1.発達障害の子の凸凹“できることがある”からこそ悩む女子
人は誰でも得意・不得意を持っていますよね。
そんな中、発達障害のお子さんは、できることとできないことの差が大きく、そのために悩んでしまうことも多いです。
とくに自閉症スペクトラムのお子さんは、見通しが立たないことに不安が先立ちます。
また他人からの目を意識する中学生になると「失敗して笑われたらどうしよう」と考えがちです。
「できることがあるのだから、いいじゃない!」
そう思われるかもしれません。
しかし、女子の場合は“できることがある”からこそ悩んでしまうことがあるのです。
男子は「一番になりたい」という気持ちが強く、常に上を目指して頑張る傾向があります。
女子の場合、男子に比べて一番になるよりも「失敗したくない」という気持ちを強く持っています。
失敗を恐れる女子が気にするのは、周りの人からできる部分に合わせた基準で他のこともできるだろうと思われるのではないか、ということ。
「勉強はあんなにできるのに、なんで運動はできないの?」こんな言葉に怯えてしまうのです。
そして、他人の描く基準に達しないと「失敗」と思い、どんどん行動できなくなっていくのです。
2.凸凹を目立たなくさせようとする真面目な中学生女子
わが娘もこんなことがありました。
勉強はわかるのに、スポーツのルールは何度説明しても理解できない。
バスケットボールの授業で、何度聞いても見ても、自分がゴールする方向がわからないのです。
するとこんな声が聞こえてきます。
「なんでゴール間違えるの?ふざけてる?勉強できるからって、運動は手を抜いてるでしょ?」
もちろん本人はそんなつもりはありません。
でも動いているうちに方向が分からなくなるのです。
バスケットゴールはどちらも同じ色・形。
ですから余計にわからないのです。
ここで本人が「ゴールの色が一緒だからわからない」とでも言えるようなら「片方のゴールの色を変えたり、しるしをつける」などという対処もできます。
ですが、みんながわかるのに自分だけわからないということを言えば、笑われたりふざけていると思われるのではないか。
そう思うと、なかなか言えないのです。
こうなると、体育の授業に出たくなくなります。
それだけでなく「勉強ができなければ、そんなことも言われなかったかもしれない」。
そんなふうに思い、勉強もやらなくなってしまったのです。
こうして凸凹を何とか目立たなくさせようと、「できる方をやらない」という選択をし始めます。
その結果、行動量が激減してしまうのです。
3.同性だからこそ伝えられる!お母さんがお嬢さんへ授けてあげられる力
こうして誰にも悩みを抱えてしまいやすいのが、発達障害の中学生女子。
そのまま放っておくとどうなるか。
うつや身体症状など、深刻な二次障害を起こすこともあるので要注意です。
また、大人になるにつれて、特に女性はマルチタスクで動くことを求められやすいです。
しかし、優先順位がつけにくかったり、人に相談した経験が乏しかったりすると、大人になってから困ってしまう女性は非常に多いです。
思春期のうちにお母さんがお嬢さんに一番授けたいのは「SOSを出せる力」。
自分の強み・弱みをわかったうえで、困っていることは人に相談する。
自分の強い部分はしっかり動き、弱いところはサポートしてもらう。
そんな力をお嬢さんに授けてあげたいですね。
それにはまず、困りごとも話せるような、相談したくなる場を作ること。
これこそ家庭で一番お母さんに意識してほしい部分です。
話しやすい雰囲気を作ることで、本人も悩みを話せ、大人も本人の困りごとをしっかり理解できる。
そしてサポートすることができるのです。
ちょっとした環境調整でお子さんがラクに取り組めるものもありますから、こういった悩みを話せることはとても大事です。
また、できないことを誰かに頼っていいということも教えてあげたいところ。
女の子は将来、お母さんになるかもしれません。
家事・育児・仕事と、まさにマルチタスクを求められると、パンクしてしまいやすいのが発達障害の方なのです。
ですから、上手な手の抜き方をお母さんが普段から見せてあげてほしいな、と思います。
お母さん自身も完璧にやろうと思わずに、「今日はお総菜買ってきたよ」など、他を頼ってもいいということを見せてあげる機会を作ってくださいね。
執筆者:青島 明日香
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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