1.発達障害グレーゾーンの子どもたちにとっては高い中学生での壁
もうすぐ中学生の発達障害グレーゾーンのお子さんを持つお母さんは、小学校での困りごとを抱え、うちの子、中学校に入学したら大丈夫なのだろうか?中学入学準備はどうする?と心配な時期ではありませんか?
なぜ、発達障害グレーゾーンの子どもたちにとって中学校生活が難しいのでしょうか。
◆中学校は“評価”重視!
テストの点数、授業態度、提出物などの評価が重視される環境に突入します!
しかも、勉強だけでなく生活面全般が評価の対象になります。
・時間を守る
・ルールを守る
・集団での活動に参加している
・主体的に活動している
(部活、委員会、係の仕事など)
こんなこと全般が”成績”と直結していくのです。
◆グレーゾーンの子は見過ごされやすい
例えば注意欠陥多動性障害(ADHD)・不注意優勢型タイプのお子さんの場合。
授業全体の進行をジャマすることはほとんどありません。
どちらかといえば「聞いていない」「わからない」「板書が追いつかない」などの困りごとが多いけれど、席について授業に参加している(ふうに見える)ので、放置されやすいのです。
また自閉症スペクトラム(ASD)タイプのお子さんの場合。
勉強はそこそこできる。だけど、実は集団の中で授業を受けることにストレスを感じていたりする子もいます。
ですが、成績に問題がないので本人が感じている辛さはスルーされやすいのです。
◆個別の配慮がされにくい
中学になると教科担当制になるので、担任の先生に相談をしても全教科の先生に配慮をお願いするのが難しい環境になります。
私は息子の対応について「各教科の先生にこんな対応をお願いできませんか」と相談しましたが「無理です」とズバッと断られた経験があります。
先生方は教育のプロですが発達のプロではありません。
グレーゾーンの子たちの接し方に詳しくないということもありますし、忙しい毎日の授業のなかで個別の配慮にまで気も手も回らないという現実もあると思います。
「小学校のころは先生にサポートしてもらえたけど、中学になったら環境がガラッと変わって戸惑っています」というお母さんのご相談メールもよくお寄せいただきます。
そんな大きな環境の変化を迎えるのが中学進学なのです。
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2.中学進学の前に、子どもの「できる!」を増やしておく!
こちらでは、中学進学を乗り越えるためのポイントをお伝えします!
まず、1つ目は、環境が変わる前に子どもの「できる!」を増やしておくことです。
発達障害の特性を持つ子たちはどうしても環境の変化に弱いです。
生活のペースが変わる、先生が変わる、周囲の友達関係が変わる、などの変化によってダメージを受ける子も多いです。
勉強嫌だな、あの子と関わりたくないな、学校にいきたくないな…
そんな風になる前に子どもの成功体験をたくさん作っておくことをお勧めします!
成功体験は「自分はやったらできる、なんとかなる」と自分を信じる力につながります。
自己肯定感ともいいますがこの自己肯定感のある子は素直さが伸びます。
この”素直さ”が思春期の発達障害グレーゾーンの子どもたちには大きな武器になります!
素直さとは…
先生に「こうやってみたらいいんじゃない?」と言われて「そういうやり方もあるのか!」と受け止められること。
友達に自分とは違う意見をいわれたけど「そういう考え方もあるよね」と思えること。
本当はあまり得意じゃない行事でも仲間が誘ってくれたから「じゃあ、やってみようかな」とチャレンジできること。
こんな変化につながっていきます!
そのために今日からでもできることがあります。
例えば、
算数はそこそこ得意で好きだけど、国語は大嫌い!な子には、苦手な国語を「克服する」ではなく得意な算数を「伸ばす」ことから着手します。
苦手な部分は発達の特性とからむことも多いので直そうと思ってもなおらずに、自信を失うことが多いのが発達障害グレーゾーンの子どもたちです。
だから苦手を克服させるのではなく得意を伸ばすことで、
「勉強ってやったら楽しいかも」
「勉強、悪くないね」
「宿題はがんばってみようかな」
とポジティブに取り組むようになります。
「やったらできるかも!」と自分を信じる力を持った子は、次第に苦手なことにも向き合い始めます。
その状態で新しい環境を迎えられたらお子さんも頑張れそうですよね!
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3.お母さんが環境を整えるプロになる!
もう一つのポイントは、お母さんが子どもの一番の理解者になり、学校との連携と環境を整えてほしいのです。
中学生になると通常級で頑張る発達障害グレーゾーンの子どもたちへの学校側のサポートは次第に手薄になっていきます。
そんな心もとない環境の中で子どもたちは毎日頑張るわけですが、発達の特性もあってうまくできないことも多い。
学校の先生から
「忘れ物が多い…」
「生活態度が悪い…」
「進路が心配…」
と言われるかもしれませんが
そこでお母さんが大慌てしないこと!
発達障害グレーゾーンの子どもたちの「やらない」「できない」は、学校の先生からしたら「やる気がない」と見えるだけかもしれませんが、実際はそうではありません。
発達の特性として「苦手さ」が部分的にあるから、それが行動にあらわれているだけなのです。
残念ながら学校の先生は教育のプロですが、発達のプロではありません。
定形発達の子との区別がつきにくいグレーゾーンの子への接し方にコツがあるなんてご存じないのです。
ですから、ここがお母さんの腕の見せ所、です。
不注意傾向が強いお子さんの場合、こんな風に伝えてみましょう!
「うちの子授業中に話をきいていない(ように見えることが)あるかもしれませんが、そんな時は近くに行って耳元で小声で話してください。」
「イライラし始めたら落ち着くまでスルーしてもらって、落ち着いた時に”一緒にやろうか”と声をかけてもらえれば大丈夫です」
といった感じです!我が子の攻略法をお母さんから先生に伝えてあげて欲しいのです。
もちろん全ての先生がお願いに対応してくれるわけではありませんが、先生も実際問題発達障害グレーゾーンの子どもたちのことを分からずに、困っている場合も多いのです。
一方的に学校側に要求ばかりするとモンスターペアレントと間違われることもありますが(笑)
お母さんがお家でしっかり対応していて、そのノウハウを学校の先生にもお裾分けしちゃおうというスタンスであれば先生も案外耳を傾けてくれる場合があります。
もしかしたら学校が対応しきれないという場合もあるかもしれません。
そんな時は作戦変更も1つの方法です。
お子さんが、学校という環境がどうしても苦手で心身ともにボロボロに…なんてことがある場合は、お母さんがお子さんに合った環境を選択する、という方法もあります。
学校に行くのがどうしても辛い…というのであれば、時として学校に行かないという選択をしてあげるほうが発達障害グレーゾーンの子どもたちのエネルギー回復に、近道になることが多いのです!
お子さんが、何が辛くて学校に行きたくないのか、どうして荒れているのか、どうしてウツウツとしているのか、子どもが感じている辛さがわかれば対応の方法もガラッとかわります!
そして適切な対応をしてあげれば自信を回復してまたガンバり始めます。
我が家のADHDタイプの息子が中学に進学するときに「環境が変わればまあ、本人もやる気になるでしょう…」と、たかをくくっていた私。
ところが蓋を開けてみると、良い方に変わるどころか次から次へとトラブルが起きて、1年の1学期が終わる頃には学校の先生に「このままだと行く高校はありませんよ」といわれるまでになりました…
それでも、たくさん息子と遊び、たくさん外へでかけ、息子の「できること」を増やし、息子が一番輝ける学び場を親子で選択してきました。息子は現在大学生。勉強にバイトに頑張っています!
サポートが減ってくる中学校という環境だからこそ、お母さんが迷わずに対応できるように軸を持つことが大切なのです。
2つのポイントを押さえておけば、中学の壁は乗り越えることができますよ!
執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
発達凸凹キッズの高学年~中学校の進学準備にお母さんがしておきたいこと発信中です!
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