなったのですが、ほぼ全員集まってくれました。学年が被っていない子たちもいたのですが、みんな楽しそうにしていて、よかったなと思いました。」

ーー自然に何とかなってしまうものなのですね!

4. 中学校で不登校でも大丈夫。自分に合った居場所探しのススメ

ーー最後に一言メッセージをお願い致します。

笹原:「『環境が全て』だと思っています。どのコミュニティに身を置くか、居心地の良い場所を見つけられるか。どんな人といるのが居心地がいいのか、どんな環境が合っているのか、保護者のニーズと、本人の要望とのバランスをみてあげればその子にとってのいい選択肢が見つかると思います。今は、やりたいことができるように、一生懸命やらせてみる。好きなことを仕事にできるかどうかは、本気でやらせてみた時にわかります。まずは好きなことをやらせて、応援してあげる、理解してあげるのが大事なのかなと思います。」

永井:「まず保護者のみなさんは、一人で考えないでください
そして、ご自身の想いを子どもにきちんと伝えてあげて欲しいです。ゲームが『好き』でも『得意』でなければプロにはなれません。ただし、コミュニケーションに長けているのであればイベントの道に進むなど、『好き』『得意』を『社会』の中でどのように生かすか、という3つの観点の真ん中を見つけていくのが重要だと思います。
今の子どもの等身大を見るのではなく、できるようになった姿を見て、未来を考えてあげてほしいです。」
ーーーーー

いかがでしたか?

不登校中の息子が、ゲームばかりやっている。だったら、ゲームが学べるところに行ったら、ゲームで生きていく道があるのではないか、との思いでインタビューさせていただいたのですが、想像とは大きく違いました。

本気でゲーマーの道に進む子もいるけど、実際は「友だちと楽しくゲームがしたい」という子たち。うちの息子は恐らくそちらだと思います。
学校に行けないことで、失ってしまった友だち。今まで仲が良かった友だちとも連絡できなくなってしまった寂しさを感じているのではないかと改めて感じました。

そんな子たちが、「ゲーム」というツールを通じて交流し、安心して心を解放してコミュニケーションととることができ、新たな興味や環境に出会うこと、それができる場所が、子どもたちにとって本当に必要なのだと、このインタビューを通して強く感じました。

みなさんも、子どもが何を本当に求めているのか、どんな環境を与えてあげるのがその子にとっての最適なのかをよく観察して、一緒に探してみませんか?

▼今回取材を受けてくれた、CLARK NEXT Akihabaraの情報はこちらです。

CLARK NEXT Akihabara
〒101-0021
東京都千代田区外神田6-5-12
TEL: 0120-833-350
https://www.clark.ed.jp/campus/tokyo-next_akihabara/

執筆者:菊池 のりか
(発達科学コミュニケーション リサーチャー)

学校が苦手でもおうちで成長できる、学びがここにあります↓

タイトルとURLをコピーしました