発達障害の子どもの将来に危機感を抱いているお母さんへ。その不安はおうちキャリア教育で解消!

発達障害やグレーゾーンの子育てをしていると漠然と将来大丈夫かな?と不安になりませんか?2020年から学校で導入されているキャリアパスポートをお家でのサポートで効果的に使えるようになるワークをお伝えします!

1.知ってほしいキャリアパスポート!

もうすぐ新学期が始まるこの季節、子どもが新しい学年や新しい学校で勉強についていけるかなと心配になることが多いですよね。

なぜ、我が子の勉強が気になるのかというと、発達障害があったり得意不得意が多かったりすると、「この子の将来大丈夫かな?」という心配が強く湧き出るからだと思います。

ちゃんと学校生活を送れないと、将来自立した大人になれないのではないかというネガティブなイメージがお母さんの中に存在していませんか?

そんな不安を解消し、子どもが将来に向かって成長していくことをサポートしてくれるものが、2020年から全国の学校で導入されています。

それが、キャリアパスポートです。皆さんご存知でしたか?

新学習指導要領によって小学校、中学校、高等学校で導入されたものです。年度末にお子さんがお家に持って帰ってきたというご家庭もあるのではないでしょうか?

キャリアパスポートは、子ども達のキャリア教育に関わる活動について子ども達自身で記入し、記録を保管するポートフォリオ(学びのプロセスを振り返ることができる記録集のようなもの)です。

キャリアパスポートを作ることによって、子どもは1年を振り返りかえることができ、小学校から高等学校へ進学していく際に持ち続けることで自分の成長の変化がわかる仕組みになっています。

キャリア教育というと、職業選択というイメージがありますがそうではないのです。特に小学生や中学生のうちはまだ、将来どんな仕事につくかは決められません。

将来を長い目で見て、自分を知り、社会を知り、自分らしさを出して社会で活躍する人になれるよう考えていくプロセスそのものがキャリア教育なのです。

学校の課題で、

「1年でがんばったこと」
「自分が1番好きなもの」
「自分の性格」
「これからやってみたいこと」

というようなことを書くワークが出たり、自分の生まれてからの成長を振り返ったりする課題がでたことはありませんか?それもキャリア教育の一環です。

将来自分が何をしたいかを考えられるようになるには、まずは自分はどんな人間なのかという自己認知ができるようになることが重要なんですね!

2.発達障害の子どもは自分のことがわからない?

自分のことをよく知り言葉にしていくということは、簡単そうで実はとても難しいです。

発達障害やグレーゾーンの子ども達のように、発達に凸凹のある子であったら尚更です。

例えば、「あなたが1番好きなことはなんですか?また、その理由も教えてください。」という質問項目があった場合。

いろいろな夢や考えはあるけれど言葉にして書くことが苦手な子や、過去の記憶を思い出すことが苦手な子は「ありません。」「わかりません。」と書いて終わりになってしまうことがよくあります。

そして、学校では先生が一人一人のキャリアパスポートをじっくり見て、どのように感じて答えているのかを対話する時間はありません。本当は心の中でいろいろな考えがあるけれど表現できない子は、その心のうちをキャリアパスポートに記載することができないまま終わってしまうのです。

また、本当は書きたいことがあるけれど、学校では浮いてしまうのではないか馬鹿にされるのではないかと不安になって自分の本当の気持ちを書けないという繊細な子もいます。

そんな発達障害やグレーゾーンの子ども達には、いきなり紙に書くという行為ではなく、安心できる場所で安心できる人とお話ししながら自分の気持ちを伝えて自分の気持ちに気づくという時間があるといいですよ!

3.自己否定満載だったHSCの娘の言葉

我が家のHSC傾向がある小学4年生の娘も、3学期に総合の授業で、自分の生まれたときの様子や、今までの成長過程、今の自分自身のこと、これからの目標について調べ、考え、記録に残す課題がありました。

娘が書いている最中のものを覗いてみると、そこには…

好きなこと:お家で過ごすこと、おしゃれ
得意なこと:習い事
苦手なこと:勉強、体育好きじゃない
どんな性格:悪い
今の自分について:勉強ができない
将来について:空欄(わかんな〜い!知らん!と言っていました。)

自己否定の言葉の数々に私はとても驚きました!

どちらかというと、娘は学校では優等生タイプ。お友達や先生からの信頼も厚く、繊細な面はあるもののもう少し自己肯定感が育っていると親としては思っていました。

また、家ではYouTubeやInstagramなどを見て毎日好きなことについて話してくれるのに、学校での課題には「恥ずかしい、笑われたら困る」といって本音を書けていないようでした。

私は親として、娘には、

できていることはできていると自分を褒めてほしい。
自分の性格の良いところにも目を向けてほしい。

と思いました。

そうすれば自分が何に向いているか考えたり、挑戦してみたいことも出てくるのではないかと感じるのです。

4.自己発見シートで自分を知ることから始めよう

周りを気にすることなく、自分自身のことを知れるようになってほしいと思い娘と一緒に自宅でとあるワークをしました。

このような自分発見シートです!


▲こちらからダウンロードすることができます

マス目に書いてある質問に答える形でマスの中に答えを記入していきます。

子ども、特に思春期の子どもは「めんど〜い」と嫌がるかもしれません。我が家では子どもの前で、夫と2人で楽しく質問をし合って書き込むことにチャレンジしました。

その様子をけむたがることなく見ていたので、娘も誘ってみました。「自分の得意なことが見つかる質問があるから聞いて答えてくれる?」と誘ってインタビューを開始。

「〇〇の好きなこと何?」
「得意なことは何だと思う?」
「いやだな!と思うことはどんなこと?」

というように自分発見シートを見せながら各マス目の質問について聞いていきました。案外面白そうにインタビューに答えてくれた娘。

例えば、

好きなこと:〇〇ちゃんを見ること(YouTuber)、インスタを見ること
得意なこと:家で悪口を言うこと
してみたいこと:ヘアアイロンを買う、高いおしゃれな服を買う
好きな場所:家、オンライン授業

と答えてくれました。

答えてくれたことに関しては、親としてつっこみたい、否定したいところがあっても我慢です。

「どうしてそれが好きなの?」
「それをやったらどんな気持ちになるの?」

と更にインタビューします。すると、ネガティブな回答であったとしても意外な考えから出てきているんだなとわかることもあります。

娘は、学校から持ち帰ってきた疑問や不満を家で私に話すことを、「悪口を言っている」という風に認識していたことがわかりました。そして、おしゃれなYouTuberに憧れているけど学校では恥ずかしくて言えないということも発覚したのです。

5.自分を知れば将来も見えてくる!

自分発見シートでインタビューをして作ることで、子どもが自分の考えを言語化して伝えることができました。

また、他の人には言えない夢も家庭で話してみるということもできました。

記入し終わったシートを見ると親の私も子どものことをより深く理解できるようになりました。

学校の課題でわからないと言っていた、将来について考えることも、好きなことを話していくことで「アパレル業界の仕事がいい!」とやりたいことが見つかり、制服がかわいいからという理由で行きたい高校も自分で決めて書き込んでいました(笑)

今決めた将来の目標が、その通りになるかどうかはわかりません。ですが、将来の目標を立てて実践していく力は、高校生、大学生、社会人と大人になるにつれて求められる力です。

今、どんなことを考えどんな目標をたてたのかを親子でシェアし記録しておくことで学校のキャリアパスポートにも目的を理解して書くことができるようになります。

みなさんも、今年度の終わりに子ども達がキャリアパスポートにスラスラ書き込めるように、子どもにおうちでインタビューしてみてくださいね!

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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