オンラインゲームって大丈夫?学校へ行き渋り続けるADHD中学生がゲームを通じて登校したママの関わり方

学校へ行き渋りして家でオンラインゲームに夢中の子どもに不安を感じませんか?ゲームで知り合う人ってどんな人?子どもに悪影響はないの?子どもがゲームを通じて前向きに登校し出したママの関わり方をお伝えします。
 

1.学校へ行き渋りしてオンラインゲームに夢中になっていて大丈夫?

子どもが学校へ行き渋りをするので、ちょっと休ませてあげようと学校を欠席したら家ではオンラインゲームに夢中。

オンラインゲーム中の話し声からどうやらいろんな人とゲーム内で交流している様子。

どんな人とお話ししているのかしら…
こんな昼間に我が子と付き合える人ってどんな人たちなのかしら…
変なこと言われて子どもは傷つかないかしら…

とにかく外から見えないオンラインの世界で、子どもが悪影響を受けて傷ついたりしないか心配ですよね。

子どもたちは実はオンラインゲームで知り合う人たちと関わり合うことで学校のストレスを発散させています。


出会いはオンラインの世界であってもその機会を活かす視点をママが持てば、子どもを不安から前向きにしてくれる場所にもなります。


オンラインゲームで出会った大人の言葉が我が家の息子に刺さり、ママがうまく共感することで学校へ行き出した方法をお伝えしますね。

2.息子の不安「勉強できない俺はこの先どうなってしまうの?」

中学2年生の後半に入ると学校では高校受験に向けての生活指導や勉強についての話が出てくるようになり将来を不安にさせるようなお話の機会が多くなってきます。

息子は注意欠陥多動性障害(ADHD)の不注意傾向が強く、学校授業になかなかついていけず勉強はとても苦手。

本人なりになんとか頑張ってるようですが、うっかりミスも多く、成績は上がりませんでした。

学校で高校受験の話を聞くたびに

「俺は勉強できないし、このまま学校へ行っても勉強ついていけない」
「俺には行ける高校なんてあるのかな」
「俺、高校生になれる?」

不安がどんどん膨らんできて、次第に学校へ行くことそのものに不安を覚えるようになりました。

息子自身も不登校にはなりたくない、学校に行けば仲の良い友達がいるから登校するといいますが、朝になると不安が押し寄せてきて

「やっぱりしんどいから今日は休む」といいます。

欠席が週1回になり、週3回になり、3学期は半分ほどしか登校することができなくなりました。

中学3年生になり、新しい学年が始まっても学校の行き渋りは終わりませんでした。

学校へいかない時間は家で一日中オンラインゲームをすることで気を紛らわせる日々が始まりました。

私は、息子がオンラインゲームを始めてからどんな人とつながり、どんな影響を受けるのか不安でした。

会話をこっそり聞いていると本気のケンカにはなりませんが言い争っていたり、時には大声で笑っていたりと目の前にはいないけど、すぐそばにお友達がいるような様子でした。

しかし、学校へ行かず、昼間から夜までずっとオンラインゲームをする日が増えてくるとだんだんと私も苛立ってきて

「不安になってるからゲームさせてるけどいつまで続ける気なの!そろそろ学校へ行けば!」
「学校行くのが不安なら、家で勉強すればいいじゃないの!」
「高校生になりたいんだったら高校受験はあるのよ!成績が気になるなら勉強しなさいよ!」

と声を荒げてしまいました。

息子は親子の関係がギクシャクしても黙ってオンラインゲームを続け、やめることはありませんでした。

ある日息子が

「俺と同じような学校嫌いな子がオンラインにはたくさんいる。共通の話題があって楽しい」

とポロッと言ったことに私はハッとしました。

3.昼間のオンラインゲームの世界は子どもにとって心の安全基地

発達障害の特性を持つ子どもたちは日々の取り組みが思うようにうまく行かないことが多いので、ものごとをよりネガティブに捉えやすくなっています。

でも、よく考えるとオンラインゲームはeスポーツもある世界。

学校に行けない子どもたちに居場所を作ってくれるところでもあり、顔が見えないから人目も気にせず自分が思いっきりやっていいのだというメンタル面で安心感を得られる場所なんです。

子どもは10歳を過ぎる頃から、左脳が発達してくると言われています。

それまで右脳の感覚的にものごとを思考する状態から、左脳の発達によって自我が出て、言語力が上がって自分の意思を理由付けできるようになってきます。

そんな思春期の子どもたちにとってオンラインゲームは言語能力、他者とのコミュニケーションスキルを高める場にもなるんです。

親以外の関わりの中で聞いたことをアウトプットしていく力を育てると言語能力はどんどんアップし、伝えたいことを伝えられるようになると自分に自信がついていきます。

子どもの価値観を大切にしながらうまく利用し、トラブルに巻き込まれないように上手に利用する方法を子どもに伝えていくほうがいいと思うようになっていきました。

4.思春期の子どもの世界には慌てず忍足で入り込むことが大切

お母さんにとって不安なのはどんな人とオンラインで付き合いがあるのかということだと思います。

あまり一気に聞きすぎると、思春期のお子さんは話すのをめんどくさがり教えてくれなくなってしまうと思います。

◆ポイント1 少しずつ時間をかけて答えやすい質問をして探る

何人のグループなの?
何歳くらいの人とやっているの?
学生なの?社会人なの?
男性?女性?

ママはいろいろ聞きたくて仕方ないと思います。

ですが、そこはぐっと我慢。

1日に1質問くらいにとどめて聞いていくことをおすすめします。

我が家でも数日の間隔を空けて、ライトな雰囲気で質問することにしました。

母「オンラインゲームで一緒に遊んでいるグループの人数は何人ぐらいなの?」

息子「六人ぐらい、毎回同じ人もいれば違う人もいる」母「結構人数いるんだね」

三日後ぐらいに

母「オンラインゲームのお友達は同じ年の子が多いの?」

息子「俺より年下もいるし、年上もいるよ」

母「へ〜いろんな年の人が一緒になって話するのは面白そうね」と肯定。

◆ポイント2 子どもからの返答を否定しない

さらに三日後ぐらいに

母「今日はどんなメンバーだったの?」

息子「社会人もいた。ホストしてるって言ってた。不登校の子もいたよ」

決してここでメンバーについて批判してはいけません。必ず肯定します。

「バラエティーに富んでるね!ホストの人と話したりするの?」

私が気になった人について、しれっと聞きました。

「流行りの歌の話をしたりする。不登校の子とは親の話をしたりする〜」
「へ〜なんだか楽しそうね」
「いろんな人がいて、変なこという人もたまにいるけど、不登校の子が多いし学校の嫌なこととか話が合うからお互い共感できて安心するんだよ」


息子にとって、オンラインゲームの場所は自分と似たような境遇の子に出会い、つらさを理解してもらえる温かい場所だということが会話の中から理解することができました。

5.親子の会話が信頼関係を強くし子どもの世界を広げる

オンラインゲームについては、息子の話を聞きながら絶対に否定せず肯定的な声かけを続けているとしばらくして、息子が言いました。

「お母さん、オンラインゲームの友達で不登校になっている子が『お前のお母さんが注意してこないのがうらやましい』って言ってた!らないのが不思議だったみたい!」

息子は同じように学校へ行き渋りをしているお友達が何度も何度も怒られていることを知って驚いていたようでした。

そして自分の親が安心できる人だと認識したようです。

またしばらくして

「お母さん、社会人でホストをしているお兄ちゃんから、学校へ行き渋りしないで行ける時にはいっとけよって言われた〜」

と息子が言います。

「そうなのね。あなたはどうしようと思ってるの?」と聞くと

「とりあえず、学校へ行くよ。オンラインゲームはいつでもできるし、楽なのは今しかないよ〜って他の大人の人も同じように言ってたから」

息子はちょっと先ゆく人生の先輩から言われたことで、勉強の不安よりも中学校で会える友達を大切にしたいと思い、遅刻しても学校へ行くようになりました。

思春期は親が直接言ってもなかなか受け取ってもらえない時期であり、第3者からのアドバイスはすんなりと聞いたりするものです。

「トラブルに巻き込まれたら、すぐ電源切れば大丈夫」

と息子からたくましい返事もきました。

オンラインゲームの世界は見えない世界ですが、社会経験も積み上げられる場でもあります。

親子の会話で安心の土台を作って、これからの時代うまく活用していきたいですね。

執筆者:中曽根里美
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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